レベルアップおめでとう!?
……まさか。
魔王さんも、オッサンだった時代があるとか言わないよね?
「……」
「どうした? サジマよ?」
「……いえ。……あの」
……難しい。
これは、難しい。
見るからに女性に向かって。『貴女は本当に女性ですか?』とか『以前は男性だったことありますか?』
なかなか聞けないのだ。
さっきは元オッサンが敵だった上に相手が、冥王とか言う誰かと勘違いしていたからついつい聞いてしまったが。
魔王さんには聞けない……。
……でも、確認したい。
そんなモジモジ状態の俺の所に森山さんと吉田さんが駆けつけてくれる。
「佐嶋君! 良かった。楽勝だったね! ちょっと心配しちゃった」
「佐嶋氏、お手柄だぜっ! 魔王様のミッションを良くぞ達成した!」
「……いや。俺、相手が実はオッサンとか知って……ついカッとなって」
敵を倒して褒められて、本当は嬉しい場面なんだろうが。
俺は、なんとなくモヤモヤが残っている。
そんな俺の心情を察してか。吉田さんが一声くれたのだ。
「わかる。わかるぜ佐嶋氏。俺もノンケだから、酔っ払ってフラッと入った店がオカマバーとかニューハーフ専門店とかだったら悪夢だからな」
「……え?」
この吉田さんの一言が俺を救ってくれたのかもしれない。
しかし俺は未成年だから、詳しい意味はわからなかったとしておこう。
「佐嶋氏。隠さなくてイイっ! あの天使の見た目も敵ながらアッパレだったからな!」
「……吉田さん」
俺はちょっと泣きそうになった。
「なに? 馬鹿なの? 二人とも?」
そんな俺たちの漢のやり取りを、森山さんは冷たく断じたが。
いーもんね! あとで森山さんは彼女の鎧の中でたっぷりお仕置きしてやる!
「……まぁ、なんだ。よくわからないが、とにかくサジマよ。ご苦労だった」
「はい。ありがとうございます」
「それとサジマよ、私はこの世界に存在した瞬間から女であるから安心するがいい……と、そういうのがお前には重要なんだろう?」
魔王さんも俺がなんだかモヤモヤしているのを気にして理解してくれたらしい。
「うう。魔王さん……ありがとうございます」
ああ。なんだかよかった。スッキリした。
その瞬間。
俺の身体全体が、青白く光り。
なんだか今までにない力がもりもりと体の中心から湧き出してくるような感覚があった!
「「「「おめでとう! おめでとぉお~~!!」」」」
魔王さんと、その配下の騎士さんたちが一斉に俺を祝福してくれた。
「佐嶋君! レベルアップしたの!? おめでとう!」
「佐嶋氏! レベルアップおめ!」
森山さんも、吉田さんも祝ってくれる!
俺の身になにが起きたのかは謎だが、レベルアップだから悪いようにはならないだろう!
魔王さん配下の騎士たちはバンバン大きな拍手をしながら謳うように俺を讃えてくれた。
「「「「おめでとぉお~~!!」」」」
騎士さんたちのこの世ならぬ深く響く声が夜空に響いていた。




