vs大天使
戦う相手は美女天使。
なんか強そうな金属鎧が溶けちゃうような技もある。
うーん。マズイな、美女だよ美女!
戦う。
そう。俺は、たしかに戦う。
魔王さんの命令だし。
戦うさ!
……しかし。戦うのは『今』とは言っていない。
「え~と え~と」
俺はどうにかして戦わないで済む良い訳を考えていた。
戦うのが怖いものあるけど。
相手が美女なのがさらに問題だと俺は思う。
だって! もったいないじゃない!?
女の子を無駄に消滅させるとか社会の損失でしかないと俺は思う。
だって、あの天使さんも話せばきっとイイ人で。
俺たちは笑いながらイイっ! ……みたいな関係になれるかも知れないじゃない!
そんな俺の気持ちを見透かしたのか、魔王さんが一言投げかけてきた。
「……サジマよ。念のために言っておくが、あの天使は元は男だから気にすることはないぞ」
「は……え?」
「400年前まではあの天使は、オッサンだった。むさい髭もあった」
「……?」
「本人に聞いてみろ。あと、あの天使が色々妄言を言ってくるだろうが一切信じるな無視してファインベルクを撃ち込め」
「あ……はい」
なんだ?
あの美女天使が、元は男?
この世界だと性転換とかわりと普通なのか?
俺はもう訳も分からず、フラフラと天使の元に近づいていく。
「う、嘘だろ?」
あの美女天使さんが。髭のオッサンの時代とかあったなんて……。
天使さんに近づくにつれ、天使さんの姿がはっきり見える。
美人さんだ。
英語の先生がこの天使さんだったならば、俺は英語が得意になっていただろう。
白い肌、溶かし込んだ純金のような髪。サファイアのような瞳……。
くびれた腰とか、水色の衣服からもあらわな胸のふくらみ……。
「……全部、嘘なのか?」
いや。信じたくない。
天使さんの美しさを認識すると同時に。俺の中で正体不明の暗い炎が産まれていくような感じがした。
まず……事実を確認せねば……。
魔王さんの情報が間違っている可能性だってゼロではない。
とりあえず俺は、美女に好かれるべく本能的に笑顔で挨拶をした。
冷静に……。冷静に……。
「ハ~イ! 私は佐嶋でーす! ヴァンパイアやってマース!」
ありったけの微笑みを浮かべて俺は言ったつもりだったが。
なぜか天使さんの表情が凍り付く。
そして天使さんは言ったのだ……。
「め、冥王様!? なぜここに?」
「……?」
性転換の事実確認をしたいだけなのに。
なんか。もっとややこしい事になりそうな気配がした。




