とりあえず行ってみよう⁉
俺たちは今後の行動を考えながらその間に吉田さんから、ゴブリンがいま繁殖期でレスリング大会があり上位入賞者が繁殖に有利だったりクラスチェンジして特殊な称号がもらえたりとかするなどという、どうでもいい情報の追加を受けたが結局は『とりあえずゴブリン帝国に行ってみよう!』という事になった。
これは森山さんのゴブリン相手に何か計画するような事は無いという意見と。
吉田さんの「とりあえず行ってみようぜ!」という発言を受けての事なのだが。
正直言うと、俺はどうでイイので早くゴブリン帝国を壊滅させて魔王の城に帰りたかった。
時間を取って相談した結果はまるで意味不明だったが。
とにかく俺たちは緑ゴブリンの集落から出て赤ゴブリンの帝国を向かうための準備をはじめる。
「ここからゴブリン帝国とやらは距離で言うと300キロほど離れているらしい」
吉田さんが言う。
「300キロ?」
それってメートル法でいいのかな?
「ああ。佐嶋氏、300キロは俺たちのおもう300キロで間違いない。この世界でも最近種族間や文化間での単位の違いに不便があったようでここ数十年くらいから流行っているらしい」
「……それってどこ情報?」
森山さんが確認を入れてくる。珍しく興味が出たらしい。
「この集落のゴブリン賢者からの豆知識さ。あと金の単位や、大体の地理とかも佐嶋氏と森山氏がイチャコラしてる間に賢者から聞いといたぜ」
「……そう」
吉田さんは森山さんに余計な事を言いつつ情報ソースの公開をしてくれたが。なんだか元人間がゴブリンに教えてもらうとかプチ屈辱感ある気もする。
「ちなみに通貨の単位はゴールドとシルバー。それとカッパーだそうだ。上から1000円、100円、10円ってとこか?」
「うーん」
「吉田さんは物知りね」
突然に無一文であることに気がついてしまう俺。
そして珍しく吉田さんを褒める森山さんの声が嬉しいのか。吉田さんはご機嫌だ。
「さぁ! 行こうぜ! ゴブリン帝国へ!」
「ええ? 300キロとか歩くの?」
ヤル気な吉田さんなのだが。森山さんの言うように俺も300キロの移動って、果てしなくダルく感じる。
「うーん」
日本にいた時でも300キロの移動とか数時間は普通に掛かるし。この世界で移動するとなると何日掛かるのか俺は考えたくない。
「魔王や魔王のメイドさんみたいにすぐ出せる転移門とかないの?」
森山さんもやっぱり移動が面倒らしい。
「俺たちは、この世界のことなんも知らないじゃん? だからこの旅でいろいろ学んでいこうぜ!」
「……」「……」
吉田さんのゴブリンらしからぬ前向きな探求心あふれる発言にいろいろな意味で返す言葉も無く。
俺たちは仕方なく出発することにした。




