武器を装備しないと?
魔王マリスカレンは、意を決したように。
俺を見つめて語り始める。
「……実は、我はマニュアルや取説を読まないタチでな」
「は?」
な ん の は な し だ?
「うん。そうなのだ……」
なにが『そう』なのか俺にはわからないが。そのまま聞くことにした。
「……我が、チュートリアルを面倒がらずにプレイしていれば……」
「……?」
俺たちは黙って魔王マリスカレンの言葉を聞き続ける。
「ガチャで召喚されたお前たちは、武器やアイテムを装備させてあげないといけない事がわからなかったのだ……」
「え? でも私は武器持ってますよー」
森山さんが物おじせず発言する。
「うん。それはだなデスナイト。お前はネームドモンスターだから専用武器を最初から持っているタイプなのだそうだ。メイドから聞いた」
しょんぼりしながら魔王が答える。
「ほう? ここに来る前。そのー? ゲート? の中で戦ったモンスターも武器持っていたですよ?」
「うん。それはだなデスナイト。お前の倒したモンスターはすべてネームドモンスターなのだ。これは運営に問い合わせて発覚した」
……バレてるじゃん森山さん。
「我もおかしいと思ったのだよ……。通常の魔界ガチャの三倍の値段で提供されたスペシャルドリームガチャって、ネームドモンスター5体以上確定! さらにオーダーメイドSSレア一体プレゼント……って宣伝だったから……」
……モロに不具合だったのか?
まぁ、新しいガチャとか実装すると不具合とかリアルでも良くある話しみたいだしな……。
つーか、オーダーメイドSSレアってなんだ?
リアルでは、聞かないシステムだな。
外見や能力や技能とかオーダーメイド出来たら、そりゃスゲーと思うけれど。
バランス無茶苦茶になるぞ、そんなんしたら。
「……そして、SSレアのヴァンパイア・サジマよ。私を許してくれ。」
あ? 俺?
「お前に、装備を渡すのを忘れていたのだ。装備もオーダーメイドで用意していたのに……」
「……そう、だったんですか」
「……気がついたのは、お前がデスナイトの鎧に潜り込むところだったので。余りにも面白くて、我はそのまま展開を様子見してしまったのだ……。」
「あー……」
そして、俺は脳みそシェイク展開に……。
ま、反省している感じの魔王様のお顔も拝めて、そいで可愛かったし。
脳みそシェイクも済んだことだし。
美女のオッパイに噛みつけたし……。
「お気になさらないでください」
と、大人っぽく俺は微笑んでみせた。
「う。さすがにオーダー通りに優しいな、サジマは」
「いえいえ。当然のことです」
ふふ。
魔王の好感度、一気に上がったな!
それにしても。
俺が。SSレア……。
魔王の言っているSSレアと言うのが、どういうレアリティ上の価値があるのか不明だが。
少なくとも、話の流れから察すると上位レアだろう。
まぁ、ゴブリンの吉田さんがオーダーメイドSSレアとかなら、魔王の趣味がマニアックすぎるが。
悪魔ってヴァンパイアとかお好みなんだ……。
「……やっぱり佐嶋氏は勝ち組だったな」
うらめし気に吉田さんが言う。
いやいやいや……。
つーか。
キタコレ。ようやくようやくようやく!
「……俺TUEEE?」
なのか?




