入れない?
「……うーん」
困った。
俺とデスナイト森山さんは、ゴブリン砦を上空から強襲降下したのだが……。
俺たちが発見した砦内部の階段は、ゴブリン用とは言わないが。
普通の人間サイズの行き来を想定しあるサイズのようで、自称2メートル50センチの森山さんが入り込めるようなものではなかった。
「じゃ、行くよ~。佐嶋君」
「いやいやいや。森山さん、無理でしょコレ」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。ちょっと腰を落として進むから」
「……」
俺の心配をよそにデスナイトの森山さん大剣を床に置くと片手でいきなり自分の反対側の腕を取り外すし鎧の中に放り込んだ。そして前かがみになるとさらに兜である頭部も取り外して鎧に収納する。
「おわっ!」
突然、視界を奪われ。突然上から、デスナイトの片腕が頭が丸ごと放り込まれ俺は声を上げた。
俺の視野はと自然に別モードに切り替わったようで。今度は暗闇の室内のカーテンの隙間から、明るい場所を覗き見るような視点だ……。
「あ、ごめんなさい。ぶつからなかった? 鎧の隙間を広げるたから。佐嶋君は、そこから外を見て」
「森山さんは、見えてるんですか? 首がなくても見えるんですか?」
「うん。今は、視点切り替えで鎧全体で周りを見ている感じ~」
……ムチャクチャだなデスナイトって。
そんなこんなで砦内の石壁をこするようにして森山さんは進み。
途中で遭遇する茶色ゴブリンを潰したり、踏みつけたり。大剣の柄で殴り殺していく……。
「なんだか。不思議よね~、死体が消えいくのは」
緊張感の無い声で、森山さんが言うように。
死んだゴブリンはいったん肉塊にはなるが、その後すこしして灰になって消えていく。
妙に死体が残って腐臭が満ち満ちたり、アンデット化して復活するとか無いのはありがたいが。
どういう事だろう……。
俺たちも死んだら、灰になってしまうのだろうか……。
まぁ、デスナイトもヴァンパイアもたぶんすでに死んでいると思うけれど。
「ここかなー? 社長室っぽいの?」
「ゴブリンの社長っすか?」
一瞬、スーツを着た吉田さんが目に浮かんだ。
「……砦のボスって社長なんですかね?」
「あ、ちっこい店舗だから。課長とかかもね」
そういう問題なんだろうか。
しかし、森山さんが、言うように。俺たちの目の前には、この砦にしては贅沢な感じの装飾された扉があった。
ボス出てきますよ~
侵入者から見れば、そんな雰囲気の扉だ。
森山さんが取り外していた、腕と頭を胸当から取り出して装着していく。
俺の視界も、元通りになって落ち着いた。
良かった。
「さ~て、いきますよー」
「え、ちょ?」
さすがにボス戦は相談とか段取りしたほうが良いのでは? とか俺は思ったがすでに時遅く。
森山さんは、いきなりドアをノックした。
「え、ちょ?」
これから突入する部屋にノックとかありえるのか?
とか俺は思ったが。しかし。
「……どうぞ」
っと、普通に扉の向こう側から女の声が聞こえた……。
「中に、誰かいますよ!」
「ボスだよ、ボス。 じゃ、開けるよー」
「えええ?」
「はーい、失礼しまーす」
緊張感のない森山さんの声と共に音を立てボス戦(?)の扉がひらかれていくのだった。




