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恐怖? ゴブリンを襲うゴブリン


「……」

「……」


 ヴァンパイアの俺とデスナイトの森山さんは、無言でゴブリンの吉田さんを見つめていた。


「な、なんだよう? イジメるなよう!」


 涙目で吉田さんは俺たちに訴える。


「しょうがねーじゃんかよう! あんなにエロいご主人さまなんだぜ!?」


 ……イジメちゃおうかな?

 ふと、そんな事を考えてしまう。

 

 俺がそんな事を考えしまうのだから。

 森山さんはさぞかし……。


 と、思って森山さんを見ると。

 いつの間にか大剣を肩で担ぐようにして、吉田さんを見下ろしながら威圧していた……。


 怖い。

 というか、森山さん。その大剣を打ち下ろさないでね……。

 



 ……俺は、少し前の記憶を思い起こす。


「君たちへの。ご褒美の初仕事は、ゴブリン討伐にする!」


 略して言えば、そう言われたのだ。


 魔王マリスカレンは、微笑んで俺たちにゴブリン退治を命じたのだ。


 もう、パーティにゴブリンはいるのに……。


 魔王は、ゴブリン退治用の転移ゲートだと言って室内に光の柱を呼び出すと姿を消した。

 この森山さんも潜って行けそうな太さの光の柱が、どうやら別な場所につながっているらしい。



 ……それにしても。

 魔王マリスカレンの部下になるとか。ならないとか。

 

 それ以前に俺たちのそれぞれの『ここはどこ?』とか『なぜ? どうして?』とかを軽くすっ飛ばして。



 そういう展開になってしまったのは。

 ここで涙目になっている吉田さんのせいだった……。

 細かい描写は俺が疲れるので、その時の魔王とゴブリンの吉田さんのやり取りをかい摘まんで述べさせてもらう。



『ご、ご主人さまー!』


 ……ここでゴブリンの吉田さん。

 魔王のひざ元にペロペロしかねない勢いでスライディング土下座。


『わたくしが冒険魔物パーティ【魔物になろうズ!】のリーダー! ゴブリン吉田32歳 派遣社員でございますぅ!』


『……ほう、ゴブリンのそなたがこの強者どもを率いていたのか』


『なんなりと! このゴブリン吉田にお命じください! 配下の者どもと力を合わせ、いかなる困難なミッションもSランク達成して見せましょうっ!』


『その意気や良し。そなたたちへの褒美として討伐任務をくれてやる』


『あ、ありがたき幸せ!』


『お前たちが出てきた転移門を、目的に設定してある。私に逆らうゴブリンどもの砦だ。軽く攻め落として来てくれ』


 そういうと、マリスカレンは自身の影に沈み込むようにその場から消えてしまった……。


 このやり取りは、ほんの10秒程度


 俺は不覚にも、魔王のナイスバディに文字どおり悩殺されて思考停止していた。

 森山さんは、吉田さんのスライディング土下座にびっくりしてドン引きしてしまったらしい。

 



 そして今。

 俺たちは、吉田さんを囲む会を開催していた。


「……さっき叫んでた。配下の者どもって……どの『者ども』なの吉田さん……」


 森山さん。超怖い声だせるんだ……。


「あ、あれは。演出……そう! 演出!!」 


「はぁ? なんなのソレ? じゃ、ここで真っ二つになる演技とかしてみる?」


 俺も、ちょっと強気に吉田さんに確認する。


「吉田さん。ゴブリンなのにゴブリン討伐とか請け負って大丈夫なんですか?」


「……たぶん」


「それって俺や森山さんがメインで戦うとか丸見え展開じゃないですか」


「……ゴメン。でも、わかるだろ佐嶋氏。あの魔王のエロエロのフェロモンはヤヴァイ」


「う、確かに」


「精神未成年の佐嶋氏も、奴の胸とか尻とか気になったろ? 俺みたいに完全体のオッサンはああいうナオンにコロッとやられちゃうのよ! 心が。うん」


「……」


 結局。

 俺は、吉田さんの醜態を魔王の強烈な悪魔的なスキルで強制された結果ということで森山さんに納得させて。

 ゴブリン退治に向かう方向で調整を掛けた。


 そういう俺の動きを、なにもかも呑み込んで森山さんはしぶしぶ納得してくれたが。


「佐嶋君、あんまり吉田さんを甘やかすと佐嶋君の命が縮まるかもよ……気を付けて」


 なんかのフラグにならないことを祈ろう……。

 つか、ヴァンパイアに命ってあるのか?


 俺はそんなことを考えながら、魔王が用意したゴブリン退治ミッション用のゲートに近づいていった。

 

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