心と体
2. "心と体"
「あれ」から2カ月だった。
窓の外を見ると昔のわきあいあいとした商店街が戻ってきていた。そう、あれから
「僕の周り」の何もかもが、少しずつだが戻りつつあった。しかし、「僕の周り」だ。僕自身が変わってしまっていたのだ。以前はそれに気づいてはいなかった。いや、気づいていないフリをしていた。しかし、もう目を背けることが不可能なほどの変化に気づいてしまった。それは僕が「錬金術師」
になってしまったことだ。別にこれは、嘘でも冗談でも、頭が壊れただけでもない。
現に僕は今きている服を鉄にかえることができる。これを気づいたのはたった5日前のことだ。
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僕はいつものようにが学校に登校し、と言いたいところだが、実際のところ、ニュースであのことが放送されて以来登校できていないのだ。なぜか?そんなことは言わなくてもわかるだろう、人類が滅びそうだったからである。
よって僕は学校で学べないのなら1人で勉強しようと考え、勉強していた。その途中で喉が渇いてしまい水が欲しい、とふと軽く思った。すると、さっきまで自分の持っていたはずの鉛筆が消えていたのだ。それだけだったら鉛筆を落としたのだと思うだろう。しかし次に気がついたのはさっきまで持っていた手が水でびしょ濡れだったのだ。確かに僕は汗のかきやすい体質だが、その水の量は異常なものだった。僕が書いていたノートはほとんどが水を含んでいて書いてあった文字が歪んで読めなくなるほどだった。僕は慌ててノートの水を乾かそうとしたがもう遅かった。次に机に目をやったするとあろうことか僕の鉛筆どころか筆箱も無くなっていたのだ。どこかに落としたとおもった。それはかすかだが自分の利き手、つまり鉛筆を持っていた右手で触れた感覚がのこっていたからだ。そのために落としてしまったと考えるのは必然的だ。
しかし、いくら探しても筆箱も鉛筆も見つからなかった。それらのことをふまて考えられることは、非現実的ではあるが鉛筆や筆箱が水に変わったと言うことだ。そして僕はこの出来事が起こる直前のこと思い返し気づいた。確かに僕は「水が欲しい」と思ったことを。しかし、そうやすやすと、そんな非現実的なこと受け入れる僕ではない。そのため予備の鉛筆が入っているペンたてから新品の鉛筆をなるべく何も考えないように取り出した。そして鉛筆を近くのからの空のガラスでできた透明な花瓶のうえにくるよに持ち水になれと心の中で念じた。するとあろうことか鉛筆がほのかに光だし、水に変化したのだ。そして、できた水は花瓶の中に美しい音を立てながら弾んだ。
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それからと言うものこの力はなんなのか徹底的に調べ上げたところいくつかのことがわかった。
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第1
ある物質を違う物質に変えることができるが何もなければなにもできない。
(空気や大気は変化でいない)
第2
錬金をした物質と同じ体積のものしか錬金出来ない。
第3
錬金した物質は変えた物質の体積のうちなら好きな形にできる。
(自分の想像力が及ぶ範囲内)
第4
この世に存在するものにしか錬金出来ない。
第5
右手で触れながらでなければ錬金できない。
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この5つが今わかっている僕の能力である。
しかしこの程度のことならば隠せば他の人となんら変わりない生活ができる。
しかし問題は次である。
僕人として必要な感情、言い換えるならば
「心の一部」が欠けているところである。
僕は一度だけ、人は死んでなぜ悲しむと思ってしまったことがあるのだ。これでわかるだろう、僕はもう人の心を持っていないことを、いや、人でないことを.............
第2話 終