出立は慌ただしく
「忘れ物はないな」
「全部持った」
「それにしても何日だっけ、1月いなかったわよね」
「そうですね色々な場所に行ったのでこの宿にもそれほど居ませんでしたね」
慌ただしかったのは事実でこの国での思い出をめいめいに口にしながら荷物をまとめる。
都合よく南へ行く商人の護衛の仕事が見つかったのでさっさと国を出ることにした。
いつ皇の気が変わって「やっぱ殺そう」となるか分からないから国を出るのは早いに越したことはない。
待ち合わせ場所へ向かおうと宿を出ると見知った顔が迎えてくれた。
カーヤとジョウとポールの3人だ
「おっ見送りに来てくれたのか。悪いな」
「まあね、短いつきあいだけど一応。あと『ラクーンではククナがいい値段で売れる』って上司から餞別だそうよ。市場で買ってったら?」
「……ありがとうと伝えておいてくれ」
「オッケー」
ラクーンは護衛終了後に向かうつもりだった街の名前だ。
カーヤは知らないだろうが行き先決めたの夕べだよ、本当にどこから調べてくるのやら。
餞別というからには俺達が出て行くこと自体には何も言うことはないのだろう。
ギルドというかあの人は敵に回したくないな、いやホント。
「アキラは、いやアキラ様はもう簡単に出歩く訳にはいかない立場なので私たちだけで申し訳ありませんが挨拶だけでも、と思いまして」
「大討伐とこの騒動、世話になりっぱなしだったな。アンタらが居なけりゃ俺らとっくに死んでたよ」
2人に礼を言われる。
確かにモンスタ-はともかく国に狙われれば彼らの命などあっという間だったろうがこちらもただの成り行きなので何か照れくさい。
「いやたまたまだよ。それより3人はこれからどうするんだ?」
「アキラとともに当分王宮で礼儀作法や規律の勉強ですよ。まあ口封じに消されることを思えば大したことではないですが」
「そうか親衛隊に配属されるんだっけ。カーヤも?」
「ふふん、私は国とギルドの繋ぎ役として両方から雇われることになったのよ。いやー出世よ、大出世」
「……ポール」
「私たちもそれなりに付き合い長いので」
「ならいいんだ」
有頂天なカーヤに不安を覚えたが彼女は彼女で仲間がいるから大丈夫なんだろう。
その後彼らとは2・3話をして別れた。
「……」
「……」
「……」
「ちょっと、何か言いなさいよ」
「いや、何というか……良かったのかホントに?」
「何、今から戻ってアキラと結婚してこいとでも言うの?」
「ダイチ様その言い方は駄目です」
「ダイチわかってない」
「うえっ?」
途端に不機嫌になるサラ。
いや自分でも今のは無いかと思ったけどまさかフォルテだけでなくミゥにまで駄目出しされるとは。
「ゴメン。ただ昨日の返事、無理強いさせた気がして……」
「いい? あたしは自分で冒険者って道を選んだの。あんたが嫌ならとっくにお金返してパーティ抜けるわよ! ったくいい年こいたオッサンがぐちぐちと……」
「面目ない」
「ああっ、もう! 戦闘時と同じとは言わないけどもう少し自信持ちなさい。そんなだからほっとけないのよ。ほら、さっさと行くわよ」
その言葉どおりサラは駆けていってしまった。
「よかったじゃないですか。サラ様もダイチ様のことが好きってことですよ」
「ミゥもダイチもサラもフォルテもみんな一緒。行こ、みんな一緒なら平気」
「ん、そうだな。ありがと2人とも」
2人に礼をいい俺達はサラの後を追って歩き出す。
次の国ではもう少し落ち着きたいかな。
いろいろ駆け足だった感もありますがこの話と同時更新の設定兼あとがきで翠稜皇国編は終了となります。
ここまで読んでいただいた皆様には深く感謝いたします。
次はGWの更新を目指して書いていますが努力目標なので間に合わない場合はご容赦を。




