後始末と告白と
モンスターを倒しようやくアキラたちに追いついたのだがこちらのほうも決着は既についていたようだ。
彼らの側には殴られたのか顔にアザの出来たダールとローブ男の死体、そして増援に呼び出したのであろう改造モンスターの死骸が3体分。
「ダイチさん、良かった無事で。こちらもなんとか終わりました」
こちらに気が付いたアキラが声を掛ける。
「とりあえず終わりか、それじゃこいつを親衛隊に引き渡して休むとするか」
はいと元気にアキラたちは返事をしてダールを担いで屋敷を出る。
第二皇子が第三皇子を抹殺しようとして逆にこれを捕縛。
城の人たちはこれから大変だろうなと他人事ながら気の毒に思う。
ほかにモンスターなどの気配がないことを確認して俺も屋敷を出ようと思ったのだがふとローブ男の死体が目に止まる。
結局、こいつが何だったのかわからないままだったんだよな。
こういうのは大抵、闇組織の一員だったりしてほっておくと死体やらなにやら消えてたりしてな。
そう思い一応回収しておくかと、俺はローブ男の死体も一緒に運び出した。
翌日、城に呼ばれた俺達は事の顛末を教えられた。
ダールの言い分によると元々ローブ男に皇や第一皇子を廃し自分が皇になれと唆されてやった、そのための手勢としてモンスターの研究の資金援助をしていたとの事だ。
そのための実験として国内にモンスターを放ちデータを取っていたことを白状した。
またローブ男についてだが分かったのはグリス(灰色)という偽名らしきもののみで詳しいことは何も分からずその背後関係は結局不明だ。
ダールの処遇はこれからとのことだが国皇殺害を計画した以上2度とこの城に足を踏み入れることはないだろう。
終わってみれば案外とあっけないがそんなもんかな。
俺達は今回の問題解決に尽力したとして口止め料込みの褒美を頂戴し、城を出ようとしたところでアキラもとい皇子に呼び止められた。
「どうしました皇子、なにか忘れ物でも?」
「やめてくださいよ、アキラでいいです」
「流石にそういう訳にはいかないよ」
次期皇だし、という言葉は飲み込んだ。
第一皇子は先程の報告の際、弟が自分の殺害を計画していたことに顔を青くして崩れるように自室へ引きこもってしまった。
以前から噂レベルではそのような話もあったようだが実際に当人が自供したのはショックが大きかったのだろう。
このメンタルでは国を任せられないと考えた家臣が強く、若いアキラに期待するのは当然でこれからは城内で政治の勉強をさせられるそうだ。
これ以上問題が起こらないなら彼が皇になるのは確定と言っていいだろう。
「わかりました。ところで皆さんはこれからどうする予定ですか?」
「準備が出来次第この国を立つ予定だ。砂漠を越えて南のほうへ言ってみようと思う。ここより冒険者の仕事は多いらしい」
この国で実入りがあまり良くないのも本当だがそれよりも今回の騒動の顛末を知る俺達が国内を自由に動くのは国として面白くないだろう。今度は俺達を対象に刺客を送り込まないとも限らない。面倒ごとになる前にさっさと逃げ出そうというのが俺の考えだ。
ついさっき思いついたことなので仲間達も「えっ」という表情でこちらを見ている。
アキラはそうですかと呟いたあと意を決した表情でこちら、というかサラに向かい
「あの、サラさんにお話があります。この国に残ってはいただけないでしょうか」
「へ、それってどういう?」
「俺、いや私の妃になってください」
突然の告白に固まる俺達。
確かに思い返せばアキラは合流してからサラとよく話していたような気もするがまさか気があるとは思いもしなかった。
「私はこの国で皇子としての運命を受け入れ生きていくことを決めました。仲間たちも力を貸してくれるでしょうがその隣に貴方がいて欲しい。好きですサラさん、昇黄であなたと会ったときからずっと」
ド直球だ。
俺達もそうだが当のサラも戸惑いこちらのほうをチラ見したりしている。
「わお修羅場? 修羅場? どうすんの? 行かないで、とか言っちゃう?」
煽るなカーヤ、っていうか居たのか。
とはいえここは俺がなにか言うべきところだろう。
彼女の幸せを願うなら血生臭い冒険者を続けさせるよりここでお別れというのも一つの手ではあるが彼女の性格上王宮で大人しくしていられるかは疑問だ。
心情的にもこの4ヶ月一緒にやってきた彼女とは別れがたいのだがいいオッサンである俺がが彼女を引き止める以上言葉は選らばなくてはならない。
執着してるように見せるのも問題だがかといってあまり彼女に関心がないようなことをいうのも問題だ。
「あーサラ、お前がどうしてもここに残りたいとか俺と一緒は嫌だとか言うのなら止めはしないし祝福もしよう。ただ、少しでも迷っているならこのまま俺達と一緒に旅を続けよう。せっかく4人パーティになったばかりで別れるのは寂しい」
どうだ?
「……ずるいわね、それで私が残ったらなんかアンタらが嫌いだから別れるみたいじゃない。心配しなくても一緒にいくわよ。まだ借りも返してないしね」
「う、ごめん。それに金のことなら今回の報酬で十分……」
「残って欲しいの、欲しくないのどっち!」
「……残って欲しいです」
「もっとハッキリ!」
「残って欲しいです!」
「よろしい。んん、ゴメンねアキラ、こいつあたし居ないと働かないのよ。それに王宮暮らしは似合わないし」
ほっと息をつく俺達。
どうやらパーティ解散の危機は免れたようだ。
「でもありがと、好きって言ってくれて嬉しかったよ」
「いえ残念だけどやはりサラさんはそれでこそなのかもしれませんね」
そう寂しそうに笑うアキラに別れを告げ俺たちは城を後にした。
大地を好きと明言してるのはミゥのみでサラがどう思っているかは分かりません。ただの仲間なのか、恩人なのか、それ以上か。
明日更新の話で翠稜皇国編は終了となります。約3週間、毎日更新にお付き合いいただいた方、まとめ読みをしていただいた方ありがとうございます。あともう1話だけお付き合いください。




