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一度は言ってみたい

 襲撃者はやはりというべきか第二皇子ダールの差し金である。

 証人は既に城へと引き渡しており、間を置かず彼の逮捕と継承権剥奪が行われるとのことだ。

 ただ俺達はその前に逃亡するのではと考えダールを確保するため彼の館の前に来ていた。


「凄い館ですね。大きさもそうですが全体に白硬輝石を使用しているとは……」


「ある所にはあるものね」


「随分と羽振りがいいようで」


 ポールが感嘆の声を漏らし、皆も感想を口にする。

 この世界、魔法がありまた一般人でもレベル20にもなれば小型重機並の力を持つため普通の健材では強盗などに対して全くの無力となってしまう。

 そのため用いられるのが高硬度の建材である。欠点は重量がとてつもないことだが一般的なレンガでも鉄よりは硬く、錬金術など特殊な製法で作られた物は高価だが更に頑丈である。その中でも白硬輝石はその名の通り白い光沢を放ち最高の硬度を持つとされ、大手商人や貴族などの間では玄関の一部にこれを敷き詰めることがステータスといわれるほど高価で建材としては城や砦など重要拠点にしか使われず個人の館を総白硬輝石などで建てることはまずない。ようはめっちゃ金持ちだということだ。


「愚痴ってないで行くか」


 放っておくといつまでも話してそうなのでさっさと中に入ることにする。


「待て、ここはダール様の屋敷だ。許可の無い者を通すわけにはいかん、さっさと立ち去れ!」


 敷地に入った途端、奥から警備の兵士数人が走ってきて退去するよう告げてきた。

 皇族の敷地に入る度胸はないとでも思っていたのかえらく慌てて来たな。

 俺らが門の前でうだうだやってたのは見ていたはずなんだが。

 まあいい。


「第二皇子ダールには第三皇子アキラ暗殺未遂および国内各地へのモンスター放流の咎が確認され逮捕の命が下った。確保まで大人しくすればよし、邪魔立てするなら同罪として処罰する」


「ふ、ふざけるな冒険者風情が勝手にっ………………」


 こちらの目的を告げると兵士は顔を見合わせてからこちらに文句を言ってきたので兵士を殴りつけ昏倒させる。

 素直に通せばそれでよし、そうでないならいちいち説明して時間を掛ける必要はない。

 ダールの私兵だからおとなしく通してくれるかも分からないし。

 警備するくらいだからレベルもそれなりだろうし兜の上から殴ったのでまあ死にはしないだろう。


「良し」

「ダイチさん……?」

「行くぞ」

「……はあ」


 2・3度似たようなやりとりを行いダールの居たサロンへと辿り着く。

 小さめの体育館ほどもある広さのサロンには兵士の姿は無くダールとローブに身を包み顔が分からない人物の2人のみ。


「なっ、お前は! なぜ生きている!? おい、アレを使ったのではなかったのか!!」

 アキラの顔を見るなり驚きローブ男に詰め寄るダール。わかりやすい自白をありがとう。


「お前の企みはすべて露見した。皇に代わり僕がお前を裁く!」

 別に俺達に裁く権限はないのだが勢いに任せて叫ぶアキラ。

 俺も空気を読んで無言で槍を構える。


「おい、なんとかしろ!」

 ヒステリックに叫ぶダールに応じたのかローブ男が杖を掲げると部屋の隅にあった石像が動き出す。

 ゴーレムか、と誰かが叫んだがそれだけでは無いようだ。

 石像のあった場所には穴が開いておりそこから改造モンスターたちがわらわらと湧き出てきて2人を守るように前に出てきた。


「は、ははは俺に逆らう者はこうなるのだ。やれ!」

 ダールの命令に従いモンスターたちが襲い掛かってくるのだが俺達も慣れたもの。

 最初に飛び掛ってきたウルフ型はあっさりとバラバラにされるが魔法で焼き尽くされ、続く4本腕や虫型も同様に屠られた。

 残るは足の遅いオーガ型3匹とゴーレム2体。


「くそっ」

 毒づいてダールとローブ男は奥の部屋へと逃げて出した。

「待て」

 そう言い追いかけようとするアキラだがオーガ型に阻まれる。

 一気にレベルアップしたがまだコイツの相手はキツイだろう。

 俺は出口を庇うように立っていた1匹を蹴り飛ばし叫ぶ。


「アキラ、お前は奴らを追え。ここは任せて先に行け!」


「で、でも……」


「俺達は大丈夫だ、すぐに追いかける。それよりも奴らを逃がすと何をしでかすか分からん」


 ここは任せて先に行け、男が一生のうちに一度は言ってみたいセリフの一つだ。

 今その言葉を噛まずに言えて非常に満足しているがただ言いたかったというだけではない。

 奥から更なる増援を連れて来れれては面倒だし、ダールはともかくローブ男のほうを逃がすのは危険な気がする。

 こういう奴は大抵裏にヤバい背景があると相場が決まっているのだ。


「さあ俺達に任せて先に行け!」


「わ、分かりました!」


 促すように再度呼びかけるとアキラたちはモンスターの攻撃をすり抜けダールたちを追っていった。


RPGとかでなんで壁壊せないの?という疑問に対する私なりの考え。たぶん魔法なんかで強化して壊せないようにしないとモンスターどころか強盗にも対処できないよね。

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