狩り
大鷲城、翠稜皇国王都紅明の北東部に存在する政治の中枢、それも玉座のある謁見の間に今俺達は居る。
俺達8人は来賓扱いでキラーヤ配下の親衛隊に挟まれる形で整列していた。
全員が整列した後、手筈どおり少し遅れて2人の皇子とその取り巻きたちがやって来る。
一方は正統派の美青年、もう一方もまた美形ではあるがまた悪そうな顔をしている。ホントに兄弟か?
「父上、急な呼び出しでしたがどうされました? なにやら重要な案件とのことですが」
「うむ、アキラよ。前に」
皇に促されアキラが皇子たちの前に出る。
「この者はアキラ、今この時をもって王位継承権第三位とする」
「なっ!」「これは一体!」
驚きを顕わにする皇子一行。
もっとも、騒いでいるのは配下の者だけで当の皇子たちは突然のことに声も出ないようだ。
このあとアキラの王位継承者としての認証にまつわる儀式やパーティの仲間であるジョウ、ポールの親衛隊叙勲などが行われ、城で一泊したあと俺達は宿屋に戻っていた。
これは急に決まったためまだアキラたちの住居がないので準備が整うまではこれまでと同じ暮らしをさせている。と、2人の皇子たちには説明しているが勿論違う。
「ダイチさん、仕掛けてきますかね?」
「見え透いたワナだがここで乗らなければお前を排除するのが難しくなるからな。まあやり易いように挑発してみるか」
「?」
俺達は街から少し離れた森で狩りを行うことにした。
ここは人目につかず暗殺を行うには丁度良い場所だろう。
「ダイチ様、釣れたようです」
フォルテが刺客が来たことを小声で俺に教えてくれる。
俺達は気付かない振りをしながらただそのときを待つ。
「【シールド】!」
飛んできた矢にサラが反応し魔力の盾を形成してアキラを守る。
それと同時に俺、ミゥ、フォルテは襲撃者を撃退しながら見届け役である皇子の側近の捕獲に動く。
ギルドがこちらについたため前回とは違い急遽金で集められた者達なのだろう、目立たない格好をしているが森の外からこちらを伺っている時点でまるわかりだ。
襲撃者たちは予測していたのであろうか俺達の進路を塞ぐように動くが見届け役は焦って逃げようとしているのが目に見えて分かる。
他のみんなはアキラを守りながらの戦闘をしているうちにコイツを押さえて皇子との繋がりを吐かせようと思っている。
正直準備をして臨んでいたため苦戦はないと思っていたのだが誤算となる障害が現われた。
反対側から改造モンスターが出てきた。
「なんでこいつが?!」
「偶然……な訳ないよな。繋がってたってわけか」
まあ考えてみれば国内各地にモンスターを放したりそれを隠蔽できるのだから相当な権力がないとできないのだから当然ともいえた。
防戦に徹するとはいえ流石に改造モンスターまで出てきては危険だ。
俺は作戦を変更することにした。
「フォルテ戻るぞ、ミゥはそのままアイツを押さえに行ってくれ!」
捕獲はミゥに任せ俺達はみんなの元へと戻る。
森の中とはいえ今は日中であり前回夜間に戦ったときとは違い敵も味方もハッキリ見える。
ようは全力で戦えるということだ。
俺は槍を振るい合間に手斧やナイフを投げつける。
敵は完全に避けきれずそのまま絶命するか大ダメージを受けその場に倒れこむ。
襲撃者たちは引き続き仲間に任せ俺は奥の改造モンスターへと仕掛ける。
「【烈波】」
そう言い振るう穂先にはオーラの刃を纏わせ改造モンスターを3匹纏めて両断する。
前回と同じならチマチマやりあうより頭から真っ二つにしたほうが早い。
「凄げえ……」
アキラたちから漏れる驚嘆の声に気を良くした俺はそのまま残る改造モンスターを片付け、残る襲撃者へと刃を向ける。
奥の手のつもりだったモンスターをいきなり倒されて気勢が殺がれたのか敵は逃走をはじめ、俺達は襲撃者の生き残りたちを捕縛することに成功した。
それから少しすると気を失った人間を担いだミゥが戻ってきた。
よし、今度はこちらのターンだ。




