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警備

 改造モンスターとの戦いから数日経ったある日、俺たちはとある商店の警備の依頼を受けていた。

 警備はパーティを組んでから初めてやることになるのだがこれはこの依頼を受けることが盗賊ギルドに改造モンスターの情報を調べてもらう交換条件だからだ。

 なんで盗賊ギルドが警備の依頼をと思うかもしれないが至極簡単、ギルドへの参加を拒んだ者がこの商家に盗みに入るという情報を入手したためで俺たちには殺さず役人に突き出して欲しいとの条件がつけられた。

 これはギルドに参加せずに盗みを行う者がどうなるかの見せしめであり、俺たちを介するのは冒険者を動かせる程度の力があることを示している。

 俺たちにしてもギルドの条件とは別に警備の報酬がもらえし犯罪行為に加担するわけでもないので異論はない。


「ふぁ~」

「おい盗賊、なんでアンタが眠そうにしてんのよ」

「うわ盗賊差別。盗賊だからって全員が夜に強いわけじゃないわ。私は日が沈むのと一緒に眠る主義よ、ってうわっ!」


 ……今回、監視役としてスリ女ことカーヤが一緒なのだが正直邪魔でしかない。

 俺たちは屋根の上から襲撃を待つことにしたのだが屋根に上るのを失敗すること2回、屋根から落ちそうになって動いたために【隠れ身】の魔法の効果が切れるのがこれで5回目だ。ギルドとの繋がりがなければ縛っておくところだ。


「フォルテ、悪いけどもう一回頼む」

「【隠れ身】。あの、差し出がましいようですがいっそ眠らせてしまったほうが……」


 考えることは同じらしい。


「そうだな、次やったらそうしてくれ」


 だが残念ながらカーヤが何かやらかす前に盗賊のほうが来てくれたようだ。

 数は4人、もう少し接近してきたら一網打尽だ。俺は仲間たちに目配せをして飛び掛る準備に移ったのだが……


「さあ、ギルドに逆らう愚か者さん、全員捕まえてやるわっ、わわあぁ~~~~~!!」


 叫びながらカーヤが立ち上がり、バランスを崩して落ちていった。何やってんだよ。


「どうすんの?」

「臨機応変に!」


 そう言って俺は盗賊に向かった。

 連中も呆然としていたが俺が向かってくるのを見て慌てて逃げ出そうとするが突然糸の切れた人形のように崩れ落ちる。フォルテの魔法で眠らされたのだろう。

 俺らの出番はないまま盗人(未遂)を縛り上げ衛兵へと突き出してやった。


「おい、大丈夫か?」

「見ての通り、ご覧の有様よ。頭を打ったみたいだからとりあえず治療しといたけど」


 屋敷まで戻るとサラが未だ気を失ったままのカーヤを診ていた。


「まったく、現場に出してみれば少しは使えるようになるかと思ったんだが……」

「うわっ、いつの間に!」


 いつの間に居たのか俺の横にはジョーンズがいた。


「スリの腕と戦闘技能はまあまあなんですがそれ以外は全くでしてね」

「そのようで」

 正直、戦闘技能があること自体疑問なのだがわざわざ尋ねることでもない。

「貴方達と一緒なら死ぬこともないだろうと簡単な仕事を回したのですが……」

「済みません、こちらの不手際で……」


 それでか、相手も大したことはないしコイツはコイツでやる気もなかったしな。


「いえ、一部始終見ていましたがあれは酷い。いっそ今の衝撃でマトモになってくれればよいのですが」

「……」

 頭から落ちるのを見た上でこのセリフを言うとはなんて恐ろしい男だ。


「おっと、そうでした。これは依頼されていたモンスターの情報を集めた報告書です。彼女をよろしくお願いします。それでは」

 そう言うと彼の姿はもうどこにもなかった。今回も誰も消えた瞬間を見たものはいなかった。やはり恐ろしい男だ。


「ねえ」

「どうした?」


 改めてジョーンズに脅威を感じているところにサラが声を掛けてきた。


「いや、さっきの人ってコイツの面倒をアタシたちに押し付けてったのよね」

「あ!」


 ちなみにカーヤは警備が終わった時間ピッタリに目を覚まし、自分の分の報酬を受け取って元気に帰っていった。


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