幕間 リンゴ
「それにしてもあんたそれ好きよね、いっつも食べてない?」
「ん?」
休憩中、リンゴをかじっていた俺にサラがそんなことを聞いてきた。
品種改良が進んでないのか果物は酸味がきつかったり甘みが薄かったりするものが多いなか、今食べてるリンゴは俺が好きだった品種に良く似た味がするのでお気に入りだ。
いま向かっている翠稜皇国にもあるか判らないので優先して大量に買い込んできたので実はこれ以外生で食えるものはない。
あ、勿論干し肉とかの保存食は持ってるけどね。
「ああ、これは俺の住んでたところとほとんど同じなんだ」
「故郷の味……って、あんた異世界人なんだっけ。そんなに違うの?」
実のところこの世界の食事情はそこまで違いは無い。
もちろん無い物とかはあるが輸送はともかく魔法による保存技術が発達しているため金さえあれば世界中の食材が冒険者の俺でも簡単に手に入る。
料理も西洋風が主だがラーメンや餃子といった中華や日本風のカレーなど日本人の俺にも馴染みの料理も多い。
俺自身、食にこだわりがあるわけでもないので多少の味覚の差はそれほど気にならない。
とはいえこちらの一般的な安料理は味が薄すぎて合わないのでどうしても食事は2~5倍くらい掛かる。
「やたら塩とか持ってたり高いものばかり食べてると思ってたけどどうりで……」
「ダイチの食べてるのはしょっぱい、肉は生で喰うのが一番だぞ」
「あまり味が濃いものは体に悪いと聞きます。差し出がましいようですが少し控えてはどうでしょう」
そんな説明をすると皆の反応はよろしくない。
というか不評だ。
「いいだろ食いモンくらい、これでも元の世界から比べたら塩分控えめなの! はい、この話終了」
形勢が不利なのでこの話は打ち切って別の話題を振ることにしよう。
「と、ところで翠稜皇国ってどんなところなんだ?」
「んーあたしもガーフォークってか孤児院からほとんど出たこと無いからよく分からないわ。けど商人は行き来してるんだからあんまり変わらないんじゃない?」
「そんなもんか」
「そんなもんよ」
まあ変わらないというのは安心といえば安心だがせっかく別の国へ行くのだから何か特色があるといいな。
「んじゃそろそろ行くか」
休憩を切り上げ出発することにする。
「ダイチ、あたしにもリンゴちょうだい」
「今出るって言ってるのに歩きながら食うのか?」
「いいじゃない、そういうのも」
「ほれ」
「あんがと」
リュックから出したリンゴを放ってやるとミゥとフォルテも同じように。
「サラだけずるい、ミゥも食べる!」
「あの、私もダイチ様の故郷の味を食べて見たくなりました。ひとついただけますか?」
「お前ら……ほら」
2人にも同じようにリンゴをやる。
皆が食べてると俺も欲しくなってくる。も一個食べるか。
4人で歩きながらリンゴを食べる集団、傍から見たら何やってるんだって思うだろうな。
まあたまにはいいか、こういうのも。
次の話の製作が遅れまくっているので、「忘れてるわけじゃないよ」という言い訳がわりの投稿となりました。次は年末・正月休みには投稿したいと思います。




