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フォルテ

 エルフの少女は前に出てこう言った。


「戦士様、レキサスを連れて行くのだけはお許しください、殺されてしまいます」


「フォルテ、この者は掟を破りこの里に危機をもたらしました。レキサスは優れた戦士でしたがそれに驕り今回の事態を招きました、諦めなさい」

「たったひとりの弟なんです、私にできることなら何でもしますから弟を連れて行くのだけは許してください」


 うーん、このお姉さんには可哀想だが結構な犠牲が出ている以上、街へ連れて行っても処刑は確定だろう。

「フォルテさんだったか、悪いがそれはできない。そいつは明確にこちらを敵と認識した上で殺しにきた。こちら側も死んだ者が大勢いる以上、野放しにはできない」

「そんな……」


 これが事故とか偶然の産物ならなかったことにしてもよかったがこいつのコモン敵視は放っておくには危険すぎるんだよなあ。

 俺が無理だと分かると今度は女王の方に向き直る。

「女王様、お願いです。弟には強く言い含めます、厳罰でも構いません、でも命ばかりは!」

「フォルテ、先程の話を聞いていましたね。私達の命運はこの方たちの御心に掛かっているのですよ。助けていただく条件として争いの原因であるレキサスを連れて行くのです」


 いや、今更皆殺しとかしないよ。

 正直目の前でこういうことをやられると心が痛むがここは女王にまかせて納得いくまで話してもらったほうがいいな。

 そう思っているとミゥが俺に言う。

「ダイチ、ミゥも家族が離れ離れ。あいつの気持ち少し分かる」

「うーん、でもなぁ」

「じゃあさ、代わりに値打ち物頂いてきましょうよ、身代金ってことで」

「お前ら、いいの? 殺されかけたこととか後から復讐にくんじゃないかとか」

「ミゥ、強いから負けない。こいつら別に怖くない」

「まあ、あたしも思わないところがない訳じゃないけどコイツが二度と手出ししてこないなら別にいいわよ。」

 サラも同意見のようだ。


「そうか……。女王、聞いていたと思うがそういうわけだ。そいつの管理と何か適当に見繕ってくれればこれで手を引こう。これ以上血を流す必要もないしな」

「よろしいのですか?」

「ただしそいつの管理は厳重にしてくれ。俺たちの立場もある、コモンの隊商を襲ったエルフは5人、すべてが冒険者により退治された。これは徹底させてくれ」

 万一、こいつが再び襲撃を行えば俺たちの信用はもちろんこの集落の存続にも影響が出るだろう。


「判りました、ありがとうございます。ただ、彼の命の対価に見合うだけの報酬を差し上げられるかですが……」

 申し訳なさそうに女王が言う。

 たしかにミスリルの武具とかを使っていなかった以上、宝飾品は期待できないだろう。

 エルフの弓でも貰おうかと言おうとしたときフォルテがとんでもないことを言い出した。


「弟をお許し下さりありがとうございます。命に対する対価は私の命で払わせてください」

「え」

「皆様にしもべとしてお仕えさせてください」

「いいじゃない!」

 俺がなにか言おうとする前にサラがいきなり了承の意を伝えた。

「それってあたし達の下につくってことでしょ。いやー、あたしもそろそろ下っ端が欲しかったのよ」

「おい」

「いいのよ、どうせ真っ当な金品は期待できないみたいだし。向こうとしてもきちんと報酬を出したほうが安心でしょ」

 俺の非難は無視してサラは女王と話を進める。


「そうですね、善意に期待するといっても大した対価も差し上げられない以上不安は残ります。彼女は戦士ではありませんが優秀な弓の腕があり初歩的な魔法なら一通り使えます。皆様が宜しければ私としては異存はありません」

「じゃあ決まりね、よろしくねフォルテ」

「はい、フォルテ・ファーウームスと申します。皆様に誠心誠意仕えさせて頂きますのでこれからよろしくお願いします」


 こうしてエルフ娘フォルテが俺たちの仲間(?)になった。


三人目の仲間フォルテの登場です。この世界のエルフは「薄くて細い」です。彼女もその例に漏れず立場の割りにあまりエロエロした感じにはなりません。仲間の目もあるので仕方ありませんが……

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