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みんななかよく

 本日はガーフォーク北の農村に出没する巨大カラスの討伐に来ている。

 ってホントにでかいな羽を広げてるからかもしれないが俺の3倍以上は大きい。

 そんな感想はともかく俺は巨大カラス3羽に向かって槍を振るう。

 2匹には当たり地面に落とすことに成功したが残りの1羽が逃げようとしている。


「サラ、ミゥ! 残りを頼む!」

 俺の声に応えて、あらかじめ待機していた2人が行動に移る。


「【エネルギーボルト】!」

「うわっ! 掠ったぞ下手糞!」

「アンタが早すぎんのよ、周りを良く見なさい!」

 2人は同時に攻撃を仕掛け飛び掛ったミゥにサラの魔法が当たりそうになった。やれやれまたかといったところだ。

 ミゥを仲間にして1月半、2人はいつもこの調子だ。

 ミゥは最初の印象からか戦闘経験の少ないサラを下に見てるしサラのほうもプライドが高いのかいちいちそれに反応してケンカ腰に対応する。

 それでもしっかりカラスを仕留めているのでこちらもモチベーションを落とすのもどうかと思い叱り辛い。


「なんだと!」

「なによ!」

「そこまでだ。さっさと死体を村まで運ぶ。羽が痛まないようにな」

「「……はい」」

 俺もカラスを仕留めた後、2人に駆け寄り仲裁する。

 叱ればすぐに中断してくれる。この辺の切り替えが出来るのは凄いことだと思う。

 あとは村を出る頃までに忘れていればベストだ。




「いや~それにしても随分いい稼ぎだったわね今回は」

「まあ王都から馬車で3日のところを全力で駆けて1日で対応したから大分色もつけて貰ったしな」

 帰り道を話しながらのんびり歩く。

 行きは緊急で助けて欲しいという依頼だったので俺がサラを背負い全力疾走で一晩掛けて村まで来たのだ。

 俺はレベルアップで強化されているため普通の馬の何倍もの速さで走ることが出来るようになっていた。

 元の世界ならオリンピックのメダル総なめにしてドーピングの疑いを掛けられること必至だ。

 そんな俺に併走してきたミゥのほうが凄い。

 彼女は現在レベル1、つまり元からレベル108の俺とほぼ互角の能力なのだ。

 その代わりなのかレベル上限が7と低く次のレベルのための経験値も多いためレベルアップはまだ遠い。

 彼女、カテゴリーとしては魔物なんじゃないかと思ったりする。

 基本的に彼女の面倒は俺が見ており金も俺が一元化して持っている。

 これは俺が騙して搾取しているというわけではなく彼女は貨幣経済のないところに住んでいたので2ケタ以上は「たくさん」なので誰かが管理してないといけないのだ、まあ手が肉球なので物を持てないからというのもある。

 彼女は最初に皮の鎧とインナーを買ったくらいであとは買い食いくらいしかお金を使わないのであまり気にしていないのかもしれない。

 一応は何かあった時のために金貨5枚、銅貨500枚を持たせているのだが覚えているかどうか怪しいものだ。

 それより金に煩いのはサラのほうだ。


「その辺の交渉はあたしがしたんだから感謝しなさい。全部で金貨60、あたしの分は13枚。うーん順調、順調」

「わかってるって、助かってるよ本当に」

 ご機嫌だ。サラは大分戦闘にも慣れてきて初見のモンスターにも対応できるようになってきた。

 それに加え依頼人との交渉を引き受けてくれるので随分と助かる。

 以前はしつこく値切ってくる相手に辟易としていたのだがそんな連中からでもしっかりと報酬を取ってくる。

 修道女っていうより商人のほうが合ってそうだ。


「ダイチ、あまり褒めると調子に乗って付け上がるぞ。さっきも慌てて魔法を使うからミゥに当たるところだった」

「なんですって! 突撃するしか能のないアンタに言われたくないわよ!」

「あーまた始まった」

 俺が意識を外している間にもヒートアップしていたようで2人の怒号で我に帰る。

「で、どっち?」

「え?」

「だからどっちが正しいかって言ってるでしょ!」

 だいたいどちらかが間違っているなら最初の段階でこちらから指摘するのだから俺としてはどっちの判断もアリなのだ。

 だが2人にはそんな心情は関係なく俺に判断を迫ってくる。

 基本どちらか一方を悪く言ったりどちらも悪くないと言ってはいけない。

 一方だけ悪く言えば機嫌がずっと悪くなるし、どっちつかずだと話を聞いていないと怒られる。

 可能な限り公正な裁きを求められる厄介な事案だ。

 そもそも俺だってきちんとした訓練を受けたわけじゃないから何が正しいかなんて判らんのだぞ、と心の中で言い訳を言ってからジャッジを下す。

「んーそうだな、今回は待ち伏せをしてもらったんだがお前らちゃんと打ち合わせはしたのか?」

「したわよ、あたしが魔法で打ち落としたあとミゥルが飛び掛る手はずだったのよ。それを」

「違う、お前が翼を撃つ、ミゥが胴を裂く、だ」

「あんた判ってないじゃない!」

「お前さっきの話と違う!」」

「はいストップ。全然ダメだろ、それ」

「「う」」

「実際どうだったのかは言った言わないになるから追求しないけど、確認一切してないだろ。お前ら仲悪いのを知ってて作戦任せた俺も悪いけど命掛かってるんだからその辺はしっかりすること、いい?」

「「……はい」」

「元気がないもう一回!」

「「はい!」」

 できればこれを機に仲良ならないかと思って作戦を初めて任せてみたんだがいきなり上手くはいかないか。

 全部手探りだから少しづつやってくしかないのかな。


ダイチはずっとソロだったので仲間うちの揉め事に対する調停能力はありません。元の世界でもあまり人付き合いが得意ではなかったのがここに出てます。

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