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至高の花園  作者: 菅道
第1章 至高の花園
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 天界。天宮と五つの大陸に多くの神が住んでいる。

 世に言う『代替わりの戦争』も一応終結し、新しい天帝が即位して、一見天界は平和になったかのように見えた。


 天界の東側にある蒼龍大陸。幾つかの王国に分かれているが、一番の大国はオスト王国だった。

 天宮の真下にある中央大陸に近く、豊かな農業力と地下資源に恵まれた国だが、『代替わりの戦乱』の最中に国王を亡くしその息子である王子が年若くして即位し戦に明け暮れた。

 クラウス・オスト。現在二十七歳。金髪碧眼の美丈夫で『太陽の君』と呼ばれ有名である。

 母は、クラウスが十二歳のとき弟の出産時に産褥で死んだ。その弟ニコルは、銀髪であることから、兄に対して『月の君』と呼ばれている。

 クラウスの家族は、ニコルのほかに、妻である正妃グレイスがいる。


 そのグレイスは、朝早くから館近くの庭で水遣りをしていた。

「う~ん、今日もいい天気ですわ」

 柔らかな太陽の光と、豊かな土壌。

 そこから得られる野菜は、王妃の食卓に並ぶのに十分なものだった。

 連作で土壌がやせ細るのを避ける為、季節ごとに様々な植物を移し変えながらグレイス自身の育てている。

 王妃のやる仕事ではないという声が上がっているのは、昔から変わらない。

「でも、好きですし、今はこれぐらいしかやることがないんですもの」

 中央大陸出身のグレイスにとって、野菜を含め植物を育てるのは、己の力を少し使うだけのことに過ぎない。

 グレイスの力とは、通称『緑』の力。植物を芽吹かせ育てるのに大地を読み、水を誘い、風によって空気を運び、場合によっては火を使って暖かい温度を保たせる。

 勿論、『緑』の力を持つとは言っても、生まれながらに力の差があるのは事実だ。

 力の少ない者は単体の植物を育てる程度だが、力の強い者の場合、体調しだいでは一つの国家全体を緑豊かにすることも可能だ。それ故、『緑』の力を持つ者は、どの国でも珍重された。


 グレイス・ミッドラル・オスト。

 中央大陸全土を統べてきたミッドラル王家の王女だったグレイスは、碧眼が蒼龍大陸の者達の特徴であるのに対し、中央大陸出身の特徴である緑の瞳を持っている。

 これはそれぞれの大陸に住む者の力に起因している。


 各大陸が成り立つ際、神々は大陸固有の力を持つようになった。

 東の蒼龍族は『水』、西の白虎族は『風』、北の玄武族は『地』、南の鳳凰族は『火』、そして中央の麒麟族は『緑』の力を持った。

 五つの大陸は、一応対等だった。だが、『緑』の力の属性から、中央大陸が暗黙のうちに他の四つに比べ優位となっていた。

 だが、この前の『代替わりの戦乱』によって、中央大陸を統べてきたミッドラル王家は、グレイスを残して王族はすべて滅び、『緑』の力を持つ民は各大陸へと散り散りになり、中央大陸は廃墟となった。


 そして、グレイスはオスト王国の王妃として、今王宮内にある後宮の最奥にある離宮で暮らしている。



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