二曲目
なんかよく分かんないけど、オレはありもしない罪で疑われてるらしい。
何で分かるかだって?
自分の左胸に手を当ててみたけど自分の犯した悪事が思い浮かばないのに、何故か牢屋に閉じ込められているからだ。
最近やったのは、学校で使う石板を誤って教師の頭の上に落っことした事ぐらい。
ここの集団とは全く何の関わりもない。
「おい、本当につかまったのか?」
「ああ、そうだぞ」
「へえ、こいつが」
「弱そうな奴だろ?」
さっきから看守とのそういうやり取りが聞こえてくる気がするけど、ここは無視しておこう。
看守、オレの評価が酷すぎるぞ。
「おい、何だこの騒ぎは!?」
「戻れ、戻れ!今から仮面裁判が開かれるんだからな!」
上司らしき人物達に言われて、オレの牢の前にいた人は散っていった。
これで安息が得られる。仮面裁判がどんなやつかは分からないけど、オレには関係ない。
それよりも、腹がすいた。家から出てくる前に何も食べなかった。
何か食べてこればよかった。
ギギッ・・・。
牢の扉が開いた。
もしかしたら、逃がしてもらえるのかも。
それとも飯か。
「仮面裁判が行われる。神に祈るんだな」
あんまりだ。
オレは何にもしてないのに、なんで裁判にかけられなくちゃいけないんだ。
今オレがいるのは、でっかい部屋だ。いや、天井が高い部屋だ。
大きい長い机が、オレより高い所に並べられていて、オレはデッキみたいな所に立たされている。
「被告人。言い分を聞こう」
この声は、あれだ。さっきの女の人の声。今は銀色の仮面を被ってる。
というか、被告人が誰なのか分からない。
後ろを振り返ってみた。
仮面に開いた穴の隙間から覗く目に睨まれた。
被告人というのはどうやらオレの事らしい。
「えーっと・・・。何の事かさっぱ・・・」
「しらばっくれるな!」
これはまずい。
状況が分からないんじゃ言い訳なんて出来るわけがない。
「オレはやってません!」
「じゃあ誰がやったと言うんだ!お前が捜し出してみろ!」
なんか一方的に怒られてばかりの気がする。
「じゃあ、そうします」