一曲目
毎日更新目指してがんばるぞ、おー・・・。
目が合った。
これがきれいなお姫様とで、あなたが私の運命の人なのね、っていうパターンだったらよかったけど、相手は最強最悪の盗賊の集団だ。
運悪すぎ。
で、オレは茂みに隠れようとした。でも、盗賊共は一瞬にしてこっちに飛んでくると(あれは絶対に飛んでた)楽々オレを捕まえ上司の元に戻る。
「こいつをひっ捕らえて、フラン様の所へ連れて行け」
フランって、本名なのか?いや、もちろん偽名だろう。盗賊なんだから。
オレを捕まえている手下は頭が悪いのか、ぼけっとしていた。
すると上司は、
「何ぼけっとしてるんだ!このへたれがっ!」
さっきの事と合わせても、この集団は部下に対して厳しいらしい。
で、オレはフラン様とかいう奴の所に本気で連れて行かれるらしい。
でも、ここで抵抗とかしたら何されるか。
きっと明日ぐらいには木の枝に吊るされたオレの死体が村の人たちに・・・。
おお、怖い。
だからオレは抵抗しない事にした。
オレを捕まえている手下(仮にAと置く)は、ダッシュで走り出した。
頭は悪いけど、足は速いっぽい。
程なくして、洞窟が見えてきた。ここがねぐらなんだろうか。
それからAは、洞窟に入り、岩の階段を下りて、仲間と一言二言喋った(もしかしたら奇声発してただけかも。知らない言語だったから)。
また階段を下りた。
そして、いきなりオレを地面に落とすと、縄で縛り始めた。
こいつは力の加減っていうのが分からないんだろうか。骨が締め付けられて痛い。
不自然に細くなったオレの胴体を見て、少し縄を緩めてくれたからよかったけど。
そこに仲間が通りがかった。また喋りだす。
知らない言葉だ。さっきと一緒。もしかしたらこれは暗号なのかもしれない。
盗聴防止、みたいな。
Aの仲間は喋り終わったあと、オレを吟味するかのようにじろじろ眺め(たぶん。だって仮面に隠されてて見えないし)、オレを担ぎ上げた。
Aよ、君はオレを放棄するつもりなのか。もう少し君は責任感というものを持ったほうがいいんじゃないだろうか。
それからは、何回も何回も階段を下りた。
10回ぐらい下りた気がする。
最後の階には、でっかい岩のアーチに薄い布のカーテンがかかっている。
「失礼します」
やっと自分に分かる言葉が聞こえた。
最後の階だから盗聴されないからだろうか。
でも、たぶん、ここがきっとボスの部屋だ。
カーテンの柄は女物っぽいけど。
「辺りを徘徊していた少年を見つけました」
「真か?」
「はい。連れて来ました」
ドスが効いた声だ。はっきりいって怖い。
カーテンの裏の人は、
「入れ」
「はっ」
オレは立たされ、ドンと背中を押された。
捕虜ならもうちょっと丁寧に扱ってほしい。
足も縛られてるんだから。
勢いでカーテンを潜ると、女の人がいた。
紫の髪に、強烈な赤紫の目。
目つきがすごぶる悪い。
スタイルは最高。
仮面が近くのテーブルに置かれているのが見えた。
「最近この辺りをうろついているのは貴様なのか?」
女が聞いた。