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その7 獅子と羊

家を出ると此所は町で有り、すぐそこが市場であることが分かった。どうやらこの世界では魔法を使用出来る者も居るみたい。


…先ほどからメチャクチャ痛い視線を感じるのだが……。矢張り格好へんしんがミニスカでピンクだからかな?


「君は何処から来たんだい?」


薔薇を口に銜えてる…凄く古典的なヤツが話しかけてきた。…あぁそうか。今は美少女になったらしいな。

どうりで嬉しくない視線な訳だ。だってそうだろ?男に見られて嬉しい男がいた方がキモイと思うわ…。


「ロイ、この子は記憶を無くしているの。ちょっとそっとしといてあげて。」


妹が上手くごまかしてくれた。ナイスッ琴音!だが…琴音よりも可愛い設定なのか?

どんなけ可愛いんだよ、今の自分…。


「今のヤツはロイ・マルグス。町一番の女好きでモテ男ランク10位には入るらしいわよ。私には良い所がさっぱりわかんないケドねッ。」


でも、ロイとか言うヤツは確かに格好良かったと思う。少なくとも転生前の俺自身よりは。(そんなモノ比べようが無いのだが…)


「あれは何だ…?」


そう言ってデカ過ぎる建物に向かって指を指す。


「あれは今から行く所。まー行けば分かるッ!いっくよぉぉ!!」


…妹よ、異世界に来てからキャラ変している気がするのは俺だけか?こんなキャラじゃなかったよねッ!?妹なら何しても可愛いがッッ!



● ● ● ●



「やっほぉ~、お久しぶりでぇーす!」

「あッ!マリアちゃん、久しぶり~~ッ!」


妹に向かって「マリアちゃん」と呼ぶ声が妙に気になる。こっちの名前だろうか?


「あッ、こっちではマリアって呼ばれてるからー。琴音でも別に良いけど…」

「マリアちゃんッ、その子は??」


ここでも男が寄ってくる事寄ってくる事……。その芽が何か怖いわッボケ!荒い鼻息が聞こえて来そうな勢い。獅子ライオンに狙われた羊にでもなった気分。


「この子、新入りなのさ。可愛いだろぉ~~ッ!シオンって言うから。」

「シオンちゃんッ宜しくねッ」


俺はシオンと言う名前の事になった。ってかされた。男にハーレムされても嬉しくないんじゃボケ!!おほんッ口が悪くてすみませぬ。


「俺とチーム組まない?」「俺ッ」「僕と…」

「あッ、ごっめーん。もうマリアが組んでるから無理なのッ。」

「ええー」


俺の知らない所で勝手に話が進んでいくが、全く理解出来ない…。



「じゃッハイこれ。それを胸に押し当ててッ。」


そう言って渡されたのは、鍵の様な物体。変なマークが刻まれている。


「こうか…?」


その瞬間、鍵の様な物体は心臓の方にに飲み込まれ、消滅していた。


「ようこそシオン、我がギルドへ!!!」




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