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どうして小説を書いたのか

作者: 星 則光

 小説を書くのは、これが初めてです。もちろん、投稿も初めて。無謀な挑戦かもしれませんが、それでも物語という形でしか伝えられないという思いがあり、この『闇を孕む光』を書きました。


 舞台は、今からちょうど十年後…2035年の日本です。


 AIや空飛ぶ車が当たり前になっている未来ではありません。日常の風景は今とほとんど変わらないまま、ただ一つ、社会の年齢構成だけが大きく変わっています。

 高齢化率は30%を超え、日本人の3人に1人…約3,500万人が高齢者。15歳未満の子どもは1,000万人ほどに減り、現役世代の負担は限界を超えています。


 十年後になっても、介護や肉体労働を完全に担えるAIロボットはまだ存在しないでしょう。働くことのできる日本人だけでは支えきれない多くの仕事を、外国人に担ってもらうほかありません。


 一方で社会では、「いい外国人はいさせてあげるが、悪い外国人は追い出せ」という声が強まります。その“いい外国人”とは、単に法律を守るだけでは足りず、日本人と同じ価値観を持ち、自らのアイデンティティを捨てることまで求められる人たちです。逆に、“悪い外国人”は法律違反の有無にかかわらず、感情的な基準で判断される一面もあります。


 主人公・村嶋朗(むらしま あきら)は、こうした排外的な雰囲気が色濃くなった日本で、その流れに逆らいつつも葛藤を抱えながら仕事を続けています。彼の胸には、日本が世界に例のない超高齢社会の重みに押しつぶされ、静かに、しかし確実に崩れていく未来への危機感があります。


 やがて国は、増え続ける高齢者への対応として、物価や人件費の安い海外への「移住」を推し進めるかもしれません。外国人を日本へ迎えるのではなく、日本人の高齢者が外国に“移民”として渡る…そんな逆転した未来です。


 私は、朗と同じく外国人の在留に関する仕事をしています。日々の業務を通じ、この国はすでに外国人に働いてもらわなければ、労働力も消費力も維持できなくなってきていることを実感しています。それにもかかわらず、現実の社会では外国人に対する視線が年々厳しくなっています。


 しかし実際に会えば、日本で暮らす外国人のほとんどはごく普通の人たちであり、日本人以上に「いい人」であろうと努力している人も少なくありません。


 「今」日本にいる外国人と、どう共に暮らしていくのか…。

 それが、十年後の日本が皆既日食のように闇へ沈むのか、それとも光を見出し生き残るのか、その分かれ目になるのではないか。私は、現実の世界を見ながらそう考えています。


 外国人材に関するセミナーでも、この危機感をお話しすることもあります。しかし、セミナーという場では、知識としては理解されても、身近な問題として捉える人はほとんどいません。だからこそ、私はこの思いを物語にして描くことにしてみたのです。


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