コンパスおばさん
フィクションです。モデルありません
3話ダッチ
「Aはアメリカ Bはイギリス Cはチャイナ Dは….?」
ふと思った疑問は大きかった。テスト中に出てきた問題に僕は戸惑った。これまですらすらと進んでいた手が止まり静寂に収まる中小さく鈍い声を出した。ABCは百歩譲って分かった。解けていない問題と言えばこれくらいだ。次第に周囲のペンを走らすを音の数は減っていき時間が近いことが分かった。
(Dお前はいったい誰だ?)
時間に追われながらも次第に冷静さがわいてくることが分かる。そのさなか歴史で言っていたことを思い出した。 ”ダッチ”
(おめえ誰だよ)
恐らくはこれであるという確証へと至ったが何という国なのか分からなかった。
「あっ!」
周囲の視線が一瞬集まったがその途端にサッと顔を伏せていた。
(思い出したぞ思い出した。)
先生が言っていた。盛大に滑ったところが印象に残っている。
「オランダ俺のダッチ!!ハッ!..........で覚えるといいよ」
思い出したことを時間ギリギリで書き進め始めた人たちと同時に書き、書ききった。チャイムが響く音後心地いいと思った。テストの確認が終わってあいさつしたとともに多くの人が動き出し話していた。他のクラスメイトは「簡単だった。」「難しかった」だの言っている。そうするとOKBが寄ってきて言った。
「どうだった?」
自分がテストを受けていたINTKの席に座ってしゃべり始めた。問題を後ろに置いて理科の用語集を片手に言った。
「まあまあだね」
OKBはOKBらしくなく数学には自信があると語っていた。
土日を挟み時間は過ぎていって、とうとう歴史のテスト返しの時間になった。正直ワクワクしていた。満点の自信があるからだ。返されていく答案の裏に透けた点数を見て優越感のあまり笑いを抑えようとしている自分がいた。とうとう自分の番が回ってきて答案が返された。
「どれどれ? えっ!!」
その答案には97点の文字があった。3点問題を間違えたのか2点問題+減点と思ったが、どうにも間違えていたのは一番自信のあるABCD包囲網の国名問題だった。そこには確かにオランナと書いてあった。先生の間違いだと思い立ち上がろうとしたとき驚いた。
「これ”オランダ”じゃなくて釣られて”オランナ”になってるじゃああん!」
ひょっこりと顔を出したINTKはこう言った。
「「「ダアッッチ!!!」」」
こうしてMZの伝説の100点のテストはそのまま伝説となった。
終わり