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ダークサイド  作者: Fluffy
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幼馴染にバレた彼女の秘密1/2


 花桜里(かおり)は怒っていた。腹の底から。なんの知らせもなく突然目の前から消えて、1年行方をくらませて戻ってきた親友。それだけでも彼女にとっては許し難いことだった。

(親友の私に一言もなく、何をしてたの?私たちの関係ってそんなものだったの?)

 彼女は消えた親友である(あき)が戻ってくるまでの間、ずっと怒りと悲しみに包まれていた。


 だが戻ってきた丹の姿を見て花桜里は喜んだ。親友が戻ってきたのだ。悲しい思いをさせられたけど、戻ってきたのは嬉しい事実だった。怒りは消えていた。何があったかは本人の口から聞かせてくれるまでそっとしておこう。今はかつての私たちのように唯一無二の親友でいよう。また親友として共に時間を過ごしてたくさんのことを共有していこう。そう思っていた。


 だが、意図せず聞こえてしまった事実に花桜里の心は打ち砕かれた。忘れたはずの悲しみが怒りへと変わったのはあの日。それは偶然だった。




 デビュタントのあの日、黄輝(こうき)と花桜里は丹の家を訪ねていた。花桜里はどんなドレスで行くのか、お揃いのアクセサリーを付けよう、一緒に会場へ向かおうと提案しに行くために。黄輝はエスコートを申し出るために。二人は偶然家の前で出会った。以前からよくあることだった。幼馴染だから。よく誰かの家でバッタリ会うものだった。

 

 今回もそうだろうと、お互い皮肉を言い合う中であっても丹の幼馴染であることには変わらず、なんだかんだでいつも一緒にいる“いつメン”が揃ったと思っていた。


 丹の家に入ると使用人が出迎えてくれた。幼い頃からいる丹の家の使用人の夕子(ゆうこ)。歳は花桜里たちよりも10コ上。頼れるお姉さんだ。いつも快く花桜里たちを出迎えてくれる。だが今日は違った。


「花桜里様、黄輝様、今日はお嬢様に会うのはお控えなさった方がよろしいかと……」


「どうして?今日はデビュタントよ?丹も出席するんでしょ?」


「……どうでしょう」


「どういうことよ?五大夫になる人間がデビュタントに出ないんて聞いたことなわ!それに、これは私たち女性が社交界の一員として認められるための式典よ!」


「…そうなのですが、その……お嬢様は最近ここに戻ってきたばかりで、エスコートを頼める男性がいないと仰っておりました」


「そのことは気にするな。俺が丹を連れて行く」


 黄輝はそう言って夕子の静止を押し切って丹の部屋である2階へと上がっていく。それに続く花桜里。夕子はこの家の使用人であるとはいえ、五大夫にたてつくことはできない。声を上げて一応止めには入るが、物理的に止めることはできない。止めたとしても彼らであれば術式でも発動して夕子を縛り上げるだろう。そういう、人の話を聞かない面が丹の幼馴染たちにはある。


 夕子の静止を押し切って丹の部屋の前まで行くと、室内から丹と丹音(あきの母親)が言い争っている声が聞こえる。ドアノブに手をかけようとした黄輝は思わず止まる。中の声を聞こうと耳を澄ませると、とんでもない言葉が聞こえてきた。


「あなたは!なんて事したの!?嘘だと言ってちょうだい!」


「こうするしかなかったの!」


「だからって、何でよりにもよって暁人(あきひと)様と寝るなんて!自分が何をしたか分かってるの!?」


 黄輝は中から聞こえてくる声を花桜里には聞かせられないと思い、花桜里の耳を術式で塞ごうとしたが花桜里が難なく黄輝の術式を無効化する。遅かったようだ。聞いてはならない一言を花桜里は聞いてしまった。


 どうするべきか黄輝が焦っていると、丹の部屋のドアが開く。丹音が出てきたのだ。いるはずのない二人が目の前に現れて丹音はあからさまに動揺する。先ほどの話を聞かれてしまったのかと顔に焦りが浮かぶ丹音をよそに、花桜里がいつもの笑顔で挨拶をする。


「こんにちは丹音(あかね)さん!デビュタントに来ていくドレスとアクセサリーについて丹と話そうと思って、来ちゃいました。中に入ってもいいですか?」


 いつもの花桜里だ。おそらく中の会話を聞いていただろう花桜里が平常心を装っていることは黄輝は気づいている。だが丹音は先ほどの会話は聞かれなかったと思い込んで、花桜里を丹の部屋へと招き入れる。


「…花桜里!わざわざ来てくれたのね!ちょうど良かったわ。丹がしばらく見ないうちにおしゃれに着飾れなくなったみたいなの。選ぶの手伝ってあげて」


「喜んで」


「丹、花桜里に手伝ってもらって身なりを整えなさいね?二人で会場に来るのよ?私は会場でやることがあるの。先に行ってるからね。必ず来なさいよ?花桜里、丹をお願い」


「はい!任せてください!」


 花桜里はとても愛想良く丹音へ言葉を返した後、そのまま丹の部屋へと入っていった。丹音は廊下に出てドアを閉めて一息つくと、黄輝をまっすぐ捉えた。


「……さっきの会話、聞いてたでしょ?」


「はい」


「ちょっと時間いいかしら?」





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