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【Part5】

「というワケで、その場で求婚という名の決闘を申し込まれてコテンパンに返り討ちにしたらなぜか結婚が決まっちゃって、でも一夫多妻や一妻多夫は10人くらいフツーに当たり前の世界らしいから、この世界で夫1人出来たくらい問題ないよねっ!

 で、こちら、この度めでたく私の第一夫になった、ロディさんです!」


「こんにちは、ロディです」


「顔の良いお調子者には気をつけてって、小さな頃から口を酸っぱくして言ってるでしょーーー!!!」


 ハルエは警戒心を露わに、私の隣にいるロディさんを睨みつけた。


「………宗教なら間に合っていますあと新聞も間に合っていますあとスカウトも勧誘もお断りです宣伝もコラボも一切お断りお金は貸せません土地もあげれません」


「えっ………いやあのええと………?」


 刺々しい口調で早口に捲し立てるハルエに、ロディさんは困り顔だ。


 うーん、ハルエ………。初対面の人にその態度はどうかと思うけど、でもハルエは極端な人見知りだから、しょうがないのかな。


 私がハルエに注意するか悩んでいると、ハルエは私をキッと睨んだ。


「ナツコ、こんな時にまで何をやっているの?!

 こんな、芸能人みたいにカッコいい男性が、お金以外で私達に話しかけてくるわけ無いでしょ!

 しかも、け、結婚詐欺だなんて!先週だって、わけのわからない理由で500万円騙し取られたの、もう忘れちゃった?!」


 顔を青くして、ハルエが私の肩を掴む。


 節約家のハルエには、残念ながら慈善事業という概念が無い。

 多分、この前私に惚れ込んだ病気の妹さんがいる貧しく売れないバンドマンの事を言っているんだと思うけど………てかそもそも、たった500万くらい大した金額でも無いし、大騒ぎし過ぎなのよね。

 まあ、そんな心配性なハルエも可愛いくて私は好きだけどね。


「こーら、ハルエ。困っている人にお金を回すことは当たり前。あ、でも?ロディさんは、お金いらないらしいわよ?」


「あ、あんた達みたいな美人から、金を取るなんて出来ないっ。俺、こう見えて目や耳が他の奴ら

 よりも良いから、気配を消したりして狩人としては腕がたつ方なんだ、だから、頑張って働くから!」


「あんた達?あら、ロディさんは私に求婚したくせに、ハルエにも粉をかけるつもりかしら?」


「違う!俺は、ナツコ一筋だ!!!

 ………ナツコの友達、ハルエさん。あんた達が異世界から来たことは、ナツコから聞いている。

 たまに異世界人がこの世界に迷い込んでくることも、異世界の常識と俺達の常識が違うということも、こちらでは有名な話だから説明するけど………この世界では『強さ』が全てなんだ。

 だからそのエロい……いやその大木のような素敵な体格と踊り狂う岩石のような筋肉のナツコやあんたは、俺らからしたらとんでもない美人なんだよ。

 ………なあ、俺みたいな細くて弱い奴は、あんた達異世界人から見たら、カッコいいんだろ?

 今まで俺は、こんなだから結婚は諦めていたんだが………ナツコは、こんな枝のような俺のことカッコいいって言ってくれたんだ!

 な、なあ、異世界では知らんが、あんた達には、俺みたいなのがイケメンに見えるんだろ?

 俺は、このチャンスを逃すつもりは無いんだ!

 ハルエ、俺がナツコの第一夫だということを、どうか認めてくれ!」


「本当にちょっと待って情報過多でついていけない」


 ハルエはフラフラと地面に膝をついた。私の突然の結婚報告に、ショックを受けたみたい。

 いつもの貧血ね。運動神経良いのに、お嬢さんというか、お姫様体質というか………ほーんと、手のかかる子なんだから。


 これは、結婚したとしても、ハルエには私が必要ね。


 女の友情、永遠に、ってね!







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