【Part4】
澄んだ泉に、私は自身の白い裸体をそっと沈める。温泉ではないけれど、そんなに冷たくなくて気持ちいい。
ああ、肌が水を弾いて光ってる。相変わらず私の肌はピッチピチね。それに、自分でも惚れ惚れするダンプカーのようなスタイル!皆が私の美貌を褒め称えるのがわかる気がするわ☆
木々の隙間からの小さな木漏れ日が、水面とそこに浮かぶ私の黒髪を照らす。
私は機嫌良く水面を弾き、鼻歌を歌った。
「んぼぼぼぅうえええ〜ん、ンごががあああ〜あ〜へいはいほ〜ん!」
私の声が、風に溶けて小さく流れる。木々に止まる小鳥達が、地面にフワリと降りてきて……あら、そのまま寝ちゃったわ。ふふっ、私の歌声は動物にも心地良かったのね。
服と身体を洗い終わると、私は泉で水遊びを始めた。
ガサガサガサッ!
すると後ろから、人の気配が!!!
えっ、ハルエ以外で私の背後を取る人がいるなんて………やるわね!一体どんな人かしら?
勢いよく振り向くと、そこにはほっそりとした優男がいた。
少しガリガリ過ぎかな、でもまぁ、顔は極上の超イケメン!
これで筋肉さえついていれば最高の男なのに、もったいないわねぇ。
「すっ、す、すまない!盗み見るつもりは無かったんだ!」
キレイに整った顔を真っ赤にして謝ってくるイケメン。
赤い髪に赤い目。髪色はともかく、赤いカラコンを使うなんて、珍しい人ね。
彼は挙動不審な動きで慌てふためいている。でもそのくせ、私の裸はしーっかり見てるんですけどね!
「すまないという割には、人の身体をジロジロと見てませんか?」
「目が、離せなくて………」
「ふーん。ま、私ってばこの肉体美ですもんね。わからなくはないケド?」
「………な、名前を………」
裸の私をガン見しながら、彼は震えながら聞いてくる。
ほーんと、男ってしょうがないわねー。
私は腕で胸を隠しながら、眉をつり上げた。
「人に名前を聞く時は、まずは自分から名乗るものじゃない?それに、いつまで見てるつもり?私、服を着たいんだけど」
「すすすすまないっ!俺は、ロディっていう名前で………」
「もう、いーわよ。ちょっと待ってて」
私の裸をタダで見るなんて失礼な奴だけど、この世界の右も左もわからない私とハルエには、情報が必要だ。
いい機会だから、この第一村人にはいろいろと教えてもらっちゃおう。
「ハッ………!」
私は濡れた身体と衣服を気合いで瞬時に乾かし、サラリとした服に袖を通した。
「えっ………?!一瞬で乾かしたのか、なっ、何をしたんだ?」
「ふん、このくらいのお洗濯は流石に出来るわよ。それとも何?私が若いお嬢さんだから、家事の1つも出来そうにないとでも思った?」
「あっ、いや、そ、そういうことでは………!その、その服も、変わっているが、えーと、に、似合っているなっ!」
「それ、褒めてるつもり?」
「ああ!き、綺麗だっ!」
真っ赤な顔で私のことを褒める赤毛のイケメン。
「結婚してくれ!!!」
そして、突然の告白。
アワアワしちゃって、まあまあ可愛い、かな?
でも、そんなありきたりな言葉は聞き慣れてるわ。捻りの無い愛の言葉に、私は少し呆れた。