武闘派王女は恋をする
短編二作品目となります。楽しんで読んで貰えると嬉しい。
とある国の王様は1人の娘を授かった。生まれながらに絶世の美女となる事を約束されたかのような神々しさを持って産まれた彼女をカミカと名付けた。そんな彼女はすくすくと成長した5歳の頃自分や父、母を守るための兵士の訓練を見て、
「やってみたい」
そう言ったカミカに笑いながな父たちは了承した。兵士に指示を出してそれっぽい枝をカミカに渡して兵士たちと同じように素振りをさせた。これが始まりだ。その日からカミカは毎日のように兵士の訓練に混ざるようになった。そして、毎日の訓練を続けて10年が経過してカミカと下級兵士の模擬戦が行われた。木刀を使用しての模擬戦。当たりどころによっては死ぬ可能性があるので勿論手加減するように兵士は言われたのだが、
「あの? 王女様強いんですけど」
手加減するとはいえ負けるつもりはなかった。しかし、初手をカミカに譲ったら思いがけない速度で突っ込んで来て兵士の木刀を弾いてそのまま首元に木刀を突きつけていた。
「だよなぁ。訓練校の連中と大して変わらないぞ」
兵士長はカミカを見る。下級兵士どころか中級兵士をも倒して今は上級兵士と互角に戦っている。
「えっ? この現状を王に報告するの? 俺」
この現状を王に報告しないといけなくなり憂鬱になる。その後もカミカは戦闘訓練を続けた。両親には王女としての振る舞いを学ぶように言われてそちらも学んではいるが、
「つまらない」
そう言って部屋を飛び出して訓練場に行くのであった。そうした日々が続いた結果カミカは王女でありながら兵士長に次いで国内No.2の実力を16歳で身につけるのであった。
「王女。社交界で貴族の方に恥じをかかせるような真似はやめませんか? 王たちも悲しんでおられますよ」
兵士長はカミカにそう言う。つい最近貴族たちが開いた社交界にカミカは招待されたのだがとある貴族のボンボンがダンスに誘ったのだが自分より弱い男とは踊らないと言って断ったのだ。
「だってあいつエロい目をしてたんだもん。ダンスのどさくさでおっぱいを触って来たに違いないわ」
「王女なんですからおっぱいとは言わずに胸と言ってください。下品ですよ」
「うっさいわね。社交界なんてつまんないもん。それに私が付き合うのは自分より強くないと絶対嫌! 兵士長が独り身だったら良かったのに」
「諦めてください。というよりも強さだけで相手を選ばないで下さい。他にもあるでしょ? 顔や身長や性格とか」
「歴戦の猛者みたいな顔が良いわね。名誉の負傷みたいな感じで顔に傷があると尚良し。身長は私より高い事は絶対。性格は私以外の女には靡かず自分が最強と疑わないような絶対的自信を持ってる男ね」
「いませんよ。そんな男」
付き合いたい男のハードルが高過ぎて真顔になる兵士長。
「いるかもしれないでしょ! 世界は広いのよ。きっとどこかに私の求める相手はいるわよ」
「はぁ〜、そうですか。ところで最近城下で話題の男を知ってますか?」
「知らない」
「城下にある剣術道場、格闘道場、槍術道場などが道場破りに合ってるそうです。生き残ってるのは弓術道場だけなので道場破りは近接戦闘にしか興味ないそうです」
「へぇ〜、中々見所がありそうじゃない」
「見所があるなんてもんじゃありませんよ。バケモノですよ。バケモノ。何せ兵士の訓練校にも殴り込みを仕掛けて私の部下の上級兵士を倒してしまったんですから」
この国の兵士の上級ともなれば他国に名前が知れ渡るレベルで5人しかいない。そんな兵士が倒されているのだ。とんでもないバケモノが無名でいたようだ。
「ふ〜ん。よしっ! 出かけるわよ! 兵士長!」
「まさかとは思いますが会いに行くつもりですか?」
「何よ? 私が会いに行く前提で噂を話したんじゃないの?」
「違います。会いに行くのは私1人です。話した理由は王女専属の護衛にどうかと思ったからです」
「だったら尚更私も行かなきゃでしょ。護衛として相応しい相手かは私が決める!」
「ダメですよ。何かあったら私は打ち首です。それはごめん被る。妻もいるし今度2人目の子供産まれるんですから」
「あら、おめでとう」
「ありがとうございます、、、、じゃなくて、とにかく私1人で会いに行き」
兵士長の言葉が終わる前に、
「どっちが先に道場破りに会うか競争ね」
カミカは、そう言って窓を開け放ち部屋から飛び出す。
「ゲッ!? ちょっと!! 王女!!」
急いで兵士長も後を追うのだが、
「クッソ! 完全に油断した。速さは王女のが上だから遅れたら負けなんだよな」
総合力では兵士長が上だが速さにおいてはカミカが完全に上回っているのだ。兵士長は近くにいた部下に王女が城下に逃げたのを話しすぐに連れ戻すように指示を飛ばした。
「あ〜もうお転婆な王女様だよ!」
兵士長も城下に探索へと向かうのであった。
「さ〜て、道場破りはどこにいるのかしら」
カミカは道場破りを探していた。しかし、何の情報もない。
「もう少し兵士長の話を聞くべきだったわね。男って事しか分からない」
分かっているのは男である事、バケモノと言われる位には強いという事、弓術道場を残して全ての道場を潰して兵士の訓練校にも襲撃する恐れ知らずという事だ。そんな道場破りを探すカミカの耳に、
「喧嘩だ! 喧嘩だ!! 地下街で多対一の喧嘩だ!!」
なんて言葉が入る。
「へぇ」
面白い事が起こってると思いニヤリとする。破る道場がなくて道場破りがストーリートファイトをしている可能性があると思い地下街へと向かう。
「15人で囲んでおいてこれかよ。弱いんだよ。クソ共が」
数人の男たちを土台にして銀髪の少年が座っている。そんな少年に、
「あんたが噂の道場破り?」
カミカは話しかける。
「そうだって言ったらどうするんだ?」
「私と戦いなさい!」
「女が俺に挑もうってのか?」
「戦いに男も女も関係ない。とにかくそこから降りて戦いなさい」
「はぁ〜、暇つぶしにはなってくれよ」
そう言って面倒くさそうに男たちの土台から降りる少年。そこでようやく少年の顔を見るカミカ。銀髪が似合うクール系のイケメン。片目には大きな傷があるがそれがカッコ良さをより引き立てていた。身長はカミカよりも高く180前半といったところだ。そんな男に対して、
「それはこっちのセリフよ」
互いに一気に間合いを詰めて刀を振り抜き刀をぶつける。
((速度は互角))
カミカは自分の速さには自信が合った。初手から飛ばしている。それでも少年は対応してみせた。しかも、
(威力は向かうが上ね)
力は流石に体格差があるので負けてしまい。後方に吹き飛ばさる。
(若いから体力も兵士長より上かもしれないわね。つまり、この男は兵士長の上位互換って所かしら?)
自分よりも強い兵士長よりも強い可能性がある男に笑みを浮かべるカミカ。
「何笑ってるんだ? 速さは大したもんだがそれだけだ。それ以外は俺の足下にも及ばねぇ」
「そうね。その通りよ。でもそれで良い。それが良いのよ」
「何言ってんだ?」
疑問に思う道場破りの少年。そんな少年に刀を納めてカミカは近づく。それと同時に、
「見つけましたよ!! 王女様!!」
兵士長がカミカの下へとたどり着いて目にした光景に思わず、
「へっ??」
なんて目の抜けた声を出す。カミカは道場破りの少年にキスをしていたからだ。驚き目を向く少年は急いで距離を取る。
「な、何してんだ!! テメェ!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る。そんな少年に、
「あんたは私の恋人になりなさい!!」
そうカミカは宣告するのであった。
これはとある国の王女、カミカが道場破りの少年、タツタと結ばれるまでの物語。
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連載作品も第二弾をいつか書きたいけどびっくりするくらい筆が乗らない。それでもいつかは絶対書く!! お楽しみに!!