3 『非日常の入り口』
接客室に案内されそこで面接を受けることになった。
「能力保持証明書を見せてくれるかい?」
能力保持証明書とは、能力を持っていることを国に報告していると貰えるものだ。持っていなければまず能力者とは言えない。
「ランクはCね」
SからDまで、ランクごとに危険度が現れている
S︰単独で国家転覆が可能や攻撃力・範囲・適応能力が極端に高い。
国からの常時監視、許可制で能力使用。
A︰単独で中級規模の戦闘力。
許可制で能力使用。半年に1回証明書更新。
B︰一般兵士数人分の戦闘力。
許可制で能力使用。1年に1度証明書更新。
C︰生活系、範囲規定内。
2、3年に1度証明書更新。
D︰生活に少し便利。
登録のみ
「能力名が『猫ノ声』可愛い名前ね。」
「申請する時に役所の方がつけてくれました。」
名前は自分で決めることが出来る。なんでもいい方は役所の方がつけることが多い。変更は可能。
「どんな能力なの?」
「えっと、猫の話している内容がわかったり、猫と意思疎通できることができます。」
「猫探しが楽になりそうね!依頼きてるから助かるわ」
「週どれくらい入れそう?」
「そうですね、週4で入れます。ですが、テスト期間や行事ごとがある時は変わります。」
「なるほどOK〜、学生の本業は勉強だからね!そこの所は報告で大丈夫かな……?」
疑問形で返ってきた。
(報告だったっけな?、あとで雪に確認しないとな)
(最後の疑問形はなんだろう……)
「ただいま戻りました。」
「雪!おかえり〜!今ね、バイトの子が面接に来てるんだ。」
下から上へとじっくり見ながら、何かを考えている。
じっくりと見ている雪に、何かを感じたのか天音は雪に耳打ちをした
『なんかまずいことでもあった?』
「こんな所に面接来る子がマシな子じゃないと腹括って思っていたけれもも、思った以上に大人しい子だから驚いたわ。」
わざわざ耳打ちして教えてあげたのに意味が無いじゃんって顔で雪を見て言った。
「あーぁ、雪?声のボリューム落とそっか、翠ちゃん驚いてるよ?」
「ごめんなさい、あまりにもびっくりしたもので、」
「あっ、いえ、大丈夫です。」
(私も最初詐欺かなって思ったし、お互い様よね)
「じゃ!面接は以上かな!なにか質問ある?」
「特にないです」
「急だけど、明日から猫探し頼んでいいかな?」
(特に何も無いし、いいか)
「わかりました」
「助かるよ〜!!ありがとう!!」
「猫探しの依頼が2件溜まってて、1週間経ってるんだけどなかなか見つからなくて苦戦してたところなの!!」
「猫探すのって大変ですよね、友達の猫探し手伝ったので分かります」
「本当に翠ちゃん来てくれてありがとう!!」
(重宝されてて、失敗した時どうしよう……)
「あまり、翠ちゃんに頼りすぎないように私達も探すのよ」
「もーそのくらい、わかってるよ〜」
「とりあえず今日はもう遅いから帰りなさい、また明日待ってるわ」
「はい、また今日と同じ時間くらいに行きます。」
「あっそうそう、ここら辺で不審者の目撃情報あるから気をつけて帰ってね」
「分かりました、失礼します。」
お辞儀をし、扉をゆっくり閉めた。
ゆっくり階段を降り、階段を降り終わると一気に緊張感が解け地面に座り込んでしまった。
(緊張した!!、あの2人美人過ぎない!??本当に同じ人間!??結が言ってたのも納得するよ)
座り込んで地面を眺めていたら、聞き覚えのある声に視界を遮られた。
「だーれだ?」
聞き覚えのある声に安心を覚え、落ち着いて冷静に答えれた。
「結でしょ?」
「あれ?てっきり、うまくいかなくて落ち込んでるのかと思った」
「違うよ、受かったもん」
「え!?嘘でしょ!?あと人見知りの翠が!!面接できたの!??」
「馬鹿にしすぎ、私だってやれば出来るもん」
「よぉーし!!お祝いにどっか行こう!!」
「おっ、いいね。どこ行くの?」
「カラオケで95点以上取れるまで帰れません!!」
「私サイドメニュー頼んで食べることに専念するよ、頑張れファイト〜」
いつもの流れで、ちょっと意地悪のように言った。
「そうと決まったら、いつまで地べたに座ってるのほら早く立って!」
そう言って、手を差し伸べてくれた。
2階の窓から、その様子を見ていた天音と雪は青春だなと思っていた。
「……青春だなぁ、いいなぁ」
ぽっつっとつぶやく。
「天音、いつまでも余韻に浸ってないで仕事を優先しなさい」
「えぇ〜だって、ああいうの憧れるじゃん」
「私たちからしたらね」
夕日が綺麗だなど話しながら帰っていだが、すぐに日が落ちてあたりは真っ暗になった。
駅に向かう途中、電車の時間に間に合うように人が少ない場所を通ろうとして、帰ることにした。
街頭は切れかかってて、チカチカと点滅している。気味が悪いと思いながら、2人は道を進んでいく。
「ねぇ、なんか気味悪くない?」
「確かに気味悪い…」
翠も思ったが時間が無く仕方ないので、その道を進むことにした。
前から男の人が来た。季節外れの分厚いコートを着込んでおり、周りと浮いている格好だった。
何でも屋を出る時に天音が言ったことを思い出し、嫌な予感しかしなかった。
分厚いコートの男が近づいてくる。
すれ違いざまに、コートの裾をバサリと広げた。
「ひっ……!」
中は何も身につけていない裸だった。
結が青ざめて、翠の腕を掴む。
「ちょ、ちょっと!逃げよう翠!!」
恐怖で足が動かなくなる。だが次の瞬間
「変質者、発見〜!!」
頭上から軽快な声が降ってきた。
見上げると、夜空から人影が飛び降りてくる。
「えっ……!?」
驚く間もなく、天音が地面に着地した。
その手には、空気中の水分を凝縮させ、瞬間的に凍らせた鎖が握られていた。
「おじさん〜?人の前でそれはアウト〜!」
天音が指先を弾くと、鎖は生き物のようにうねり、変質者の両腕へと絡みついた。男は呻き声を上げて倒れ込み、あっという間に動きを封じられた。
「よし、確保っと」
天音は何事もなかったかのように手を払う。
変質者はじたばた暴れるが、鎖はびくともしない。
呆然と立ち尽くす翠と結に、天音がにっこり微笑んだ。
「……大丈夫?怖かったでしょ」
翠は、かろうじて頷いた。
心臓はまだ鼓動が早い。息が詰まる。
(……すごい。この人たちは本当にただの何でも屋なの?)
「あとは雪に任せるとして!、とりあえず何でも屋に戻ろっか」
その時の天音はにっこり笑い、月明かりに照らされて綺麗にひっそりと輝いて見えた。




