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ボクの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第三章 賑やかになるギルド
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取り消された依頼

 永戸の抹殺の依頼が取り消され、殺し屋達の動きが止まった。永戸と渚は動きの止まった殺し屋達を見るが、殺し屋達はバツが悪そうにすると、その場から去っていった。


「どうやら……困難は」

「去ってくれたみたい」


 ふぅっと渚は永戸の後ろで座り込む。永戸も疲れたのか、聖剣を背中にしまうと背伸びをした。


「周囲で俺を狙ってる奴はいるか?」

「いないよ、ボクの感覚を持ってしても見つかんない」

「そうか……」


 渚がEフォンでギルドの依頼情報を見ると、永戸の抹殺依頼は取り消されたようだ。ひとまずなんとかなったらしい。


「抹殺依頼は消えたか?」

「うん、きえた、無事にね」

「そうか、お前には世話を焼いてもらったな、今度なんか奢るよ」

「本当! じゃあ焼肉行きたい!」

「貪欲だな…」


 だが、自分をなんとか守れたと思うと、永戸はホッとして、この事態で助けに来てくれた渚に感謝するのであった。


 ーーー


 そうして闇ギルドに渚が戻ってくると、凱旋ムードだった。


「やったな渚! お前の兄を守り切ってよかったな!」

「流石はナハトヴォルフの女王だ! よくやったよ!」


 そんなことを言われながら渚はカウンターへと歩いていくが、後ろについてくる人がいた。


「おい、なぁあいつが…」

「あぁ、今回のターゲットになった、かつての大戦で英雄殺しと呼ばれた男、陽宮永戸だ」


 ナハトヴォルフの店内に、永戸が入り込んできたのだ。永戸は店内に入り込むと、ジェフリーのところに行って席に座る。


「コーラを頼むよ、それと、渚にもコーラを出してあげてくれ」

「あいよ」


 ジェフリーは冷蔵庫から冷えたコーラの瓶を出すと蓋を開け、2人に差し出す。2人は息を合わせたように一緒のポーズで飲むと、同時に置いて言った。


『あーっ! 一暴れ終えた後のコーラは最高だ!』


 その光景に思わずならず者たちも口をぽかんとする。あの英雄殺しと呼ばれた男が、こんなにフランクな性格をしていたのかと。

 でだ、と永戸はジェフリーに話し始めた。


「久しぶりです、ジェフリーさん、機械兵大戦以来でしょうか」

「あの時は世話になったな、狐の嬢ちゃんとはあれから仲良くやってるか?」

「勿論、大切なパートナーですから」


 永戸はそう言うとコーラの瓶を飲み干し、もう一杯と頼む。ジェフリーは冷蔵庫から再びコーラを出すと言った。


「しかし今回狙われるとは災難だったな、理由は結局何だったんだろうな?」

「いずれはその男とその仲間たちが都市を脅かすから、だそうよ」


 その声を出して戻ってきたのは、シェスティとアーシェだった。


「あっ! 渚のお兄さんだ! お兄さん! 飴玉頂戴!」

「はいはい、これでいいか?」


 アイテムボックスの能力から飴玉を取り出すとアーシェに渡す。アーシェは喜びながら飴玉を舐める。それを見てほっこりした永戸は2人に聞いた。


「2人が俺への依頼を止めてくれたのか?」

「ええ、そうよ、こいつと一緒に戦うの大変だったんだから」

「でもまんざらでもなかったくせに、ツンデレって奴?」

「うるっさいわね! 貴方だってまんざらでもなさそうだったじゃない」


 仲がいいのか悪いのか…と、永戸は苦笑いをするが、だが2人に感謝をした。


「2人とも、俺への依頼を止めてくれてありがとうな、渚に頼まれてのことだったと思うんだけど」

「ちょ! おにぃちゃん! それは言わない約束でしょ!」

「うん、渚ちゃんに頼まれた! お兄さんを守ってって」

「ええ、初めての依頼がまさかこんな任務だったなんて、ハラハラしましたわ」

「悪かったな、俺が迷惑をかけて」


 とんでもない! と2人は言う。


「渚ちゃんのお兄さんってすっごい強い英雄さんなんでしょ! みんなに必要とされてるなら悪い人から守らなきゃね!」

「英雄…そう呼ばれてるのね、初めて見たわ、本物の英雄というものを」

「今回は渚に守られたたけどな、けど普段は、英雄と呼ばれるように頑張ってるよ」


 アーシェとシェスティの2人を撫でると、永戸は渚の方を改めて向いた


「今回はありがとうな、まさか俺が狙われるなんて思いもしなかった。守ってくれなかったら今頃ズタズタにやられたたかもしれない」

「とかなんとか言って、割と余裕あった癖に、でも、守れて良かったよ、おにぃちゃんはボクの唯一の家族なんだから」

「家族……」


 シェスティは永戸と渚が笑い合う姿を見て、少し胸が苦しくなった、自身の家族のことを思い出しては、守ることすらできずに失ったことに対して。それに気づいた永戸はシェスティに振り向いた。


「どうしたんだ? どこか苦しいのか?」

「いえ、いいえ、家族として振る舞ってる2人が眩しくて、ちょっと泣きたくなっただけよ」

「……お前家族は」

「……殺された」

「そうか……」


 すると永戸はシェスティの頭をまた撫でた。シェスティはどう言うことだと目を丸くするが、永戸は優しい口調でこう言う。


「家族がいないのは、寂しいよな、俺も独りだった時期があるからよく分かるよ、でも今は渚がいてくれるはずだ。渚、この子は仕事仲間なんだろ?」

「うん、これから一緒に仕事する子なの」

「そうか、ならより一層…仲良くならないとな。家族にはなれないかもしれないが、渚はきっと、仲良くしてくれるはずだ。だから2人で、いや、そこの子も含めて3人で仲良くするんだ、家族みたいにさ。ジェフリーさんだっているんだ、すぐ慣れる」

「うん…わかった」


 シェスティはそう言うと、アーシェに近づいた。


「いつも、悪口を言ってごめんなさい、よろしければ、友達になってくれる?」

「渚ちゃんは渡さないけど……友達にくらいならなってあげてもいいよ、今回色々助けられたし」

「よかった、2人とも仲良くしてくれるんだね」

『でも渚は渡さない』


 おいおい、そこも含めて仲良くしろよと渚と永戸は思う。でもそこも2人らしいかと思うと、諦めたように笑う。


「今日は祝杯だ、俺を守ってくれた小さな英雄たちを讃えての」

「おう! 楽しもうぜ! 永戸の旦那!」

「英雄殺しの一言だ! 聞かなきゃ首が飛ぶぜ!」


 そうして永戸達は飲み明かしていくが、渚、アーシェ、シェスティの3人は頷きあうと、永戸を守れたことを祝して乾杯するのだった。

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