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ボクの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第三章 賑やかになるギルド
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兄妹の守護

「陽宮 永戸って…ボクのおにぃちゃんじゃん! なんで! ボクのおにぃちゃんが何をしたの⁉︎」()

「落ち着け、渚、お前の兄はターゲットにされたが、流石にここにいるメンツでアイツに挑める奴はいねぇ」

「でも、他の勢力がおにぃちゃんを狙う! おにぃちゃんを守らないと!」


 渚はすぐにでも永戸のところに行こうとする。だがちょっと待ったとジェフリーに襟首を掴まれて止められた。


「なんだよ! ボクはおにぃちゃんを助けるのに忙しいってのに」

「気持ちはわかる。俺もあいつは大戦時の仲間だった、できれば助けてやりてぇ、そこでだ、渚は兄を守りに行って、アーシェとシェスティにこの依頼を出したやつを襲撃して、この依頼を取り消してもらう、そう言う作戦を考えたんだがどうだ?

「ボクがおにぃちゃんを守って…」

「私がこの女と」

「一緒に襲撃⁉︎」


 渚は肯定気味だったが、アーシェとシェスティは互いにいがみ合っていた。なぜこの2人を選んだか、シリアルキラーのアーシェだけでは依頼主を依頼を取り消す前に殺す可能性があるし、シェスティはまだ依頼を未経験だ。よって、犬猿の仲であるが2人を襲撃に行かせるのが賢明だと思った。


「絶対嫌! 私がお邪魔虫と一緒に仕事するなんて!」

「私もごめん被りたいわ、こんな野蛮な女と一緒に行くのは」


 2人は互いを拒絶し合うが、仕方ないなぁと渚は思うと、2人の手を取り言った。


「お願い……2人とも嫌かもしれないけど、ボクのおにぃちゃんを守る為に一緒に戦って! おにぃちゃんがいないと、ボクは…」


 渚のそんな顔を見たアーシェとシェスティは仕方なさそうな表情をすると言った。


「しょうがないなぁ、今回だけだよ、この女と一緒に戦うのは」

「渚の頼みなら、仕方ないわね…わかったわ」

「ありがとう!」


 渚は喜ぶと2人を抱きしめた。2人は満更でもない表情をするが、ジェフリーが話を戻す。


「事態は一刻を争う、渚はさっさと兄を助けに行け、お嬢ちゃん達2人は依頼主の場所の情報を出す、そこまで行って依頼主をシメてこい」

「うん!」

『分かった!』


 そうして各々が行動を開始したのだった。


 ーーー


 彼の名前は陽宮 永戸、渚の兄であり、異世界管理組織、イストリアの異世界特別調査隊四課の一員だ。見た目は紅いコートを纏った黒髪の男性、そんな彼が仕事の帰りに1人で歩いていたところだった。


「死ねぇえええっ!」


 永戸を狙った攻撃が頭上から降ってくる。永戸はそれをさらりとかわすと、次に来た横薙ぎを伏せて回避し、一歩二歩下がる。


「俺を殺しにくるとは…何が目的だ?」

「お前には莫大な賞金がかかってるんだよ、悪いけどよぉ、死んでもらう!」


 永戸を狙う男が剣を振るうが、永戸は自らが携える聖剣を抜くと、剣を防ぎ、そのまま男の首を刎ねた。


「賞金がかけられた? 一体なんでだ?」


 溢れ出る血を浴びながら永戸は思考する。そんな中、別方向からも槍が飛んできた。


「金の山だぁああああ!」


 飛んできた槍を手で掴むと、それをへし折り、接近してした男が取り出したもう一本の槍を剣でさばく。その剣術は見事で、実戦を経験してきた彼にとって、槍一本剣でさばくくらいどうってことはなかった。だが。そんな彼を狙う者がいた。


「狙撃なら、奴を殺せる!」


 スコープの輝きが一瞬きらりと見えたのを永戸は見た。よけようとするが、わずかに頬を弾丸が掠める。


「この距離でも避けるのかよ! くそっ! もう1発だ!」


 狙撃手は永戸を狙いビルの上からもう一度狙撃しようとするが、その時、別のビルから焔の弾が飛んできた。


「うわぁああああ!」


 焔をまともに浴び、火だるまになった男はビルから落ちる。別のビルから撃たれたのは渚の弾丸だった。


「『ギガフレア』おにぃちゃんは誰にも殺させはしない」


 そうして渚が飛び立って永戸の後ろにつくと裏路地からやってきた男達の銃撃をサキュバスの翼で防いだ。


「渚⁉︎ お前、どうしてこんなところに!」

「詳しく説明すると長くなるから端的に話すよ! おにぃちゃんは今! 裏社会で指名手配されてるの! だから裏社会の殺し屋達がみんなおにぃちゃんを狙ってきてる!」

「そういうことか!」


 渚が魔弾の射手で男達を貫くと、永戸の肩に飛び乗っては飛び上がり、殺し屋達に向けてプラズマボムを投げる。時間設定をわずか数秒にしたプラズマボムは炸裂し、殺し屋達を吹っ飛ばした。

 永戸と渚は背中合わせで構える、殺し屋達はまだまだ来ていた。


「渚、行けるか?」

「あたぼうよ! おにぃちゃんを守りに来たんだから!」


 そうして2人はかけ出す。片方の1人の命を守るために。


 ーーー


「ここがその依頼主のいるビルだね」

「高い……」


 アーシェとシェスティは表通りのビルまで来ていた。そこそこ高いビルに、シェスティは驚く、だがこうしてもいられないと、アーシェとシェスティはビルの中に入った。


「お嬢さん、残念ながら当ビルへの立ち入りは関係者以外立ち入り禁止に…」

「うっさい」


 アーシェは警備員の男の顎に銃口を当てると、拳銃をぶっ放した。これにより、他の警備員達が異常に気付き、アーシェとシェスティに近づいては銃を向ける。


「風よ、矢避けの加護となれ! 『ウィンドバリア!』」


 警備員達が撃つ前にシェスティが魔法を発動させ、風のバリアを纏った瞬間、警備員達が銃を掃射した。だが、風のバリアがそれら全ての弾を逸らし、2人に当たらないようにする。


「やるじゃん、ちょっとは褒めてやるよ」

「後方支援は任せて、貴方は前線を!」

「言われなくても!」


 アーシェが突貫すると、警備員達の体を的確に撃ち抜いていく。警備員がアーシェに銃を向けるが、その時、シェスティが言った。


「風よ、かの者を吹き飛ばせ!『ウィンドブロウ!』」


 魔法により銃を構えた男が吹き飛ばされ、沈黙する。アーシェがシェスティに合図を送ると、シェスティはアーシェについていき、エレベーターに乗る。


「あーもーまだかなー! こうしてる間に渚ちゃんが大変な目に遭ってるのに!」

「落ち着いて待つのよ、渚なら多分きっと大丈夫よ!」


 そうしているうちに目的の階へと辿り着くが、エレベーターが開いた途端警備員達がエレベーター内を撃ち抜いた。エレベーターは風穴だらけになるが横に学生くらいの小さな体で隠れていた2人が飛び出ると、アーシェは銃で警備員数人を撃ち抜き、シェスティは警備員が黙るまで殴り続けた。


「…目的地はすぐそこだよ」

「うん、行きましょ」


 リロードしたアーシェがシェスティと一緒に目的の部屋へと入る。するとそこには政府の高官となる男がいたのだった。


「何者だお前らは!」

「この依頼書を…! えーとなんだっけ?」

「取り消させに来たわ!取り消さない場合貴方の指を指先から一本ずつズタズタに引き裂いてやるんだから!」


 高官の男はそれを見て驚くが、余裕そうな表情を崩さない。


「はっ、こんな子供にそんなことができるわけなかろう! 警備員! この子供らを殺せ!」


 男はそう言うが誰も来ない、どうやら声がこの部屋の中だけで遮断させられてるようだ。


「残念だけど、貴方の声はこの部屋以外聞こえなくしたから、ドアの外まで逃げでもしない限り警備員は来ないわ!」

「ぐっ……ならば自らの手で!」


 男は拳銃を取り出すがアーシェのクイックドローの方が早かった。男の片手が撃ち抜かれ、男は痛みで椅子に座り込む。


「取り消せるわけないだろう! この男は、いや、この者達は、いずれイストリアどころか、この都市に危険をもたらす力となる! そうなる前に消さねばならないのだ!」

「そんなのいいからこの依頼を取り消しなさい! でないと!」


 シェスティが杖を振るうと、風の刃が男の片足の小指付近を掠めた。どうやら指を切り裂くと言うのは本当らしい。


「ひぃっ! おどしのつもりか!」

「本気よ!」


 次の瞬間…男の足の小指が本当に飛んだ。


「ぎゃああああああっ!」

「さぁ! 依頼を取り消すのよ!」

「わかった! わかったからもうやめてくれ!」


 そう言うと男はギルドの統括団体に電話し、永戸の指名手配を取り消したのだった。

 それを聞いたアーシェとシェスティはとりあえずうまくいったと、犬猿の仲でありながら互いに笑い合った。

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