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ボクの異世界黙示録  作者: 遊戯九尾
第二章 復讐者
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悪徳貴族

「こんな事があったんだよね…」

「……あぁ、大変だったろうな」


 ホットミルクを飲み干した渚は過去を話し終えると、ため息をつきながら落ち着く。

 ジェフリーは使った皿を洗浄しながら話を聞いた。


「……全部悪いのは大戦だ、大戦が、何もかもをおかしくしちまった」

「親父って大戦では英雄だったんでしょ、救えた命はあったの?」

「あったさ、けども、それよりも死んだ命の方が多かった。英雄と呼ばれた俺たちでさえも、失った命があった」

「うん、知ってる、四課の知り合いで一回死んだって人を聞いたから」


 渚はそう言うと、椅子から立ち上がって上の寝室に戻ろうとする。話しているうちに頭の中のぐちゃぐちゃが取れたようだった。


「…明日の仕事で、ボクみたいな目に遭わないようにいろんな人を助けてくるよ」

「あぁ、頑張ってこい」


 そう言い残すと。渚は寝室に行き眠った。ホットミルクのせいか、それとも話した事でホッとしたせいか、渚はゆったりと寝られたのだった…。


 ーーー


 翌日、荷物を持った渚は貴族のいる異世界へ転移した。今回はアーシェは連れてこなかった。個人的な私怨に巻き込んでしまうかもしれないと思ったからだ。


「さてと、ここがその街か…見たところ普通っぽいけども…」


 目的の街に降り立ち、渚は周りを見渡す。見たところ普通に生活をしている人たちばかりだった。一先ず道行く男の人に聞いてみる。


「あのさ、この街の貴族について聞きたいんだけど…」

「悪いことは言わねぇ、お嬢ちゃんは貴族に近づくな」


 そう言っては男の人は去っていった。

 まぁそう言う反応取るだろうなと思い、渚は調査を続ける。


「やめといたほうが身のためだよ、あんたみたいな子供はみーんな攫われてしまうんだからね」

「俺の家族が……貴族に連れてかれたんだ、何年も経っても帰ってこない…もう死んだんじゃないか?」

「貴族に会ったら絶対に刺激するな、刺激したらあいつらは私兵と化した騎士団でなぶりにくるからな」


 聞けば聞くほど悪逆の限りを尽くしているのが聞けた。これは早急になんとかしないとこの街はいつか破綻してしまうだろうと渚は思ったそう思って行動していると、目的の相手は向こうから現れてきてくれた…。


「今日も下民達はわしのためにせこせこと働いておるな、結構!」


 髭を蓄えた貴族は、馬車に揺られながら道を行く。すると、子供が路上に飛び出してきた。


「わぁっ!」


 渚がよく見ると、子供が路上に飛び出して転んだのは不意の事故ではなく、貴族の従者が子供を突き飛ばしたのだ。


「なんだこのガキは……わしの前に現れおって」

「お許しください領主様! 子供の不注意ということでどうかご厚意を…!」


 子供の母親が近寄っては子供を抱いて守ろうとする。だが、それを下卑た目で貴族が見ると言った。


「分かった、子供は助けてやろう、ただし、お前はこれからわしの奴隷となれ!」

「そんな! あんまりです! どうかお許しを!」

「だめだ! この街ではわしの言うことは絶対! お前らは一生わしに服従することになるのだ!」


 ガハハと貴族の男は笑うと近衛の兵士に母親を連れて行かせようとする。それを見た途端、渚の中で血が沸騰するほどの怒りが湧いた。そして飛び出すと、母親を連れて行こうとした兵士を背中からマチェットで刺す。


「ぐぁっ⁉︎ なんだ⁉︎」

「なんだ⁉︎ 何奴だ、貴様は!」

「さっきから見てれば嫌な芝居を見せてくれるじゃんか! 見ててあったまきた!お前ら全員ぶっ殺す!」


 渚はマチェットとリボルバーライフルを片手に兵士達と対面する。貴族の男は突然の襲撃者に驚くばかりだった。


「このわしに逆らうと言うのか! ガキ風情が! 叩き潰せ!」


 兵士たちが渚に近寄っては武器を振るう。だが渚はそれをカゲロウで避けると、弾丸を撃ち、兵士の鎧を貫通する。続いて別の兵士が剣を握っては振るが、渚はマチェットでそれを防ぐと、弾き返し、そのまま胴体を切りつけた。


「この子供、只者じゃない!」

「怯むな! 所詮は小さなガキに過ぎん!」


 兵士たちが陣形を作り、大人気なく多人数で攻めてくるが、渚は前に展開された盾をくるりと乗り越えると、兵士の1人の首をマチェットで切り裂く。そのまま、兵士が振り返ろうとしてくる隙をついて、クイックドローでリボルバーライフルを連射し、兵士たちを鎮圧した。


「ぬぅ…使えん奴らめ……そこのお前! お前は一体何が目的だ!」

「キミの抹殺」


 渚は馬車の上に乗り上がると、貴族の首元にショットガンを押し付け、言った。


「わしの…抹殺だと⁉︎ 誰の差し金だ⁉︎」

「さて、誰だろうね、ボクにも分からなかった。けど大方、キミに家族を奪われた人だろうね」


 ショットガンの黒光りする銃口を見ては、貴族は焦る。目の前の少女は確実に自分を殺す気だと。


「屋敷にはキミがさらった人がいるの?」

「あ、あぁ! いる! 全員解放してやってもいい! 頼む、命だけは助けてくれ…!」


 渚は一度路上にチラリと目を向ける。そこでは、子供と母親の家族が怯えていた。


「こんな事を、今まで何度もしてきたっていうの?」

「そ、それがどうした⁉︎ この街では私が王なんだぞ! 一番偉いんだぞ! そ、そうだ! 金ならくれてやる! 相応の地位もくれてやる! だから頼む! 殺すのだけは…!」


 言い終わる前に渚はショットガンを撃ち、貴族の頭を吹っ飛ばした。


「いらないんだよ、金も、地位も」


 それを見た街の人は驚きを隠せなかったが。目の前の少女が圧政を終わらせてくれたとわかると、困惑しながらも喜んだ。


「これで…俺たちは重い税金は払わなくて済むんだよな?」

「領主様に連れてかれることも無くなるのよね?」

「でも、次の領主様はどうするんだ?」


 渚は体についた血を払うと、馬車から降りて次の場所へと走り出す。次の場所は貴族の屋敷の中、誘拐された人たちの解放だった…。

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