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異能特殊師団  作者: てらてら
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第7話 雷嵐

〜旧カーラ公国首都郊外〜


「機甲部隊から伝達、所定の位置に到着。ターゲットが来るまで待機するとのこと。」


「うむ、敵は必ず機甲部隊を撃退するため精鋭を向かわせてくるはずだ、それまで我々も待機だ。」


「くれぐれも敵を発見してもこちらから発砲しないよう通達せよ。」


「了解しました。」


〜旧カーラ公国方面連邦前線基地〜


「現在、敵機甲部隊は旧カーラ公国首都郊外で進軍を停止、エネルギー充電している模様です。」


前線基地の基地司令が捉えた情報を共有する。


「機械歩兵は数時間で充電完了しますが、戦車型は最低でも2日かかるため、奇襲するなら今だと思います。」


「そうだな、戦車型が目覚める前に叩くべきだろう。だが奴らも馬鹿では無い、交互に充電させ戦闘が起きてもいいよう数体は動けるはずだ。」


「そうですね、奇襲とはいえ損害を抑えるためにも油断せず慎重に行動したほうが良さそうです。」


「うむ、では作戦通り我々は充電で停止中の機甲部隊に奇襲を仕掛け戦車型を優先的に撃破、戦車型を全て撃破出来次第撤退する。後方には迅速に撤退するため第10普通科大隊が同行し退路を確保をする手筈となっている。」


「今日の夜10時に出撃する、では解散!」


異能特殊師団第一大隊は夜間に出撃し、音で発見されるのを避けるため途中で兵員輸送車を後方の第10普通科大隊に託し徒歩で近づき、敵に悟られず機甲部隊の近くまで接近した。


ハーリー中佐とロイ軍曹は望遠鏡で機甲部隊の様子を観察し、感じた違和感を口にする。


「虎の子の機甲部隊にしては偵察ドローンが少ないな。」


「ええ、普通ならここまで近づくことなんて出来ないはずです。そしてここまでの道中、一切トラウィスと遭遇してないのも気になります、罠かもしれません。」


「罠だとしても目の前の機甲部隊を見逃すことは出来ない。」


「そうですね、ハーリー中佐と自分の合わせ技で一瞬で終わらせて帰りましょう。」


「ああ、じゃあさっそく始めるか。」


ハーリー中佐が風を操り上昇気流で上に持ち上げられた空気が冷やされ、やがて冷やされた空気は水蒸気を含みトラウィス機甲部隊上空に雲を生成する。


「今の時期だったらかなり大きめの台風を作れそうだ。」


この地域は大陸全体を見ると北部地域に位置するが旧カーラ公国の首都付近は温暖な気候で時期も夏場ということもあって夜でも気温は高い。


したがって、暖かい空気がハーリー中佐の上昇気流によって冷やされ雲が徐々に大きくなり、あたり一帯を覆う大きな雲を生成した。


そして、大きな雲を生成したハーリー中佐は雲の中で渦を発生させ風速40 m/s という大型の台風を生成する。


強風によって充電中だった戦車型が充電を止めて動き出した。


「ロイ軍曹、あそこにいる寝起きのトラウィスどもを叩き起してやれ」


「了解!」


ロイ軍曹は体内に蓄電していた雷を生成された台風に向けて放出した。


台風は雷を纏い、雷神様を怒らせたかのようにゴロゴロと音を轟かせる。


雷嵐サンダーストーム


雷を伴った台風は徐々に強まった暴風で地上のトラウィス機甲部隊の機械歩兵や充電施設などの建物を吹き飛ばしロイ軍曹によって威力が倍増した雷撃を広範囲に浴びせ、歩行型戦車や機械歩兵は直撃して跡形もなく爆発するか、感電により高電圧の電流が流れ電気回路がショートし、機能停止して動けなくなった。


台風は破壊の化身となり地上にいるトラウィス機甲部隊を無差別に破壊した。


しかし、範囲外で無傷のトラウィスや運良く生き残ったトラウィスがまだ健在だ。


「待機中の第一大隊全部隊に告ぐ、残りのトラウィス機甲部隊を撃滅せよ!」


待機していた第一大隊は前進を開始し、トラウィス機甲部隊に襲いかかった。




«トラウィス視点»

〜トラウィス機甲部隊指揮所〜


「偵察ドローンから報告、敵部隊は進軍を一時停止した模様です。」


「異能者が大技を使うのだろう。全部隊に伝達、敵異能者の大型攻撃の可能性大につき、攻撃に備えよ。」


「は!」


指示はすぐに伝達されトラウィス機甲部隊は攻撃に備える。


次第に雲が生成され強風が発生し、充電しているフリをしている戦車型も起き、攻撃に備える。


「上空に台風の発生確認、データベースと照合し風の異能者の技と判断、全部隊、地面にアンカーを射出、固定し防護フィールドを展開、攻撃に備えます。」


戦車型や充電施設は地面にアンカーを奥深く刺し飛ばされないよう固定し、機械歩兵達も手足に内蔵された小型のアンカーを射出し体制を低くし攻撃に備える。


「報告!突如雲が電気を帯び始めました!雷雲に変化した模様!」


「風の異能者は雷雲も作れるのか?」


「いえ、今までのデータに風の異能者が雷雲を作るという情報はありません。」


「そうか…なら雷の異能者はいるか?」


「はい、一応居ますが出撃回数が少ないのかそもそも戦果をあげていないのか情報がほとんどありません。あるとすればつい最近失敗に終わったカール高地攻略戦で突如現れた雷雲で部隊が壊滅したとしか…」


「そこにこのような強風もあったのか?」


「そこまでは分かりません。」


「そうか…いずれにせよ作戦通りにやらねば責任を問われ初期化されかねない、このまま耐えるぞ」


しかしその後、雷嵐サンダーストームの範囲内にいるトラウィス機甲部隊の一部はこと如く破壊され指揮所に居た司令官を失ったことで命令する者がおらず撤退の判断をされないまま作戦遂行のためトラウィス機甲部隊残存兵力は異能特殊師団第一大隊の猛攻に晒される。


〜トラウィス試験部隊観測所〜

「今すぐ試作機の砲撃型移動要塞ブラストフォートレスを側面に展開し位置に着き次第、敵後方支援部隊を砲撃せよ!」


試作機の砲撃型移動要塞(ブラストフォートレス)は二手に分かれて側面に回った。


「想定より大幅に機甲部隊の戦力が減ってしまったが試作機の性能テストさえ出来れば目的は達成される。ついでに敵の戦力を減らせれば始祖様から最新パーツを貰えるかもしれん、必ず成功させねば。」




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