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異能特殊師団  作者: てらてら
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第6話 決闘

第二大隊から第一大隊に転属になってから一か月後に転属してから初の出撃命令が下された。


「今回の任務は大隊規模での任務になるので俺が今回の指揮官だ、よろしく。」


広間に集まった隊員達に第一大隊大隊長ハーリー中佐が軽く挨拶をする。


「さて、今回我々第一大隊に下された任務は、旧カーラ公国の戦域で確認されたトラウィス機甲部隊の撃滅だ。奴らは通常の機械歩兵に加え、二足歩行型戦車WTー2と四足歩行型戦車WTー4が多数確認されており、現地の戦線防衛部隊だけでは突破される可能性が高いと判断されたため、第一大隊に出撃命令が下った。」


「敵の所在地は現地の前線基地に到着次第通達する。俺を含め異能者4人はタッグを組み、戦車を優先的に片付ける。残りの一般兵は機械歩兵を片付けて暇があれば戦車型を倒してくれ。」


「明日の明朝には出撃するので各自準備にとりかかれ、異能者4人はタッグを決めるので第4会議室に集合だ。では、解散!」


「は!」


隊員達は解散し兵舎で各々準備をし、異能者4人は第4会議室に向かった。


会議室に着き各々が席に着く。


会議室に居るのは

10位 第一大隊大隊長ハーリー中佐 風の異能者

37位 第五中隊中隊長リリ大尉 剣の異能者

39位 第七中隊中隊長アワン大尉 虎の異能者

100位 第101分隊分隊長ロイ軍曹 雷の異能者

の4人の異能者だ。


「ハーリー中佐!是非私と組んでくれませんか!?」


「俺も組みたいです!」


リリ大尉とアワン大尉は食い気味でハーリー中佐に迫る。


「すまんが、もう俺のタッグは決まっている。」


「もちろん私ですよね!?ロイ軍曹は論外としてあんな爪で引っ掻くしか脳の無いアワン大尉より私の剣の異能の方がハーリー中佐の役に立てるはずです!」


「なんだと!俺様の虎の異能をバカにしやがって!そのなまくらの剣を俺の鍛え抜かれた爪でズタズタにしてやる!」


「この剣がなまくらですって!?1回切り裂いたほうが…」


「黙れ2人とも」


「ひ!す、すみません!」


2人とも借りてきた猫のように静かになる。


「俺はロイ軍曹と組む」


それを聞いた2人は狐につままれたような顔をしてこちらを見る。


猫か狐かどっちかにしてくれ。


「何故ですか?最下位の無能者にハーリー中佐とタッグを組むのには相応しくないと思いますが?」


リリ大尉が俺を睨みつけながらハーリー中佐に質問をする。


「俺が選んだ者を無能者呼ばわりするとはいい度胸だな。」


リリ大尉は自分の失言に気づき青ざめる。


「い、いえそんなつもりは…」


「質問の答えは……ロイ軍曹と戦って見ればわかるさ。」


「…え?」


納得させる言葉が思いつかなかったのか、面倒くさくなったのか分からないが俺に質問の答えを丸投げしてきた。


「分かりました、じゃあ私と勝負しなさい!ロイ軍曹」


えぇ、嫌すぎ、なんとしてでも断ねば。


「明日出撃では…?」


「明日出撃だから今日戦えばいいわよね?戦った後に休むなり準備するなりすればいいじゃない」


「いや、でも怪我でもしたら…」


「あなたがハーリー中佐と釣り合う実力かどうか確かめるだけだから手加減するわ。峰打ちだからちょっと痛いかもだけど大丈夫!」


どこが大丈夫なんだよ。


「おい、俺抜きで話を進めるな。俺もロイ軍曹と勝負させろ」


「なによ、あんたはご自慢の爪にネイルでもしてれば?」


「このクソ女!!まずはお前と勝負だ!勝った方がロイと勝負をする!それでいいな!?」


「受けて立つわ、負けるはずがないもの」


「ふん!勝手に言っとけ!さっさと修練場にいくぞ!」


「用事を思い出した!ロイ軍曹、あの2人を任せた!」


ハーリー中佐は足早に逃げ、2人はどちらが早く修練場に着くか競い合いながら向かい、俺は帰りてぇと思いながらも2人の後を追った。


修練場に着いてそうそう勝負が始まった。


獣人化ビースト


アワン大尉は虎の姿になり戦闘態勢に入る。


「剣心流一の構え、静」


リリ大尉は鞘から刀を抜かず、柄の部分を手で握り、目を瞑り動きを止める。


数秒の静寂が訪れた後、アワン大尉が仕掛けた。


アワン大尉は一瞬でリリ大尉の背後を取り距離を詰めた。


「くらえ!鉄爪(アイアンクロー)!」


リリ大尉の無防備な背中に攻撃が迫るが、体を反転させ一瞬で刀を抜きそれを受け止めた。


リリ大尉はアワン大尉の鋭利な爪を厚さ7mm程度の刀の刃で受け止め、その衝撃でアワン大尉の爪先が少し欠けた。


「チッ」


爪が欠けたのを見てアワン大尉は瞬時に距離を取る。


「あら、私の愛刀の硬さに負けて、大事な爪が欠けてしまいましたね」


「爪が欠けても攻撃はできるんだよ!]


アワン大尉は再び距離を詰め、一撃を加えようとする。


しかし、アワン大尉の攻撃は全てリリ大尉の見事な剣さばきに受け流される。


リリ大尉の防戦一方だが、負けているようには見えない。


アワン大尉が仕切り直すために距離を取ろうと後方にステップした瞬間、リリ大尉が前に踏み出し剣の届く範囲まで距離を近づけ剣技を放つ。


「攻剣流五ノ型 重撃」


回避が不可能な体制だったアワン大尉は重く強力な一撃(峰打ち)が振り下ろされ、回避できず重い衝撃により地面に叩きつけられる。


「ぐはっ!…」


勝負あっただろう。アワン大尉は息はしているものの身体の痛さに悶絶している。


「私の勝ちだね、トラウィス相手に近づけばそれでも通用するかもしれないけど、もうちょっと考えて攻撃した方がいいんじゃない?動きが単調で数手合わせただけでもう見切ったわ。」


「次会う時は覚えておけよ…その勝ち誇った顔を切り裂いてやる…」


「おー、怖い怖い。獣人系の異能者は皆こいつみたいに脳筋で好戦的でガラの悪い奴らしか居ないから、ロイ軍曹も獣人系とはあまり関わらないほうがいいよ。」


「わ、分かりました」


「じゃあ、私が勝ったから勝負してくれるよね?」


「あまり気が進まないですけど、いいですよ」


「よし、じゃあもう始めようか。」


俺はリリ大尉と戦うことになった。


「剣心流一の構え 静」


リリ大尉はアワン大尉と戦った時と同様の構えをする。


対して俺はいつも身に付けている短刀を抜き、逆手持ちで構える。


「剣の異能を持つ私に短刀で挑んでくるなんて、命知らずね。剣術を習ったことはあるの?」


「まぁ、一応師匠に叩き込まれました」


「どの流派の師匠?」


「師匠のオリジナルなので流派はありませんよ。言うなれば師匠流ってところですかね。」


「へぇ、興味がそそるわね。じゃあ私から行かせて貰うわね。」


「剣心流4の構え 殺」


静の構えから一転、殺の構えに変わった瞬間、猛烈な殺意を感じ、恐怖で俺の身体が鳥肌や冷や汗をかいて危機感を本能で訴えてくる。


だけど、師匠の殺気に比べたら全然マシだ。


「大抵の人はこの殺気を浴びただけで逃げ出すか小便漏らすかするんだけど、ロイ軍曹は冷や汗程度で済んでるなんて肝が座ってるね。」


「それほどでも…」


「じゃあこの攻撃は耐えれるかな?」


リリ大尉が俺に一瞬で近づく。


「攻剣流抜刀術 万殺一閃」


リリ大尉は剣の間合いに入った瞬間、精練され研ぎ澄まされた予備動作の全くない素早い抜刀術を繰り出したが、ロイ軍曹はそれを見切り、短刀で受け止める。


「初見でこの技を短刀で受け止めたのロイ軍曹だけだよ」


「師匠よりは遅いので見切れますよ」


「剣の異能を持つ私より速いって、師匠って人何者?」


「自分も知りませんよ!っと」


一旦距離を取る。


「まだ、確かめますか?」


「いや、あの技を初見で止めたのなら認めるしかないわね、貴方はハーリー中佐と組むに値する強さがあると。」


「認めて貰えて良かったです」


「明日の任務、ハーリー中佐の足でまといにならないようにね」


「もちろん」


とりあえずリリ大尉に認めもらった。


そして俺は旧カーラ公国の前線基地に向かった。


異能者人物紹介


リリ・テンプル少尉

異能者ランキング37位 剣の異能者

剣の限界値を超える性能を引き出し、トラウィス戦車型のとてつもなく硬い剛性金属を軽々切り裂くことができ、リリ大尉の元々の才能とマスターしたいくつもの剣術で敵を翻弄する。

過去に何人もの剣豪を輩出し繁栄した、元名家テンプル家の一人娘。


ダビド・アワン少尉

異能者ランキング39位 虎の異能者

獣人系の異能であり、獣人化により強力な爪と牙が生成され異能者に備わっている人の域を超えた身体能力の3倍程の身体能力を持ち、敵陣を縦横無尽に駆け回り手当り次第に破壊する。

生肉よりミディアムレアのほうが好き。


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