第2話 101分隊
俺はダットル陸軍基地に向かい到着した後、同じ101分隊が居る部屋に向かった。
部屋に入ると中で101分隊配属の者達が立ち話をしていた。
全員の視線が俺に向く。
視線の中には蔑んだ目で見るやつも居る
そんな中1人の大柄の男がこちらに向かってきた。
「最後の一人が来たようだな。俺はダラス、階級は伍長だよろしく」
ダラス伍長は手をこちらに出し握手を求める。
「俺はロイだ、階級は軍曹だこちらこそよろしく」
俺も手を出しダラス伍長と握手をする。
「軍曹ならロイがこの分隊のリーダーだな」
この中だと俺が1番階級が上らしい。
他の8名にも自己紹介してもらい101分隊の顔合わせは終了した。
ダラス・ガイヤ伍長 男性
身長190cmの大柄な体格で俺と同じトラウィス撃滅作戦から今日まで生き延びた大ベテランだ。大型の盾と機関銃を持ち運び、戦闘時は盾を地面に突き刺し盾の上に機関銃を置いて面制圧を得意とする。
ボイド・ローラ上等兵 女性
ボーイッシュで身長も175cmと高く、彼女もトラウィス撃滅作戦から今日まで生き延びた大ベテランで、ダラス伍長とは同じ部隊になったことがあり、戦友だそうだ。武器は一応なんでも扱える何でも屋だ。
ジョー・スミス上等兵 男性
対物ライフルを主な武器とし、遠距離の攻撃を得意とする。トラウィス撃滅作戦には参加していないが、様々な作戦に従事し功績を挙げてきた。
スティーブ・バリット一等兵 男性
髭を生やし、歴戦の猛者の風貌をしているがまだ軍に入隊して1年しか経っていない。複数回のトラウィス大規模攻勢の防衛作戦に従事し、実力と運が無ければ生き残れない大規模攻勢を生き延びた実力者だ。
グリード・ミラン一等兵 男性
ダラス伍長の次に体格が良い。スティーブ・バリット一等兵と同僚で異能特殊師団に配属される前は一緒の部隊で苦楽を共にしていた。彼も複数回の大規模攻勢を生き延びた相当な実力者だ。
アイリー・ブラントン二等兵 女性
志願し入隊して数ヶ月の新兵でまだ大規模攻勢を経験していない。元々狩猟民族出身で目が良く森の歩き方を熟知していて索敵が得意。
ミア・ガルシア二等兵 女性
入隊して1ヶ月の訓練を終えたばかりのガチガチの新兵。小柄で細身なので軍服がブカブカで可愛い。元カーラ公国出身で母親と共に亡命し、軍人だった父親の仇を打つため入隊した経緯がある。
マルティネス・ロバート二等兵 男性
彼の家は代々軍人の家系でロバート二等兵の親は激戦区旧カーラ公国方面軍の司令官のマルティネス・ロイリー大将という将官だ。家の者からは将官になってもらうべく士官学校に行くよう勧められたが、ロバート本人は人をまとめて指示を出すのは柄じゃないという理由で士官学校を断った。
彼は元々子供の頃から軍隊に入るための教育を受けていたことから筆記、実戦訓練などの訓練過程を首席で合格した有能な兵士だ。
ウォーカー・ハドソン二等兵 男性
トラウィスが襲来する前は元警察隊の特殊部隊に所属していた経歴があり、階級は1番下だが、銃の扱いや屋内で敵を制圧するノウハウを持っている。
色々な経歴を持つ者達が集まり101分隊が集結した。
「てか俺らの分隊長って異能ランキング最下位の人なのかよ」
「それな、連邦には30人の異能者が居るはずなのにその中の最下位を引き当てるって俺らついてないわ」
スティーブ・バリット一等兵が文句を述べ、同じグリード・ミラン一等兵もそれに便乗する。
「新兵達が可哀想だぜ、こんなトラウィスをまともに殺せない奴が分隊長だなんてよ、そう思うだろ?ミアちゃん?」
この中で1番入隊して浅いミア二等兵に同意を求める。
「それは…その…」
どう返せばいいのか分からず口ごもる
「おいおい、上官に対してその言い草はないんじゃないか?」
ダラス伍長が彼らの発言に苦言を呈す。
「そうだね、私もダラスと同じ意見だ。」
ローラ上等兵がダラス伍長に便乗する。
「俺らは本当のことを言ってるだけですよ、異能持ちでありながら無能と呼ばれるくらい弱い奴の下に居るのははっきり言って嫌です」
「他の人もそう思っているのでは?他の先輩方も最下位と部隊組むの嫌ですよね?」
スティーブ一等兵が他の静観していた隊員達に問いかける。
「俺はこの相棒で敵を仕留めさせてくれるなら別に誰が分隊長でも構わない。不満があるなら1度戦ってみればよい、負けた方が勝った方の言うことを聞くことを条件にな。」
スミス上等兵が相棒(対物ライフル)を頬ずりながら提案する。
「いいぜ、やってやるよ。お前はどうする?逃げるか?俺と戦うか?もちろん異能を使ってもいいぜ、それでも勝てるからよ」
(お前って俺一応スティーブ一等兵より階級上なんだけどな…)
「はぁ、いいよ戦おう。だが異能は使わない怪我をしてもらっては困る」
「お前がそれでいいなら俺も構わない、負けた後で異能を使ってないからだと言い訳すんなよ?」
「あぁ、約束する」
俺らは決闘をするため訓練場に足を運んだ、
「では、私ダラスが審判を務める。両者準備はいいかね?」
「おうよ!」
「あぁ」
「では始め!」
スティーブ一等兵が試合開始の合図と共に接近しパンチや蹴りなどを駆使し猛攻を食らわせる。
一方のロイはスティーブの猛攻を難なく受け流す。
「まだまだぁ!」
スティーブ一等兵は変わらず攻撃に全振りしているが、ロイは完璧に受け流す。
「くっ!こんなはずでは!」
そしてスティーブ一等兵が思っていた展開と違う展開になり焦りが見え始め次第に攻撃が雑になり隙が出来る。
その隙を突きカウンターを食らわせるためみぞおち目掛けて思いっきりパンチする。
「痛った!!」
それを防御しようとしたスティーブ一等兵は腕を胸の前に出しガードしたがあまりにもロイが放ったパンチの威力が高く、骨が折れたかと思う程の痛みでガードの姿勢崩してしまった。
そこにロイは一瞬で距離を詰め、右手で胸元の襟を持って押し出し、左手でスティーブの右手を掴み自分の方へ引っ張り、自分の左足を半歩前に踏み出し残りの右足でスティーブの足を刈り取る完璧な大外刈を決め、スティーブは床に倒れた。
スティーブは一瞬の出来事で頭が混乱するも、考えるより先に体が受け身の体制を取り、このままやられまいと腕の痛みを必死に我慢し抵抗したが、ロイに寝技を決められスティーブは遂に降参した。
それを見ていた隊員達は両選手に拍手を送った。
「俺も一応近接戦闘には自信があったが、ロイ分隊長には勝てそうにないな。」
「あの近接戦の鬼と呼ばれたダラスに弱音を吐かせたのはロイ分隊長だけだぞ、誇っていい。」
「いえいえ、私はまだまだですよ。未だに師匠に勝てませんし。」
「ロイ分隊長が勝てない師匠殿、ぜひ会ってみたいですね。」
「師匠は放浪の旅をしているので滅多に会えませんよ。たまにふらっと現れて稽古をつけてくれるのでその時にお誘いしますね。」
「頼みますぞ、ロイ分隊長」
ダラスと話しているとスティーブが腕を抑えながらこちらに歩いてきた。
「俺の負けです。ロイ分隊長殿すみませんでした、これまでの行動お許しください。」
「いいよ、俺が他の異能者より弱くてランキング最下位なのは真実だ。だけどまぁ、勝負に負けたからには俺の指示に従ってもらうけどいいか?」
「もちろんです、分隊長について行きます。」
「グリードもそれでいいか?」
「は、はい!もちろんです!もうバカにするような発言は致しません!」
「他の者も俺が分隊長でいいか?」
隊員全員が頷く。
「では分隊各位、これからよろしく。」
こうして101分隊は結集し、ロイが分隊長になった。