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異能特殊師団  作者: てらてら
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第1話 異能

「ここまでか…」


一緒に行動していた仲間は死に、俺は弾薬が尽き近くの建物に逃げたが1体のトラウィスが追ってきた。


「生身の体で鉄の塊相手に近接戦闘は避けたいがやるしかない」


俺は貰い物の短刀を取り出し敵が近づいて来たところに角から飛び出す。


短刀を突き刺すことに成功したがそこから動かない。


トラウィスは突き刺した腕を左手で掴み、俺を完全にロックした。


そしてそのまま右手で俺の首を絞めてきた。


俺は左手で首を絞めてる手を必死に剥がそうとするがビクともしない。


「くっそ…息が…」


意識が薄れていく。その瞬間


ビリッ


ビリビリビリッ


俺の身体中から電流が流れ始め、電流が掴んでいるトラウィスに流れた。


電流を帯びたトラウィスは「アガガガ」と発音しながら振動し俺から手を離した。


そしてそのままトラウィスは倒れ目の光を失った。


「一体なにが……!?」


手を見ると電流がバチッと音立てて流れている。


そこで俺は自分に特殊な能力が発現したと確信した。


〜5年後〜






「暇だ」


俺は病院に居る。


「俺はいつになったら強くなるんだ。」


戦場で負った傷は癒えたもののまだ医者から退院の許可を貰っていないのでベットに横たわっている。


暇なので近くに置かれていたテレビのリモコンを操作しテレビを付ける。


「速報です。今日未明、連邦軍が最前線のアース要塞が陥落したと発表。繰り返します、今日未明……」


「耐えられなかったか…」


俺も1ヶ月前に先程ニュースでやっていたアース要塞防衛戦に参加したが、何発もの銃弾を浴び生死を彷徨った為他の負傷兵と共にこの病院に運ばれ今ここに至る。


「はぁ…」


憂鬱になりため息を付く。


俺は5年前のトラウィス撃滅作戦に参加し、異能が発現した、その時はウキウキだった。


だけど、他にも異能が発現した人が居ると撤退後に知った時は少し残念だった。


が、さほど落ち込まずに気持ちを切り替えて数々の戦闘に参加したが、強力な広範囲攻撃の技を持っていなかったので大勢で攻めてくるトラウィス軍に為す術がなく、参加した戦闘はほとんど敗戦し仲間からは「無能者」「偽異能者」など言われ蔑まれた。


「俺に強力な技があれば…」


機械生命体のトラウィスにとって雷は体内の電子機器に異常をきたすので有効な手段なのだが広範囲攻撃の技が無く、1V1程度なら問題ないがトラウィスは人海戦術で攻めてくることが殆どなため多勢に無勢になることが多く、戦場で活躍出来ず、退院と入院を繰り返している。


世界の異能者ランキングでは100位中100位と最下位で評価点は0だった。


俺より1つ上の99位でも評価点100は超えているのに…。


蔑まれ、馬鹿にされ、無能者のレッテルが貼られるくらいだったら異能なんて要らないと何度も思った。


だけど、それ以上に悔しかった。


この異能のおかげで命を救われたのだから弱いはずがないとずっと言い聞かせながら戦場に向かっている。


「辛いな…」


弱音を吐いていると病室の扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


扉が開くと軍服姿の男2人が部屋に入ってきた。


「あなたがロイ軍曹ですか?」


「はい、そうです」


「それは良かったです。初めまして私は異能特殊師団の招集担当に任されたガイドと申します。隣に居る人は…」


「おい、ランキング最下位の無能者」


ガイドの隣に居た大柄の男が突然喧嘩腰で俺の真ん前に立つ。


「俺は同じ部隊に配属される身としてお前の招集は反対だ。辞退しろ。」


「おい、お前!いい加減にしろ!」


ガイドが男に向かって大声を出す。


「しかし少尉!こいつは異能者のくせにろくにトラウィスを殺せない役立たずですよ!こんなやつを仲間になんか…」


「上官命令だニヒル軍曹、今すぐこの部屋から出ていけ!」


「チッ」


ニヒル軍曹という奴はイラついた様子で悪態をつきながら部屋を出ていく。


「すまない、見苦しい姿を見せた。」


「大丈夫ですよ、こういう事には慣れてますし」


「そうか…とりあえず今日はこれを渡しに来たんだ。本当は口頭でも説明したかったがもうお暇しよう。ニヒル軍曹を叱らないといけないからな。」


そう言って封筒を手渡す。


「あとロイ軍曹は数日後には退院出来るそうなので退院したらドーム基地司令官のトール中将の元へ行ってくれ、トール中将から手紙のことに関して話があるだろうから。」


「了解しました!」


「では、また会いましょう。」


ガイドは部屋から出ていった。


封筒の中の内容は以下の通り

・異能特殊師団101分隊への転属命令


が書かれていた。


退院後、少々緊張しながらドーム基地司令官のトール中将の居る執務室へ向かった。


トントン「ロイ軍曹です」


「入っていいぞ」


扉を開けトール中将の執務室に入る。


「座ってくれ」


「は!失礼します!」


トール中将と真正面の椅子に座る。


「君を呼び出したのは次に所属される部隊について説明するためだ。」


「普通の配属先なら私が直接配属先を言わないが、今回配属される部隊はまだ公式に発表されておらず機密性保持のため一部の人しか知らない為、私が直接言うことになった。」


「なるほど」


「君が配属される異能特殊師団について説明しよう」


「はい、お願いします」


「そうだな…まず創設の経緯から話そう。」


「我々アミドル連邦共和国は2年前、北部の最前線国のカーラ公国滅亡により元々広かった戦線が更に拡大。アミドル連邦共和国は大陸序列第2位の先進国。圧倒的な経済力、膨大な資源量、先進的技術力のおかげで今日まで広大な領土を維持してきたが、トラウィスの飽和攻撃によりジリジリと戦線を後退し人的資源を消耗してきた。このまま防戦一方の状態で数年続けたら人的不足で戦線維持が難しくなり、良くて大幅な戦線縮小、悪くて国の崩壊になると予想されている。」


「つまり、この状況を打破するための部隊ということですね」


「その通りだ、異能特殊師団には各方面の重要地点の防衛や敵大規模部隊及び敵重要施設の制圧を主な任務とし各地の戦線を転々としてもらう予定だ。」


「これで配属先のことは少し分かったかな?」


「はい」


「では、1週間後に異能特殊師団の本部が置かれるダットル陸軍基地に向かってくれ。詳しい説明は現地でされるであろう。」


「はっ!」


命令を受けた俺は1週間後にダットル陸軍基地に向かった。

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