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広島空港では意外な人物が出迎えてくれた。弁護士の前嶋さんだ。(おっと、意外ではない来海サンの兄、行嶺氏も、勿論来ていた。)
「無事お帰りで何よりです」
前嶋さんは笑顔を煌かせて言った。
「お疲れだと思って――車で来ています。ご姉妹を邸までお送りしますよ」
「まぁ! お気遣いありがとうございます」
「あ、それならちょうどいいわ! このまま皆で邸へ直行して今回の旅の解散式をやりましょうよ!」
「苑ちゃんったら、また急にそんな勝手なこと言って――」
「でも、そうすれば弁護士さんにゆっくりお土産を渡せるじゃない。二度手間が省けるわ。それによく言うでしょ?『帰るまでが遠足』って」
クルリと行嶺氏に向き直る。
「来海ちゃんのお兄様も、ぜひ! 妹さんは私と姉にとって、今度の旅だけでなく、最初からいろんなことで凄く支えとなってもらいました。今ではかけがえのない大切な親友です。そのお礼も込めて、どうぞ、一緒に我が家へお越しください」
「妹の言う通りです。ほんとはもっと早いうちにきちんとご挨拶しなきゃならなかったんですけど」
姉の陽さんが丁寧にお辞儀をする。
「はじめまして。妹さんに大変お世話になっている朝野陽と申します。こっちが妹の苑です。このたびは私たちの強引な申し出でお兄様にご心配をおかけしてしまったことお詫び申し上げます」
「やだ、大袈裟すぎるわ。それに〝支え〟だなんて。私こそ、お二人はお友達――ううん、素敵なお姉さんができたみたいで凄く嬉しいんです。私、従姉妹はいるけど、近くに住んでないから滅多に逢えないし、そばにいるのはこんなのだけだし」
「なんてこと言うのよ、来海ちゃんったら! とっても素敵なお兄様じゃない!」
「ほんと、お優し気で理知的で。私もこんなお兄さんが欲しいな!」
「いやぁ、そんな――アハハハハ」
すっかり上機嫌の行嶺氏、胸を張り、キリリと眉を上げて言い切った。
「僕は帰ります。僕の方こそ、妹があなた方のような素晴らしいご姉妹とすごせたと知って、心から安堵しました。そして、改めて感謝しています。ホントに、来海がお世話になりました。跳ねっ返りの妹ですが、どうかこれからもよろしくお願いします。では、僕はこれで」
「え? お兄様はいっしょにいらっしゃいませんの?」
「残念だわ」
「ハハハ、いやぁ、こう見えて僕は中々忙しい身なんですよ。店も僕がいなくては廻って行かないので」
来海さん小声で、
「まぁた、見え張っちゃって。イイかっこしすぎよ」
すかさず前嶋弁護士が一歩前へ出る。
「それなら、責任もって来海さんと桑木さんは僕の車でご自宅までお送りしますので、ご安心ください」
かくして、僕たちは前嶋さんの車――ほんと、これなら安心だ、例の鰐狩り対応車(?)デリカD5URBAN・GEARで珊瑚樹邸へ向かった。
実際には三泊五日の欧州弾丸旅だったが。珊瑚樹邸の門の前に立つと、ひどく長い旅から帰還したような気がして感慨深かった。
あの居心地のいい居間兼台所で美味しいお茶を味わいながら盛大なお土産交換会となる。




