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妖精と王子様のへんてこチャチャチャ(へんてこワルツ4)  作者: 魚野れん
理解できない結末

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43/84

11

 善は急げという事で、すぐにルッカのもとへ向かった。先触れも出さずに来てしまったが、彼女は予想通りといった風に迎え入れてくれた。


「さすがにこの人数は狭く感じますね」


 ルッカが小さく笑う中、ジュードが飲み物を用意する。

 ルッカの作業場は一部屋で全てが完結できるようになっているが、ロスヴィータが住んでえいる寮の応接室より小さい。

 六人が集まれば、さすがに狭く感じる。


「今日か明日あたりには、突撃されるのかと思っていました。何か分かった事でも?」


 飲み物が配られるなり、早速本題に入るあたりルッカらしい。ロスヴィータも話が早いのは望むところだった。


「一昨日は耳飾りの検分ありがとう。その件で、エルフリートが新しい発見をしたのだ。その発見を、改めてルッカにも見てもらおうと思ってな」


 ロスヴィータがエルフリートに目配せをすれば、彼は耳飾りを翳して魔法の光で照らした。


「フリーデの魔法で浮き出た式を、見てみてほしい。フリーデは共鳴型ではなくて分割型ではないかと考えているのだ」

「あのね、この部分、式が不自然でしょう? これ、別の魔法具に書いてある式を呼び出す為なんじゃないかなって。

 でも、私は魔法具に詳しくないから、式が変なのは何となく分かってもそれが何を意味しているのかちょっと判別できないの」

「なるほど……見てみます」


 ルッカはエルフリートが見せる式をまじまじと、真剣なまなざしで見つめた。


「見た感じは、そうですね……仰る通り、式を引用していそうです。でも、何かが引っかかる」


 ルッカは時折エルフリートに見える式の位置を変えてもらいながら、ああでもない、こうでもない、とぶつぶつと呟いていた。

 ロスヴィータたちは、ただその様子を見守るしかない。この状況に飽きてきたのか、ブライスがアイマルと話し始める。


「この魔法具を作った奴、引き込みたいって思わねぇか?」

「犯罪に荷担する自覚があってこれを作ったのだとしたら、一生外に出せないだろう。軟禁するしかない」


 なんだか物騒な話をしている。それにかなり気の早い話だ。ロスヴィータは笑いそうになるのを隠すため、カップに口をつける。


「単純に分割型とは言い切れねぇみたいだな」

「複合型という事か? だが、俺はそんな魔法具があるとは聞いた事がない」

「それです!」


 ルッカが突然大声で叫ぶ。驚いたロスヴィータは、飲み物が変なところに入りそうになって咳込んだ。


「な、何がそれ……なんだ?」


 苦しそうにするロスヴィータに小さな悲鳴を上げがエルフリートが、魔法具を放って彼女の背中をさする。

 テーブルの上に放り出された耳飾りを持ち上げ、ルッカが話し始めた。


「この魔法具は共鳴型であり、同時に分割型なのだと思います」

「……何だって?」


 息が落ち着いてきたロスヴィータが問えば、ルッカはゆっくりと説明してくれた。


「この欠けた式は、共鳴型によくある形なんです。なので、この部分に関して言うなら……副団長の考えは半分当たりで半分はずれという事になります」


 既に混乱しているロスヴィータ以外のメンバーは「そういう事か」と神妙な顔つきで頷いている。魔法に疎い自分だけが取り残されたかのような気持ちになり、ロスヴィータはそんな自分を情けなく思う。

 味気なく感じる飲み物を口に運び、落ち着きのない自分の感情を誤魔化した。


「じゃあ、対になっている魔法具と共鳴する事で、後半のシップリーが身につけている魔法具を動かすっていう仕組みになっているかもしれないね!」

「この場合、爆発系の魔法だったら、どのくらいの規模になる?」

「最初に想定していた威力と比べたら、四倍くらいかなぁ……? ルッカは想像つく?」


 被害規模がどんどん恐ろしい事になっていく。ロスヴィータは魔法具の事はさっぱりだが、それだけは分かる。


「もし、ですよ。今のシップリーが魔法を使える人間だと仮定したら、増幅器として使う可能性があります。

 その場合、威力は十倍はかたいかと思います」

「じゅ……」


 ロスヴィータは声を失った。それは、オリアーナ劇場が吹き飛ぶ規模である。


「この耳飾りは、厳重に保管していた方がよさそうですね」

「他の耳飾りと反応しない距離を把握するのも大切だぞ。距離は分かるか?」

「少しでも情報があれば、助かる」


 ルッカの言葉にブライスが冷静に続ける。よく、普通にしていられるな、と心を揺るがしながらもロスヴィータは何ともない風を装った。


「距離は、何とも……でも、ちゃんと調べれば分かるかもしれません。魔石の規模を細かく調査させていただけますか?」

「ここにはシップリーも近づかないだろうから、少しは安心だな」


 頷く彼の隣で、小難しい顔をしているのはアイマルである。


「本当に安心できれば良いが」


 ちょっと不穏な事を言わないでほしい。ロスヴィータは小さく顔をひきつらせるのだった。

2025.1.13 一部加筆修正

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