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イルミナの街

 死体が串刺しになっている気味悪い国の中を歩き続け、やっと人が住んでいそうな街へとたどり着いた。


 寒く雪が積もる中、歩き続けているから疲労困憊だが、村人たちを容赦なく串刺しにして飾ったり操ったりする変な国に来ているため、どんな街であろうと油断はできない。


 街の規模としてはかなりのもので、人口は数万人はいそうな規模だ。


 レオンたちが普段暮らす国では人口数万人は大都市になるのだが、この帝国では都市としては中規模らしい。


 冬は雪で閉ざされるというのに、大勢の人間が食うだけの食糧をどう調達及び生産しているのかとレオンは思ったが、おおむね支配した国から魔法を駆使して輸送しているのだろう。


 街の入口には門番もいない。

 やはり変な国で、扉は開けっ放しだ。

 魔物の侵入など恐れたりしないのだろうか。


 街を歩く人々は一様に暗い顔をしており、疲弊している。そして、怯えている。

 理由はすぐに分かった。


 小さい子供が兵士に頭を鷲掴みにされている。

 子どもは泣き叫んでいるし、母親が子どもを取り返そうとしているが、兵士が叫んだ。


「子どもを誰か一人生贄に出さないと、俺たち全員生贄にされちまうんだぞ!」

 兵士も泣いている。

 母親の背後には暗い顔をした子どもが数人いる。

 母親はうずくまり、泣きだした。


 エマが話を聞こうとしたが、レオンが羽交い締めにした。

「奥方、ここで騒ぎを起こしたら、シェルマ王女は救えません。俺も体が疲れて戦えません。ここは見なかったことにして宿屋に行きますよ」

「そ、……そうね」

 エマは苦渋の表情で宿へと向かった。


 宿のマークは大陸で共通だからすぐにわかった。

 二階建ての一軒家で、宿に入ると女将と思われる中年の女性に泊まりたいと話しかけると、驚いた様子で、

「あんたたち、どこから来たんだい?」

「ちょっと外国からだよ」

「町の外には動く死体がごまんといるというじゃないか」

「まぁ」

 そいつらを燃やしながらやって来たのだ。


 女将が、

「客が来てくれて嬉しいよ。あんたたち、腕も立つんだろう。会って欲しい人がいるんだ。会ってくれたらお代はいらないよ」

 腕は確かに立つ部類だろう。

 とりあえず、お代がタダになるし、会うことにする。


 女将に連れられ、宿の2階へと行く。彼女は一番奥の部屋をノックし、「お会いしていただきたい方々がいらっしゃいます」丁寧に告げた。

 扉の奥から、「どうぞ」と品のいい声が聞こえる。


 扉を開けると、気品のある少女が窓辺の椅子に座っていた。カーテンは閉じられている。

 少女は十代半ばくらいの年頃で、銀髪に赤い瞳に、透き通るような白い肌をしている。気が強そうなツリ目だ。

「その者たちは?」

「旅の者たちで、町の外からやって来た者たちです」


 それを聞いた少女はとても驚いている。

 レオンが、

「で、そちらのお嬢さんは誰なんだ?」

 女将はレオンを睨みつけ、

「失礼ですよ!」

 少女は、

「良い。部屋に入れ、旅の者たち」

 レオンたちは言われたとおりにした。


 少女は椅子から立ち上がり、

「私はユリウス帝国の第一王女カミラである。今はこの宿に理由あって身を隠している」

 どんな理由でこの宿に身を隠しているのか。

 聞くと面倒そうだが、聞かなきゃいけないのだろうなとレオンは舌打ちしたい気持ちをこらえながら思った。

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