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お久しぶりの聖女様

 エマは何時間経とうともシェルマを離そうとしない。

 離したら、シェルマがどうなるかわからないという危機感があるからだろう。


 現在、レオンたちは聖女様が暮らす療養所に向かって、空を飛んでいる。魔法を使って馬車と馬を空中で走らせているのだ。


 これをしているのは、王都からやって来た近衛騎士団である。馬車の周囲を騎士たちが飛行している。

 彼らはエマが王宮で嫌われ王妃をやっていた時代に彼女を守っていたが、彼女へ忠誠心があるわけじゃない。今となっては王の良き友人だと知っていても国のため、命令があればエマごとシェルマをどうにかしてしまうだろう。


 だが、それを許さないのも王だ。


 もちろん、近衛騎士団を派遣したのは王である。エマたちの護衛兼シェルマが再び意識を戻し、スライム化した時のために戦うのが仕事だ。


 表立って暴言を吐く連中じゃないが、内心はエマが余計なことをしなければ面倒な仕事が増えなかったのにとか思っているのではないだろうか。


 療養所は随分と遠い。

 エマたちが暮らす山とは違う山の中にあるらしい。

 途中、野営をして、3日ほどで辿り着いた。シェルマを村や町に入れるわけには行かないので、寒さと降り積もる雪の中、テントを張っての野営だ。さすがにエマは寒さが応えたようだ。


 そして、辿り着いた療養所。

 昔の城塞をリノベーションした古い物件。山奥の城塞で規模は小さい。

 建物の入口は厳重に施錠されている。


 建物の中に足を踏み入れる前から、奇声が聞こえてくる。

 そういう施設なのだろう。どういう施設だよ。


 エマは驚いているが、働いている職員は平然としている。

 シエルが、

「この施設は町に置けなくなった貴族を入院させる高級療養所です。違法な薬物や魔法などで精神を破壊された者たちが多く暮らしています」

 人里離れた場所に隔離することで、貴族や金持ちとしての体面や世間体を守るための施設だ。


 聖女様は最上階の特別室で暮らしていた。

 白い寝間着を身に着け、何かブツブツと呟いている。爪をガリガリとかじるクセがあるとかで手にはぐるぐるに布が巻かれていた。


 レオンは人間は変わるもんだなーという感想を持った。


 エマは臆せず進むと、ユージェニーの前に跪いた。「ユージェニー王妃殿下。お願いがあってまいりました」

 ユージェニーはぎろりという睨みつけるような目つきでエマを見ると、

「お前も! 化け物なんだろ! あたしの話を信じないんだろ! このクソがっ! 私は、もう誰の、言うことも聞くもんか!」

 絶叫しながら、エマに殴りかかった。

 すぐにレオンが間に割って入って、代わりに殴られる。


 そして、即座に下した結論はダメだ、こりゃだった。

 

 頼りの綱の聖女様がダメなのだから、シェルマに関してもダメだ、こりゃである。


 いかにエマとシェルマを引き離し、せめてものなんかでシェルマが苦しむことなく殺すかというのが焦点である。

 もっともシエルはシェルマが苦しもうが関係ないだろうが。


 レオンはエマを引っ張り部屋を出た。

 今は聖女様に関わっている暇はない。

 そして、エマに抱きかかえられているシェルマを見た。


 どうやって、エマとシェルマを引き離そうかと考えている時、ノノもシェルマを覗きこんだ。


 そして、呟いた。

「やはり……」


 エマが、

「ノノさん?」

「今まで確信がなくて言わなかったけれど、その娘は助かるんじゃないだろうか」


 ノノはそう言った。

 どういうわけだ。

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