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シェルマ王女を殺さないでください

 エマに助けてくださいと言われても、助ける方法などレオンにもジジイにも見当がつくはずがない。

 ジジイは王に連絡をし、数時間後には諜報部のシエルがやって来た。

 王国はユリウス帝国と表立って争いたくないため、秘密裏にシェルマを処理するつもりだろう。


 シェルマはすでに意識はなく、眠っている。


 秘密裏に処理するのが国的には一番いいのだが、エマがシェルマを離そうとしない。

 レオンはシェルマを抱きかかえるエマを見て、頭を抱えた。


 エマは今や単なる貧乏貴族で、王の慈悲で王の私費からの年金でほそぼそと暮らしている。

 シエルなら、エマが多少傷ついても無理やり引っ剥がしてシェルマをどこかに連れて行くくらいはするだろう。


 ジジイもそれを警戒しているようだった。

「穏便に頼むぞ」


 シエルが、

「エマ殿。私も手荒なことはしたくないのですが」

「き、奇遇ね。私も手荒なことはされたくないの」


 エマとシエルが見つめ合う。

 そこに現れたのはノノだった。


「なんか屋敷から変な気配がするから来てみたら……。人の形をした魔物?」

 ノノはシェルマを見ただけで姿を見破った。

 さすが魔力に長けているハーフエルフなだけある。


 シエルがノノに、

「あなたは?」

「僕? 単なる居候だよ」


 エマが、

「ノノさん。部屋に戻ったほうが良いわ。とっても危険なことになるかもしれないから。シエルさん、私だって魔法を習ったんです」


 エマが拙い魔法で諜報部とやり合おうとしている。

ノノは眉をひそめて、

「そういうことなら、助太刀するけれど、何があったんだい?」


 レオンは簡単に事情を説明すると、ノノは少し考え込んでから、

「魔物は邪悪な存在だ。娘に埋め込まれた邪の部分だけを浄化したらどうだい? この国には聖女様がおられるんだろう」

「あ、そういえばそうね。お元気にされているかしら?」


 シエルが渋い顔をした。

「彼女は一連のことで心が壊れたようです。落ち着くまで療養所で休んでもらおうと思ったんですが、一生涯の療養生活が必要になったと思います」

 エマはシェルマを抱き、

「レオン! 行きましょう。あなたの魔法ならひとっ飛びだわ。浄化してもらうのよ」

 こうなったら、エマは言うことを聞かない。

 相手は一生涯の療養生活が必要になったと言われているのである。浄化できるかどうか甚だ疑問だが、ここでじゃあ無理ねと言ってしまえば、シェルマの命はない。


 延命の時間を引き伸ばすためにも聖女様の所に行くしかないだろう。延命時間を伸ばすことで、なんとか打開策を見つけるしかない。


「魔物を連れて歩くのは危険です」

「魔物じゃないわ! 人よ」


 ノノはシェルマを覗き込み、

「人と魔物を合成し、命令を聞くだけの人形にする魔法をかける。すごいな。……」

「どうした?」

「いや、なんでもない」

 ノノは一瞬首を傾げたが、すぐに、

「その娘が暴れないように僕もついていくよ。暴れても僕が魔法で抑えこむ」

「ありがとう、ノノさん」


 シエルが、

「私が本気を出せば、あなたなんて……」

 そう言われたノノは強大な魔力を部屋に放出し、シエルを吹き飛ばした。

「これっぽっちで吹き飛ぶなんて、ずいぶんと弱いね。僕にしてみれば序の口だよ」

「あなたは……」

 シエルは心底驚いている。そして、内心で恐怖も感じている。


 レオンが、

「あんま気にすんな。あいつは人間じゃねーんだ。大精霊かなんかに近いなんかだ」

 ハーフエルフなんて言ったところで伝わらないだろうが、大精霊かなんかに近いなんかでも伝わることはないだろうなとレオンは思った。

「おい、さっさと療養所に案内してくれよ」

「……王に連絡を取り、許可を得てからです」


 エマが、

「それなら、国中の療養所を周って、お部屋を一つ一つ訪問します」

「それは困ります」


 シエルが長い時間、通信球で話しこみ、ようやく聖女様兼王妃様が滞在する療養所へと向かうことになった。

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