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辿り着いた先

 レオン、エマとかのの三人が辿り着いたのは柱で構成された大きな廃墟の近くで、かなり古い。今は夜なのだが、なぜ近くに廃墟があるとわかったかというと、それは光り輝いていたからだ。

 周囲には人々が歩いているが、突然、現れたレオン、エマ、かのに誰も見向きもしない。

 最初からそこにいたかのように人々は普通にしている。面倒くさいので、これもかのの力なのだろうとレオンは気にしないことにした。


 レオンはまた得体のしれない世界に来たのかと思い、エマの真横に経って周囲を警戒する。

 行き交う人々の衣服はかのの世界で見たものと一緒だが、様々な顔立ちや骨格の人々が行き交う。髪色は金髪や茶髪、黒とこちらもバリエーションが若干増えている。


 レオンが、かのに、

「おい、ここどこだ?」

 かのは周囲を見回すばかりで何も言わない。

「また異世界か?」


「……そうかしら」

 言葉を発したのはエマだ。一新に光る建物を見ている。

「奥方?」

「……レオン。あの……建物」

「俺達の世界の神殿みたいな廃墟っすか?」

「神殿だと思う」


 エマの言葉にかのがパッと笑顔になり、

「パァテノ神殿」

「あ?」

「女神……」

 エマがナニか言おうとしたので、レオンが遮り、小声で、

「初めて来たフリしてください」

 エマが頷いた。


 かのはエマの言葉は聞こえなかったらしく、物珍しそうに右と左を見ている。

 レオンが、

「お前はここには来たことあるのか?」

「ない。教科書で見た」

「有名なのか」

「わかんない。でも、歴史の教科書に乗ってた」

「なんで、あの神殿は光ってんだ。あの神殿は何だ?」


 かのは神殿をじっと見て、

「ライト。あの神殿はパァテノ神殿」

「名前はさっき聞いたから知ってんだよ。ライトってなんだよ」

「ライト。明かり」

「あの神殿はどういう神殿だ」

「遺跡。古い時代の遺跡」

「なんで、あの神殿に人が多いんだ?」

「わかんない」

「あの廃墟に祀られてる神でも拝んでんのか?」

「わかんない」


「まぁ、いいや」

 かのがわからないのなら、レオンにわかろうはずがない。問題は味噌である。

「俺たちはお前の世界の食い物に興味がある。どういう調味料があるんだよ」

「調味料……」

「塩とか蜂蜜とかだよ」

 さすがに塩はあるだろう。

 かのは頷いて、

「塩ある。蜂蜜ある」

「それ以外は」

「……」


 かのは記憶を一所懸命に探しているようだ。

 まぁ、凍った弁当を食ってるか知らない世界の得体の知れない食い物を食うだけで、料理しなさそうだからな。

「ミソ、しょーゆ、かつぶし」

「ここで調達できるのか?」

「無理。お金ない」

「チッ。しょうがねーな。奥方歩きますか。こいつについて歩かないと元の世界に戻れないっすからね」

「そうなの」


 レオンとエマ、かのの三人は闇雲に歩いてみる。

 エマが、

「……空気が……マズイ気がする」

「こういう世界なんでしょうね」

 レオンが同意する。


 見たことのない車輪がついた動く鋼鉄の箱を見て、エマは驚愕をし、腰を抜かしそうになっている。

「これがこの世界の普通みたいっすよ」

「そう」

 エマがいた頃にはこんなものはなかったようだ。


 かのの空間が揺れ、気がつけば、レオンとエマだけが元の世界に戻っていた。

 レオンが、

「あの建物は神殿っすか?」

「かなり古い時代に、女神を祀っていた建物だと思うわ。あの時代に生きたことがあるけれど、本当に古くてあまり覚えていないの」

「へー。そのうちあの時代の飯も作ってくださいよ」

「あまりこっちと代わりはないけれどね」

「そーなんすか」

「そうよ」


 レオンは少し残念そうに、

「結局、味噌が手に入りませんでしたね」

「そうね。うまくいかないわよ。でも、こっちの味つけでもおいしいうどんは作れると思うわ。要はパスタだから」

 エマも少し残念そうだが、明るく言った。


 冬至が明日に迫る日、かのは味噌と鰹節なるものを携えてやって来た。

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