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エマの善意とレゼルの好奇心

 レゼルから話を聞き終わり、エマの部屋へ戻ると、起きていた。

 エマは朗らかに、

「びっくりしちゃった。叩かれてからの記憶がないの」

「気絶したんですよ」

 レオンはいつもどおりのエマの様子に安心しつつも、呆れてしまった。


「少しは伯爵に怒ったり、殴られたことを悲しんだらどうっすかね?」

「そういうことをしても何も変わらないわ。仕方なかったのよ」

 エマはずいぶんとさっぱりとしている。

 そういうところがエマの長所でもあり、怖いところでもあるなとレオンは思った。


 レオンはレストランで会ったヘムのことを思い出していた。

 暗殺者に身を落としたかつての戦友。現在、レオンの生国はなくなり、各々が厳しい暮らしを強いられていると聞く。

 どういうツテでそういう仕事を得たのかは知らないが、厳しいことがあったのだろう。


 狙われるくらいだから、伯爵は随分と恨みを買っているようだ。まぁ、政争などがあったのだ。当然だろう。


 エマがレオンの顔を覗き込んで、

「珍しいわね。私の前で考え事なんて、伯爵の暗殺」

「なんで、それを?」

「え?」

「あ」

「レオンが伯爵を暗殺しに行くの?」

「まさか」

「そうよね」

 レオンはエマの奴隷になった時、人殺しができないよう魔法をかけられている。


「つまり、誰かが伯爵を暗殺しようとしているわけだ」

 そう言ったのはいつの間にか部屋に入ってきていたレゼルだった。

「なんで、あんた。いや、あなたがこの部屋に?」

「暇だったから、エマを起こして、話を聞いてもらおうと思ったんだ」


 エマは立ち上がって、

「ちょっと庭にお散歩でも言ってくるわね」

 そう言いながら、手に取ったのは花瓶だった。

「なんで、花瓶持っていくんすか?」

「鈍器に新しいお花を入れようと思って」

 エマは暗殺を止めに行こうとしている。完全なる善意でそうしようとしているが、自衛のためには武器が必要だとも考えた。そして、辿り着いた武器が鈍器だ。

「暗殺なんてたいそれたこと起こりませんよ! 俺の言い間違い」

 レオンはなんとか誤魔化そうとする。


 エマはレオンを見つめ、

「そうよね」

 そう言いつつも鈍器を降ろさない。

 レゼルは笑いながら、

「エマ。じゃあさ、確かめよう。伯爵の家に行って暗殺者が来るかどうか」

「でも、陛下。危険ですよ。御身に何かあったら。それに、今日は来ないかもしれません」

「確かに。危なくなったら、邪竜の力を開放すればいいし、来なかったら、諜報部に暗殺者を探させよう! それなら、僕と君は安全だし、暗殺者も拝める」

 僕と君以外は危険になってしまうのも困るし、諜報部に顔を割られるのも困る。


 レオンは、

「……俺が確かめてきますよ。俺が言い出しっぺっすからね」

「でも、レオン。あなたは人との戦いは制限されてるでしょう。危険よ。いざとなったら、私がレオンを守るわね」

 そう言って、エマは鈍器を振り下ろす仕草をする。

「そんなんで止まる相手じゃねーよ! あ」

 言ってしまった。


 レゼルは笑いながら、

「やっぱり伯爵を暗殺しようとしている人がいるんじゃないか。僕としては他の貴族を潰そうと暗躍する伯爵なんていない方がいいんだけどさ」

 貴族をまとめる王としてはそうだろう。

「でもさ、僕は今、影のヒーローになりたいんだ」

 レゼルは窓を開け、エマの腰を抱きかかえた。

「さぁ、行こう。鈍器は置いていってもいいよ。城の大事な備品だからね」

 そう言って、城を飛び出した。

 レオンも後を追った。

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