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王都と若騎士

 エマとレオンは城や王都はいるだけでとにかく金がかかるし居心地も悪いし、さっさと村に帰ろうとしたのだが、ジジイに帰り支度や孫との面会が必要だと言われ、引き止められ、いまだに城に客人として滞在していた。


 ジジイの個人的な用事で帰宅が延期となっているのである。


 王都にも城にもあまりいい思い出がないエマは村にさっさと帰ろうとしたのだが、ジジイに強く引き止められ、断れなかったのだ。

 レオンはあとからジジイ一人だけ村に帰ってくればいいだろと思ったが、エマの旧友も面会に来たことで、さらに帰りづらくなってしまった。


 王妃時代のことがあるとはいえ、城の居心地は当時と比べて良くなっていた。

 当時の政略争いはすでに終わっていたし、レゼルはエマを第一級の賓客扱いをしているので、それを見た貴族たちは宮廷に仕える下級の使用人ですらエマに良くすれば何かしらのおこぼれがもらえるかもしれないと期待しているようでもあった。


 そんなことはないし、できれば、こちらのほうこそ、おこぼれに預かりたい。


 ちなみに、面会にやって来たエマの旧友というのはロザ派の女子修道院長である。

 彼女は、村の人たちにお土産を買ってあげたら?と言った。


 彼女が帰った後に、エマは、

「村の人たちのお土産は最初から買おうと思っていたのだけど、城下に行きづらくて……。でも、行くべきよね。何がいいかしら」

 それだけ、城下にもいい思い出がないのだろう。


 レオンは、

「城下に落ちてる馬の糞で充分じゃないっすかね。金もかからないし。拾ってきてやりますよ」

 馬車が行き来する城下では馬の落とし物を時々見かける。

「駄目よ、それじゃ」

「かさばるもんはやめてくださいよ。馬車につきませんからね」


 エマは頷いて、

「わかってます。サラミとかチーズが日持ちするからいいと思うのよね」

「そんな良いもんは俺が全部食いますよ」

「もちろん、レオンの分も買うわよ。冬至が近いから、冬至のパーティで村の人たちに振る舞いたいと思ったのよ」

 冬至は明るい時間が一年で最も短い日のことで、翌日から少しずつ日が長くなる。


「奥方がいた元の世界では冬至あったんすか?」

「あったわよ。その日はどこの時代のどこの国でもお祭りの日として重要視されていたわ。世界は違っても太陽や月の満ち欠けは共通しているわ」

 レオンが天使として居た世界でもそうだった。

 世界にはどうやら共通点があるようだった。


「私が最後にいた国だと柚子という果物をお風呂に入れたり、かぼちゃを食べたり、小豆という豆でお粥を作ったりしていたわ」

「果物を湯にねー。随分とかわってますねー」

「そういえば、そうね」


 レオンが、腰の重いエマに向かって、

「城下に土産買いに行きますよ」

「え、でも」

「面倒くせーのが居たら、俺が叩きのめすから問題ない」

 レオンはエマの手を引いて歩き出した。

 土産のことを常に考えていたが、城下に行けなかったエマは素直にそれに従う。


 二人が城下へ行くと告げたら、若い騎士が護衛としてつくこととなった。

「ガキじゃねーから、道に迷わねーよ」

「ちょっとレオン! 私たちは護衛の方が必要になるような身分でも立場でもございません」

「そうだぜ。城にいたらいけないほうの身分と立場だぞ」

「それは言いすぎでしょ」と役人も呆れながら、「陛下からのご命令です」と頑なに譲らなかった。


 そんなわけでついてきた余計な邪魔者もとい護衛様は二十歳前後の若い騎士で金髪碧眼の真面目そうな堅物青年だった。

「トレステン・デュヴァイエと言います」

 ぶっきらぼうに自己紹介をしたので、レオンが、

「俺たちに護衛は必要ねー。どっかで時間潰して、適当な時間に城に戻ってこいよ」

「そういうわけには参りません」

「そうよ、レオン。デュバイエ様もお仕事なんですから」

「チ。しょうがねーな、邪魔すんなよ」


 トレステンはエマに向かって、

「あの、デュヴァイエと聞いて、何か思うところはありませんか?」

「え? 何かしら? なぞなぞ?」

 エマはそう言って考え込んだ。

 本当に何も思い当たるフシがないのだ。


 レオンには思い当たるフシがあったので、言ってみた。

「奥方。あんたの名字がデュヴァイエですよ」

「え? あ、そういえば、そうね! 同姓さんなのね!」

 エマはようやく納得して、笑顔になった。本当に自分の名字を忘れていたのだろう。


 まぁ、村にいれば、奥方か名前でしか呼ばれないし、書類のサインはレオンが全て代行している。

 手紙にはエマは差出人の箇所に名前しか書かない。名字を使う生活をしていないのだ。


 トレステンは眉をひそめながら、

「私はあなたの兄の息子です。あなたの甥です」

「あら!」

 エマは素直に驚いている。


 エマと兄の仲はびっくりするくらい良くない。

 王都にはエマの兄の家族が暮らす家がある。だが、エマは一度も兄やその家族に会いにいってはいない。向こうから呼ばれたこともない。


 エマは素直に戸惑っているから、甥がいることすら知らなかったのかもしれない。

 それくらいエマと兄の仲は希薄なのである。


 レオンはトレステンに何も言わずに護衛だけしてりゃいいのにと思った。

 厄介なことはおそらく何もないだろうが、これ以上、面倒くさいことはごめんだ。

きちんと詳しくは調べてはいないのですが、今の冬至の行事(ゆず湯とかかぼちゃ食いとか)が始まったのが江戸時代くらいらしいです。


江戸時代の中期頃に根付いた風習らしい。

個人的にエマは江戸時代初期から中期の生まれと思っていたので、今回、調べて中期頃の風習だとわかってよかったです。


幕末とかだったら、エマの生まれた時代に合わないしと思ったんです。

その場合は室町時代の冬至について調べて書けばいいのかと今思いつきました。


この物語は深く考えず、行き当たりばったりで書いています(1ヶ月に1回くらいしか更新できない時も多いので、ここまで書き続けるとは思っていなかったので)。


今はここまで続けることができたので、ようやくストーリーの核みたいなのを考えだしてます。とりあえず、書いてストレス発散する&あとで自分で読み返すためというのが主目的の趣味の投稿なので、マイペースに進めていきます。


そういう投稿ではありますが、時々、アクセスカウンターを見てみると、第1話から最新話まで読んでくださってる方がいるみたいで……。本当にありがとうございます。

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