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残された村人たちと連行されていったエマ

 翌日には王妃は参拝に行き、エマは王都へ連行されていく。馬車で連行されていくエマを村人たちは悲しげな表情で見送る。


 その後は村人たちがエマのことを心配し、教会へ集まり、ジジイを囲む。

 ジジイは神妙な面持ちで、

「奥方が有罪となれば助かることは……」

「奥方は無罪に決まってます」


 村人たちの言葉に、

「無論じゃ。弱小のロザ派を支援したところで、国内が騒乱の原因になるほどのことは起こりようがない」

 元々、ロザ派はアン派の汚職に嫌気が差して離反した一派で、自給自足と奉仕と修行を旨としている少数派で、変わり者とみなされている一団で100人弱しかいない。


 教会や神殿は一般的に魔法を施す時、布施料という名目で料金をバンバン徴収するが、ロザ派は利用者の言い値の喜捨で受けるし、無償奉仕もバンバンする。だから、自分たちの専売特許である癒やしと浄化の魔法を貶めていると他の宗派から嫌われているのだ。


 宗教だろうがなんだろうが、生きていくのに大切なのは金であり、税金をきちんと収めるためにもわかりやすい帳簿をつけるためにも会計は明朗なほうが良い。


 それでも、ロザ派が認められているのは政治に興味がない少数の変わり者集団だからに他ならない。ロザ派の人間が少ないのは修行が厳しすぎるからと質素すぎるため、あまりにも貧しい暮らしをしているからだ。

ただ、修行の甲斐あってか、他宗派よりも癒やしと浄化の魔法の優れた使い手が多い。


 そんな宗派を支援したところで、どう頑張っても国家転覆までこぎつけないのだが、王妃には政治力がある。

 長いものには巻かれたほうが人生何かと楽だから、金さえもらえればどうとでもする人間が少なくない。


だが、ジジイは難しい顔で、

「じゃが、神託があるからのう……」

 村人たちも押し黙った。


 聖女以外に神託を聞けないのだが、聖女が神託が下ったと言ったら、はいと頷くしかない。


 村人たちが帰った後に、レオンがジジイに、

「王が新しい王妃にさっさと一発かまして、ガキでも孕ましときゃこんなことにはならなかったんだぜ」

 ジジイは遠い目で、「確かにのう……」と言ったきりだ。

「王は男のほうが好きなのかよ」

 ジジイは黙り込んだ。黙秘を決めこみやがった。


「とにかく、王に王妃を説得させろよ!」

「それなんじゃがの」

「なんだよ」


 ジジイは言いづらそうに、

「詳細はわからんが、王は現在、意識が不明なんだそうじゃ」

「あ?」

「至急、王都へ向かわねばならぬ」


レオンはジジイの首根っこをつかみ、飛空魔法で窓から飛び出した。

「あまり早く飛ぶな。ワシの身が持たん!」

「わーったよ!」

 レオンは面倒くさそうに返事をした。


 本気を出せば、3日程度で到着できるが、ジジイという荷物がある手前、一週間はかかるだろう。

 もっとも早く着いたところでできることはないのだが。

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