表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/62

小さな村の晩餐会とかいう茶番

 エマは木綿のドレスに着替え終わり、部屋にはレオンと二人だけ。あとは始まる時間を待つばかりだ。

 レオンが、

「ジジイはあんたの監視役として村に来たわけじゃないってよ」

「あら、そうなの?」

 エマは依然として朗らかとしている。


「かののことはどうすんだ。いなくなった若とやらのことも」

「レオン。私はどんな時でも生まれてきた役割を全うすることを大切にしているわ。私は貴族令嬢として生まれ、王妃となって離縁された。そういう役割のようだから、最後までそれを全うするだけよ。それに、私の場合、チャンスがないわけじゃないし」

 エマはあっけらかんと喋る。また輪廻転生をすればいいだけの話なのだ。


「でも、生まれ変わってもかのと会えるとは限らない。かのといれば、若と会えるチャンスだってあるだろ」

「確かにね。でも、私が江戸にいた頃から、かなり文明が進んだようなの」


「?」

「きっとそれなりの時間が経ったのだと思うわ。だから、若が元の世界のどこかに戻っていたら、おそらくもう寿命を迎えてるでしょうね。若に会う可能性があるとしたら、若が元の世界に戻っておらず、超越的な作用により時間的な影響を受けていないことが前提だわ」


レオンは静かに話を聞いている。

 エマは続けた。

「それで、私が若に会う可能性があるのなら、若のいる世界に輪廻転生をして出会うこと。もしくは、色々な世界を無作為に移動するかのちゃんについていくこと。どちらにしろ、偶然によるものだから、会える可能性自体とても低いわ」

「そっすね。でも、あんたは諦めてない」

「もちろんよ」


「レオン。かのちゃんに会ったら、彼女と一緒に色々な世界に行ってくれる?若に会えるかもしれない」

「あんたも来れば良い」

「私は行けない可能性のほうが高いわ」

「今、あんたと一緒に逃げるって手もある」

「逃げないわ。王にはご恩があるし、迷惑をかける訳にはいかない。それに、私は普通の人間とは違って、どうなろうが、未来がある存在だもの」

「……そうかよ」


メイドがノックをする。

 晩餐会の時間だ。


 狭い部屋にギュウギュウに人間が押し込まれている。

 エマが挨拶をする前に、王妃が立ち上がり、

「先程、エマと話をしました。その者はアン派と対立するロザ派を支援することで、国家転覆を図ろうとしているのです! 神もその女は危険な存在だと私に予言を与えました」


 一気にざわざわする会場。

 エマは座ったまま、何も答えない。

 王妃は叫んだ。

「ひっ捕らえなさい! 王都へ連行し、転覆の罪で即刻処刑を!」

 家臣が王妃に考え直すように説得を試みるが、癇癪を起こしていて聞き入れない。

「相手は悪人です! さっさとしなさい! 神託もあるのですよ!」

 この場で妃殿下の命令に逆らえるものなどいない。


 ロザ派は小さな宗派でエマが支援したところで、国家転覆にまで発展するような宗派じゃない。エマも国家を転覆させるコネも財力もなさそうだと誰もが思っている。

 だが、王妃が顔を真赤にしながら、神も持ち出してきてるのだから、そうなのだと誰もが言うしかない。


 当然、晩餐会は中止となった。


 この村は平和すぎて他人の嫁を寝取ったか姑の嫁いびりが酷いという下世話な事件以外はこれといって発生しないため、牢屋などは当然ない。なので、エマは部屋で隔離となり、翌日、王都へ連行されることとなった。


 レオンも自分の部屋で待機となり、ジジイへと引き渡された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ