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番外編2

番外編の短編です。新作を始めたので下記のリンクから読んで頂けると嬉しいです。

 大国セレスの摂政であるリカルドは忙しい。


 朝、鶏が目覚めるよりも先に目を覚ますと身支度を調え、軽い朝食を食べ、政務に当たる。


 午前中は書き物をし、昼食は部下から報告を受けながらし、午後は人と面談、夕刻、残った書類仕事を終えるとやっと帰宅である。


 ちなみにリカルドには土日もない。毎日のように上記のルーチンワークが待っている。これもひとえに大国を運営するためとのことであるが、明らかに働き過ぎである。妻であるリリーナとしては夫の体調を気にせざるを得ないが、彼は見事な仕事中毒患者(ワーカーホリック)であった。リリーナの忠言を聞き入れてくれない。


 リリーナとしてはせめて週に一度は仕事をしない日を設けて欲しいと思っているのだが、彼の辞書には休日という言葉はないようで……。


 リリーナとしては強制的に辞書を書き換えたいところであるが、確固たる意志を持った男子のポリシーを変えるのは大河の流れを変えるよりも難しい。少しずつ仕事を減らして貰うしかなかった。妻としては情けなくはあるが、その代わり食事面で夫をサポートすることにした。


 毎日、夫のために菓子を焼いて送ることにしたのである。


 リリーナは昼食を取ると、メイドと一緒に厨房に籠もり、小麦粉をこねる。それに砂糖やバター、塩などを入れて焼き上げる。


 今日は手軽なクッキーであるが、明日は手の込んだスポンジケーキ、明後日はもっと手間を掛けた苺のタルトなど、スイーツのパラダイスを築くように作り上げ、それを三時きっかりに夫の執務室へ届ける。

 もちろん、紅茶やコーヒーを添えて。


 睡眠不足の日が続いているのならばコーヒーで眠気を除去し、リラックスが必要だと思えばフレーバー付きの紅茶で夫の鼻孔を癒やす。夫婦になってまだ日は浅いが、夫の体調に合わせてベストチョイスが出来ていると自負するリリーナ。


 リカルドもリリーナの好意に感謝し、おやつとして出される甘味を残さず食してくれた。ときにはおかわりまで所望される。


 とても嬉しいことであるが、後日、王宮の古株のメイドからこのような話を聞かされる。


「しかし、驚いたものだ。あのスイーツ嫌いのリカルド様が毎日のようにスイーツを食べてくれるなんて」


「…………」


 なんとどうやらリカルドは甘いものが苦手だったようだ。


 リリーナが手作りをしていたので無理をして食べていたことが発覚する。とても申し訳ない気持ちに駆られたリリーナは三時のおやつは廃止すると伝えるが、リカルドは首をゆっくりと横に振ってこう言った。

「たしかに甘いものは嫌いだが、自分の妻が手作りしてくれたものは別腹だ。それに政務は脳が疲れるから甘いものを食べたい」


 リカルドは気恥ずかしげにのろけるとリリーナを抱きしめる。


 最大限の愛情表現をしてくれた夫に感謝すべく、リリーナは翌日からスイーツに入れる砂糖の量を調整した。男性でも食べやすいように甘さ控えめにしたのである。

番外編の短編です。新作を始めたので下記のリンクから読んで頂けると嬉しいです。

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「宮廷薬師は「ざまぁ」をお買いあげします」という作品をなろうに投稿しました。
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