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女嫌い王太子は恋をする。※ただし、そのお相手は乙女ゲームのヒロインではないようです  作者: ごろごろみかん。
二章:恋の自覚

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脱出

めっちゃお久しぶりです!



「僕にとっては最高のチャンスだったんですよ、あの女と結婚してたらまさに地獄だ。婚約破棄するのに王妃殿下はちょうどいい隠れ蓑になりました。あの時期なら婚約破棄したとしてもそう咎められませんでしたしね」


「……………そう」


事情が事情だけに何とも答えにくい内容だった。だけどニケルは私の回答を望んでいた訳では無いようで、私のそばまで歩みよってきた。未だに警戒心はある、けれど極端に警戒することは無いだろう。少しばかり、ニケルへの警戒心は解けていた。今の話が本当なら彼は信頼出来る。なぜならアヤナ様の洗脳にかかっていないということだから。だけどそれすらもが演技の可能性だってゼロではない。未だに疑念の目を向けると、ニケルが少し笑った。


「あなたがビヴォアールの王太子妃だったら良かったのですけどね」


「冗談やめて。誰があの男なんか………」


そこまで言ってしまった、と思った。心から嫌だっただけに口を滑らせた。それを見てニケルが頷いた。


「ですよねぇ。まあ、王太子殿下も洗脳されているようですけれど、そんなの関係ないですもんね。本当の愛があれば?」


「…………何が言いたいの?」


「いえ、それより早く出ないと警備のものが来ます。脱出経路は僕が案内するので、ユーアリティ様は僕に続いてください」


「なぜ、私に手助けしてくれるわけ?それにあなた………」


何で私がここにいると分かったの?

そう聞きたかったのだけれど、しかし遠くの方から足音が聞こえ、はっとする。確かにニケルの言う通り今は時間が無い。

ニケルを疑うにしろ信じるにしろ、まずはここからでなけらば。ここを出るまではニケルを利用する。………そうしましょう。


「こちらです、妃殿下」


「………分かったわ」


黙って私もニケルの後に続く。どっちにしろ彼が敵の場合告発されておしまいだ。それなら黙ってついていって、敵だった場合はその場で対応した方がまだいい。

私が大人しくついていくと、そちらは裏口とはまた違った出口があった。

庭園の奥には木の扉があった。扉は長らく使われていないのか傷んでいるようだ。

だけど流石に貴族の家だ。鍵はついている。どうするのかと思いきや、ニケルがポケットから鍵の束を取り出した。それにぎょっとする暇もなく、ニケルが鍵を鍵穴に差し込んだ。そして鈍い音を立てて扉が開かれる。


「さあ、出ますよ」


「ねえ、あなたもしかして」


男爵家の関係のものなんじゃないの?少なくともアヤナ様とは関わりがあるのでしょう?彼女に頼まれたの?聞こうとしたが、しかし状況がそれを許さない。外の空気はひんやりしていて、そして私たちが出た場所は人気のない路地裏だった。

この家、真後ろは路地裏に通じてるのね………。そこから足音を忍ばせて歩いていくと、目の前に影が過った。月が雲で隠されたのかと思いきや、違った。


油断はしていないはずだった。だけれどイレギュラーのニケルという存在で少なくとも気が緩んでいたのだろう。目の前によぎった影は紛れもなく人だった。全員が黒のフードを被り、顔がわからない。

思わず足を止めた私に、ニケルが周りを見る。


「…………エンバード卿の手のものか」


「失礼ですが、ニケル・アッドフォン様。ユーアリティ妃殿下をどちらに?」


ーーー私の正体も知っている


ニケルのエンバード卿という言葉からして、彼らはその手先なのだろう。エンバードは若き公爵で、最近公爵位を継いだ青年だ。彼もまた、婚約破棄騒動の渦中、自分の婚約者との縁を切っている。おそらくアヤナ様が関わっているのだろう。


「王宮に。それがモーニング・グローリーのお望みだろう?」


「我らが拝命した任務はユーアリティ妃殿下の殺害です。そのような名は受けておりません」


「鈍いな。きみたちの主であるエンバード卿の勝手な行動だろう。僕はじきじきにあの女王様から拝命賜ったんだ。エンバード卿とあの女王様、どちらの意見を君たちは尊重するんだ?」


ニケルの言葉を聞きながら逃げる準備をしておく。だけど後ろからも気配があり、その時にはっと気づいた。しまった、袋のネズミだわ………!

ニケルの言うモーニング・グローリーとは紫の花を咲かせる植物のことだ。朝に咲くからそのような名前になったのだとか。花言葉は“あなたに私は絡みつく”。蔦がものに絡みつきやすい性質からそんな花言葉になったのかしら………?そんなどうでもいいことを考える。ニケルは紛れもなく彼女を、アヤナ様を侮蔑した言葉を発した。妃殿下である彼女は女王ではない。だけど行動が女王のようだ、と暗に揶揄してるのだろう。


「それは…………」


男たちが口ごもる。


「嘘はいけないな。ニケル・アッドフォン」



その時カツン、カツン、と足音を響かせてまた1人男が姿を現した。月光を浴びながら姿を見せた彼はスラリとした長い足をしていた。スタイルが良く、身長も高い。

金よりも淡い白のような髪は月光に揺らされ、その紫の瞳は毒のようだった。


「なっ………エンバード卿、なぜあなたがここに」


ニケルが初めて取り乱した。どうやら彼がエンバード公爵らしい。

私は後ろのエンバードに目をやると、どうやってこの窮地を脱するかを考えていた。








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