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女嫌い王太子は恋をする。※ただし、そのお相手は乙女ゲームのヒロインではないようです  作者: ごろごろみかん。
一章:疑念

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家なし


(捨てる神あれば拾う神あり……じゃなくて!)


この青年についていっていいものか。

後は無いといえ、下手について行って余計最悪なことにならないだろうか。

私は明らかに貴族だとわかる服を着ていて、そしてボロボロ。身代金要求をするのに値する人間だと思われるには十分な出で立ちだ。金銭に興味がなかったとして──身の危険を感じないわけがない。

臓器売買とかされたらどうしよう。

目の前の青年を探るように見ると、不服そうに彼は鼻を鳴らした。


「ふん、アンタここにいてなにかあてはあるのか?ここにいても野垂れ死ぬだけだがな」


「うん、そうよね。その通りね。でも、あなた、なぜ私を助けようとするの?親切な人なの?それともあなたにとって何かメリットが?」


警戒しながら声を出すと、ますます男は不服そうに眉を寄せた。そして面倒くさそうに言う。


「質問すんな、うぜえな。メリット?んなもんねえよ、とりあえず家に連れてく。面倒そうだったら追い出す。それだけだ」


(うーん………)


酷いいいようである。

だけど飾らないその言葉は本心のようにも思えた。


どうしようかしら。ここにいても枯渇するだけ。

それは青年の言う通り、間違いない。


だけど易々と男の家にあがるのも………いや、今はそんなこと言ってる場合じゃない。どうせこの街には私を知ってる人はいない。そして、ここで彼の提案を拒否したところで私にはなすすべがない。

万が一なにかが起きそうだったらまた魔力爆発を起こせばいい。

魔力の残量を考えても出来れば魔法を使うのは避けたいところだけど……背に腹はかえられない。

私はようやく頷いた。


「変わった人なのね。ありがとう、お言葉に甘えるわ」


「ふん……じゃあ歩きながら話そうじゃないか。アンタその格好からして貴族様だろ」


「…………まあ。そう、ね」


貴族というより王族だけど。

だけどそれはやぶ蛇にしかならないので黙ってく。曖昧に頷いた私に、青年がやっぱり、と小さく呟いた。

彼の横に並びながら街に入る。今日はいつもと何ら変わらない平日だと言うのに人通りは少なかった。


「今日は冷えるからな。みんな外には出ねえんだろうよ」


「………そう」


私が辺りを見回したことでなにか勘づいたのだろう。青年の説明を受けて、私は再度頷く。

じゃりじゃりと土を踏みながら舗装されていない道を歩く。………あまり活気がないように思えるのは、人が少ないから?


「で、アンタはどうしたい?家に帰りたい?それともこのまま逃げたいのか?」


「え?」


「どうみたってわけアリなんだろ。いいぜ、どうせ俺も似たようなもんだ。アンタがどうしたいかだけは聞いておく」


「…………」


青年の素っ気ない口調に考えを巡らせる。逃げたいか、このまま帰りたいか………。

私はどうするべきだろう。

手持ちの金はなく、あるのはこのドレスと、指につけた婚姻指輪のみーーー。


それに気づいた時、はっとしてさりげなく指を隠した。

見られただろうか。見るものが見ればルデンの王族だとわかってしまう。

国花が掘られているし。


しかし、幸いにも青年はこちらを見ていなかった。その隙に指輪を外しポケットに突っ込んでおく。


「私、行きたいところがあるの」


今の私の状態はピンチではあるが、これは


──限りなく、チャンスだ。


王太子妃の身分ではなく自由に動ける唯一の機会。

この機会を逃したらおそらくもう二度と目的の場所………。アヤナ様の実家にはいけない。

実物を直接見たとはいえ、やはりあの家は気になる。あの家で群生しているということなら尚更だ。

私の言葉に、ちらりと青年がこちらをみる。相変わらず探るような視線をこちらに向けて、不躾にも上から下を眺めてくる。


「ふうん、それで?」


「それで………ええと」


ここからどう動けばいいのか、未だに方法が思いつかない。


何をするにもお金が必要になる。しかし私が持ってるのはルデンの王太子妃を示す指輪だけ………


私をさらったのにアヤナ様はおそらく一枚かんでいる…………証拠はないけれど、可能性は高いだろう。何せ、私アヤナ様を怪しんで調べていたところだし。ただでさえフェシーに執着するアヤナ様からしたら私は邪魔者だし。


さすがに指輪を手放すのは不安だわ。

いよいよどうしようもなくなった時の最終手段にしたい。


(うん、八方塞がり)


悩む私に、男が言う。


「まあいいよ。俺もそこまで鬼じゃないし、少しだけなら家にいてもいい」


「いいの?」


何かあれば家を大爆発させて逃げるとはいえ、他人の家に長くお世話になるのはやはり気が引ける。というより何かあった時は爆発すると、確定事項に入れていることに少し申し訳なさが募った。

男がひとつの家の前で足を止めた。


「ここが俺の家。真っ直ぐ廊下を進むと突き当たりがあるからそこを右に。その先に風呂があるからとりあえず入れば?」


目の前には古びた木造りの家がたっていた。あまり手入れをされていないのだろう。木目は荒れ、ささくれていた。

その扉の前で男がぶっきらぼうに言った。


「えっ……!?」


見知らぬ男の家で入浴、というのはさすがに不味いのではないかしら………?

再度固まった私に、面倒くさそうに男がいう。


「アンタめんどくさいな。家なしのくせに。いいからとっとと入ってとっととその泥だらけの顔なんとかしろよ」



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― 新着の感想 ―
[一言] マジですかー続きが ものすごく気になります。王女様 がんばってください!そして 作者様も!
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