04
しかし、連中はしつこかった。
逃げる私に放たれる追っ手。追っ手。追っ手の数々。
来る日も来る日も、男共が甘い言葉をささやきながら襲いかかって来る。
「こんなにも貴方を恋しく思っているのに、なぜ振り向いてくれないのですか」
とか言いながらだ。
ヤンデレだっ!
私が転移した世界は、ホラーかっ!
私は冷や汗をかきながら、必死で逃げ続けた。
やがて、ひっそりとした村に辿り着いた。
男として変装した私は、小柄な体格の男性として、村に溶け込む事に成功した。
女性がいなくなった事で、裁縫や炊事の仕事も男性がこなすようになったのは、良かった。
力仕事ができない私にも、仕事がたくさんあった。
少しづつできる事を増やしていって、お金を貯めれば、生きていくのには困らなかった。
これで、平和な日常が送れるはず。
そう思っていたが、それはただの想像にすぎなかった。
一週間後。
どこから嗅ぎつけたのか、追手が迫る。
私は再び逃げ続けた。
後は、隠れては発見され、逃げる。の繰り返しだ。
この逃亡劇に終止符が打たれる日は来るのだろうか。
いや、無いだろう。
きっと、どちらかが折れるまで永遠に続く。
心の底から私は思う。
ちやほやされるだけの甘い世界なんてない。
転生するとこ、間違えた。