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1.
僕らの国には、風が吹いていた。
うっとおしく寡言に吹く風。
甲高い風切り音を上げて、空虚な空の渺渺たる姿。
慊らなく回される世界の果てで、デンパする狂気はやがて心理に優先し。
その心理は人間性に優先し。
血と涙は人に優先する。
加速を続ける空の門は、万人に向けたその「WELCOME」を終わることなく配布する。
彼女の風が、悲しみが、大気となって、すべての人の心に届くように。
切り取られた切れ端の一枚一枚を、そっと掌におさめて。
切ないまでのアイスミントブルウの空へ、解き放つ。
決して青には染まらない、おろしたての白い雲の向こうに、消えていく。
空は、遠すぎた。
あの時間だけがなにもかも記念碑的だった。
それでも、玩具を取られたコドモのように嘆き。
手に入れた自由がただのマヤカシだった事を恨み。
祈りの慟哭を空へと捧げる。
……風は、もう吹いていない。
風立つ事を忘れてしまったように、突然に。
僕らは、自由を失った。