表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の音に耳を澄ませて  作者: 原案:深江 碧×文章:白井 滓太
1/5

1.


 僕らの国には、風が吹いていた。

 うっとおしく寡言に吹く風。

 甲高い風切り音を上げて、空虚な空の渺渺たる姿。



 慊らなく回される世界の果てで、デンパする狂気はやがて心理に優先し。

 その心理は人間性に優先し。

 血と涙は人に優先する。


 加速を続ける空の門は、万人に向けたその「WELCOME」を終わることなく配布する。

 彼女の風が、悲しみが、大気となって、すべての人の心に届くように。


 切り取られた切れ端の一枚一枚を、そっと掌におさめて。

 切ないまでのアイスミントブルウの空へ、解き放つ。


 決して青には染まらない、おろしたての白い雲の向こうに、消えていく。



 空は、遠すぎた。

 あの時間トキだけがなにもかも記念碑的スウヴェニアだった。

 それでも、玩具を取られたコドモのように嘆き。

 手に入れた自由がただのマヤカシだった事を恨み。

 祈りの慟哭を空へと捧げる。


 ……風は、もう吹いていない。

 風立つ事を忘れてしまったように、突然に。


 僕らは、自由を失った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ