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音の子  作者: 花言葉
王子との恋の行方
22/24

1

 アイシャは、部屋に戻ってボーとしていた。

(王子、王子)

 考えるのは、ベルツの事ばかり。

(やっぱり、だめだ)

 あきらめきれない自分に嫌になっていた。

 そこにドアを叩く人がいた。

「アイシャ」

 その通る声は、ベルツの物だった。

「入るぞ」

 心臓がドクドクと高鳴る。

「王子、何用ですか?」

「母様が、失礼なことを言ってすまなかった」

「王妃様は、当然のことを言っただけですよ」

「俺は、アイシャを姫にする」

「何で、私じゃないとだめなの」

「愛のために生きるのは、いけない事だろうか?」

「だめよ」

「アイシャ、君を愛している」

「王子」

(この声で言われて、耐えられないわよ)

「アイシャ、顔が赤いよ」

「きゃ!」

「そんな、アイシャが好きなんだ」

「どんな?」

「いつもの君だよ」

「そう」

 いまいちピンと来ない。

「そう言えば、王子も、十六で成人ですわ」

「ああ」

「もう、大人なのですから、国の事も、しっかり考えて生活していかないと、だめなのですよ」

「それより、アイシャの事を考えている」

「えっ、あの……」

 戸惑っていると、手を握られる。

「音の子は、運命の子だから、絶対離れないんだ」

「そんなこと、分からないわ」

「絶対に離す物か」

 ベルツは、そう言って、頬に口づけした。

「それじゃあ、また来る」

「あっ、あっ、あっ」

 アイシャは、赤くなっていた。

(頬にキスするとか、王子って人は……)

 ベッドに突っ伏していると。

「アイシャさん」

 ベティが入って来た。

「王子は、なんと言っていたのですか?」

「いつも通りよ」

「いつも通りアツアツでしたのね」

「ベティ!」

 また赤くなった。

「あら、アツアツですね」

 ベティは、ティーポットを持ってニコニコしている。

「いいのですよ、のろけちゃっても」

 べティは、楽しそうだ。

「そんなんじゃない」

「ふふふふふ」

 ベティの笑い声を聞いているうちに、眠くなってきた。


☆ ♪ ☆


 そして、ベルツの成人の日が近づいてきた。ベルツは、相変わらず、毎日アイシャを口説くのに一生懸命だった。

(もう嫌……)

 アイシャも、断るのが面倒になってきたころだった。

(こんなに望んでいるのに断るのも……)

 そう思いだしたころ。

「ベルツ、オニキス姫はどう、ドロシア姫とか」

 王妃がベルツを追いかけて、結婚相手を決めようとしていたのだ。

(こういうのを見ると、断らなくてはと思うわ)

 そう思っていると、ベルツが。

「俺は、アイシャ以外の女と結婚する気はない」

 ベルツは、そう言って振り切る。

(王子……)

 ベルツの意思は固い様で、王妃も困っていた。

「せっかく声が戻ったのに」

 王妃は、嫌そうにそう言う。

(ごめんなさい王妃様)

 結局、アイシャの何がよかったのか、わからないのである。

(王子は、なぜ、私を選んだのだろう?)

 ボーとそれを考えていた。


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