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会議の前、ロビーでは、みんな、きらびやかな服を着て、語り合っている。
「まあ、ケルペット夫人、そのアクセサリー美しいですわね」
「ええ、高かったのよ」
「その割に小粒ね」
「大きさじゃないわ」
こんな感じで、ひねくれた話し合いをしているのだ。
「皆さん、久しぶりですね、アイシャ・カーネストです」
「あら、ドレスの色がステキね」
「そうですか?」
「地味でいいわ」
「あら、おとなしいと言ったら」
(女って面倒くさい)
マティスも隣でそう思っているようだった。二人で顔を合わせて笑ってしまったのだった。
☆ ♪ ☆
そして、会議室へ通される。
(アイシャは、体調が大丈夫か心配だな)
ベルツは、気が気じゃなかった。しかし、アイシャは顔色を変えず。女達と会話している。
(無理しているはずなのに……)
アイシャがかわいそうだった。
(好きな子が苦しんでいて、何もできないなんて)
もどかしくて手を強く握った。
「ベルツ、落ち着いて」
マティスに言われて、強く握りしめていた手をほどいた。
「お前にできることをしてやれ」
そう言われて、アイシャの近くに行く。
『皆さん、立って話すのは難ですから、座って話しましょう』
「そうね」
「そうですね」
みんなが席に着く、アイシャも違和感なく席に着いた。
「では、会議と行きましょうか」
一人の男がそう言った。
「それでは、まず、パーム橋について、話し合いましょう」
「そうだね、私の国としては、大きな問題なのでね」
ゲンドルの王子がそう言う。
「シンボルのある国は大変ね」
ケルペット夫人がそう言って笑う。
「シンボルの無い領土よりましです」
ゲンドルの王子が、やり返した。
「そうね、でも、大きければいいと言う物じゃないわ」
ケルペット夫人は食い下がらない。
「小さい領土も確かに素晴らしいですね」
ゲンドルの王子は、そう言ってケルペット夫人を笑った。案の定ケルペット夫人は、反撃できず、悔しそうにしている。
「フラル、あまり余計なことは言うな」
ケルペットさんが、夫人を叱った。
「ところで、パーム橋の寄付金は、どうなったのですか?」
「私の所は出しますよ」
「我らの所も」
ゲンドルの王子は、ケルペット夫人をちらっと見て、嫌味な顔をしてから。
「皆さん、寄付してくださり、助かりました」
大袈裟にそう言った。
「私も、寄付しないとは、言っていないわ」
ケルペット夫人も怒ってそう言う。
「それは、ありがたい」
ゲンドルの王子は大袈裟に恭しく頭を下げる。
『アイシャ、私の国も寄付することを伝えてくれ』
「あの、アギスト王国も寄付してもいいですか?」
「もちろんだ」
わ~と辺りが一度盛り上がる。
「パーム橋のデザイナーにグレースを使うのはどうだい」
「ドリーと言う女性もなかなか良い、他にもいいデザイナーがいるのだから、もう少し考えた方がいいぞ」
王と王女と貴族が話し合っている。
(今度は、デザイナーでもめるか)
パーム橋が改装されるのには、時間がかかりそうだ。
「ところで、ケシャルのフリージア姫は、どうなさいましたの?」
ケルペット夫人が意地悪く聞いた。
「ああ、元気にしているよ」
「男を追いかけて出て行ったと聞きましたけど?」
「そんなわけがないだろ」
ケシャルの王は、汗を拭きながらそう言う。
(フリージア姫はそんなことになっていたのか……)
少し驚いていると。
「ベルツ王子は、そこの賢者さんにメロメロなんですってね」
ケルペット夫人は恐れを知らないで聞いてきた。
「あの、そういう話は……」
アイシャが、一生懸命隠そうとしている。
「でも、姫になるのでしょう」
「私は、通訳として、そばにいて欲しいと言われただけです。姫になるつもりはございません」
「まあ、そう」
ケルペット夫人は、深く追求してこなかった。
「ケルペット夫人って何でこう言う会議に出られるのかしら」
「金だよ、金、金を払っているからさ」
そう話している、男女がいた。
「何か、聞こえましたが?」
「ケルペット夫人が美しいなと」
「あらそう」
ケルペット夫人は不機嫌そうだった。
(いつもこうなる)
ベルツは、ケルペット夫人には、すっかり呆れてしまっている。
「さて、次の話に行こうか」
みんなが、紅茶を一口飲もうとしていた。
(俺も飲むか)
紅茶に、一口だけ口をつけると、体中に強い痺れが走るのを感じた。
(なんだこれは……)
初めは、何が起こってか全く分からなかったが、だんだん意識が遠くなっていくのだけは、分かった。
「王子!」
ガシャンと音を立てて、ベルツは倒れた。




